原子の記号と化学式 (中学生の学習法)
最初に言葉の定義です。
原子の記号…物質を構成する約100ある原子を、アルファベットを使って記号で表わしたもの
化学式…物質が現実に存在する姿を、原子記号を使って表わしたもの
化学反応式…化学変化のプロセス・過程を、化学式を使って表わしたもの
注意:
例えば酸素分子を2O2のように表わした場合、
酸素分子前に書かれた大文字の2は「酸素分子が2個あること」、後の小文字の2は「酸素原子が2個結びついて酸素の分子を作っていること」を表わします。
つまり、前の大文字のは分子の個数、後の小文字の2は結びついた原子の数を表わしています。
★原子記号
アルファベットの大文字1字で表わされるものと、大文字と小文字2字で表わされるものがある。
大文字1字
水素H 酸素O 炭素C 窒素N 硫黄S カリウムK リンP など。
大文字と小文字
塩素Cl 銅Cu 鉄Fe 亜鉛Zn 銀Ag 鉛Pb マグネシウムMg ナトリウムNa カルシウムCa バリウムBa マンガンMn ヘリウムHe アルミニウムAl リチウムLi など。
中学生の場合、原子記号は、出てきたものを順に覚えるしかないが、頭に残るように工夫はできる。
英語と一緒に覚える。例えば、水素はhydrogenでH、酸素はoxygenでO、窒素はnitrogenでN、炭素はcarbonでC。
カタカナで書き表された原子は、外来語名をそのまま用いているだけだから頭文字をローマ字表記したものとほぼ一致する。例えばナトリウムはナでNa、カルシウムはカでCa、バリウムはバでBa、ヘリウムはへでHe、アルミニウムはアルでAl、リチウムはリでLi。
カリウムのK、マグネシウムのMg、マンガンのMnは似たものと区別して覚える。
覚えにくい硫黄S、塩素Cl、銅Cu、鉄Fe、亜鉛Zn、銀Ag、鉛Pbなどはしっかり書いて覚えるしかない。
★化学式
化学式は「物質が現実に存在する姿」をそのまま原子記号を使って表わしたものである。
物質の存在の仕方はある程度グループ化できるので、いくつかのグループに分けて覚えていけばよい。
まず、「気体」と「金属」と「化合物」の3種に分類できる。
金属
金属は、原子の形で現実に存在している(気体と違い、同じ金属が結びついて分子を作ることはない)。だから、金属の化学式は原子記号と一致する。したがって、化学式は
銅Cu 鉄Fe マグネシウムMg 亜鉛Zn 銀Ag 鉛Pb 炭素も金属と同じでC となる。
気体
単体の気体は、現実には必ず2個の原子が結びついて1個の分子になって存在している。したがって、化学式は
水素H2 酸素O2 窒素N2 塩素Cl2 となる。
化合物
2個以上の原子が結びついてできる化合物は、重要なので1つずつ覚える。覚えないといけないおもな化学式は
水H2O 二酸化炭素CO2 塩化ナトリウムNaCl 酸化銅CuO 酸化マグネシウムMgO 塩酸(塩化水素)HCl 水酸化ナトリウムNaOH アンモニアNH3 など。
覚えておいたほうがよいものとして
炭酸水素ナトリウムNaHCO3 硫酸H2SO4 炭酸カルシウム(石灰石)CaCO3 水酸化カルシウム(石灰水)Ca(OH)2 など。
原子は「結合の手」の数が原子によって決まっており、結合の手を覚えることで化学式を導くことができるが、現行の教科書では出てこない。したがって、上記の物質にはついては理屈抜きで暗記したほうがよい。
化学式を暗記しておくと、例えば水H2Oは水素原子2個と酸素原子1個が結びついてできていること、気体のアンモニアNH3は窒素1個と水素3個の化合物であることなどがわかって、自分のために役に立つ。
化学式は、名前から見当がつくことが多い。例えば、二酸化炭素。名前は、化学式を後から読んだ形になっている。うしろから、2個の酸素と炭素で二酸化炭素、後ろから2、O、CでCO2という規則性がある。このことを知っていれば、塩化ナトリウムもナトリウムが前で塩素が後、NaClと見当がつく。
単体と化合物
1種類の原子だけでできているものを単体、2種類以上の原子が結びついたものを化合物という。
単体
ほとんどの気体と金属は単体である。
気体…水素H2 酸素O2 窒素N2 塩素Cl2
金属…銅Cu 鉄Fe マグネシウムMg 亜鉛Zn 銀Ag 鉛Pb
化合物
水や二酸化炭素など、化学式が2種類以上の原子記号をふくんでいるものは化合物である。
化合物…水H2O 二酸化炭素CO2 塩化ナトリウムNaCl 酸化銅CuO 酸化マグネシウムMgO 塩酸(塩化水素)HCl 水酸化ナトリウムNaOH アンモニアNH3
俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。