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アオアシから読み解く現代サッカーで重要なあのポジション

今年から始まった、TORICO Advent Calendar 2019 13日の金曜日を担当しています。

エンジニアの皆さんが基本的には記事を書いてくれている中、採用担当の自分が今日(13日)と20日を担当させてもらいます。なにを書こうかなと考えていましたが、漫画を売っている会社なので、漫画を絡めていきたいと思い、今回はタイトルにもある、アオアシ(小林有吾 取材・原案協力/上野直彦)を題材にしてみます!

ちなみに先日、テレビで明石家さんまさんも絶賛していました!


アオアシについて

小学館のスピリッツで連載中のアオアシは、「新しいサッカー漫画」として注目されています。

主人公であるFW 青井葦人(アオイ アシト)を中心に、ユースチーム(育成年代)、言語化・コーチング・ティーチング、ポジショナルプレーなどが描かれています。

上に書いてあるような、いままでのサッカーマンガにはない要素がふんだんにあるのですが、「新しいサッカー漫画」と言われる核心部分はネタバレも含んでしまうので、後半の"なぜ「新しいサッカー漫画」か"部分で書きます。

アオアシはサッカー漫画ではあるのですが、

サッカーが好きな人も

サッカーの事をあまり知らない人でも

どちらの立場でも読んでおいて損はないマンガです。サッカーシーン以外の人間関係、心理描写など読み応え抜群です。

アオアシを読んだことがない人は、漫画全巻ドットコムの全力推し宣言をご覧になってみてください ↓↓↓


フロンターレとアーセナルが好き

自分はサッカーが大好きで、小学校から高校までサッカーをずっとプレーしてきました。中学校の時にはアオアシと同じ、Jリーグのユースチームのセレクションを受けたりしてます。

いまはフットサルしかやっていないのですが、見るのはもっぱらサッカーです。ちなみに推しチームは川崎フロンターレアーセナルです。社内に偶然グーナー(アーセナルファンの愛称)の社員がいて、最近のアーセナルの試合翌日は2人ともテンション低い事が多いです。。


いままでのサッカー漫画といえば

いままでのサッカーマンガで言えば、主人公やメインキャラはFW(ストライカー)かトップ下(司令塔)、またはGK(ゴールキーパー)がほとんどでした。アオアシの主人公 アシトのポジションもFWです。

キャプテン翼|翼くん→FW、岬くん→MF、若林くん→GK

ホイッスル|風祭→FW、水野→MF、シゲ→FW

やっぱりそれぞれに必殺技みたいなプレーがあって、憧れましたね!(オーバーヘッド、ドライブシュート、消えるフェイント、とか)


なぜ「新しいサッカー漫画」か ※6巻以降のネタバレ有り

ここからアオアシの本質的な部分に突入していきます。6巻以降をまだ読んでいない人は気を付けてください。

前項でも述べましたが、アオアシの主人公である青井 葦人(以下アシト)は、得点を取る事に貪欲な生粋のFWです。世界一のFWになる事が目標で、ユースチームに入団してからもFWとして活躍していきます。

しかしある試合後、ユースチームの監督である福田達也に呼び出され、



DF(サイドバック)に転向しろ。



と告げられます。

これは主人公のアシトに限らず、読者たちも驚愕したシーンだったのではないでしょうか?

「え?サイドバック?主人公(アシト)が?急に?なんで?」、と。

サッカー漫画の主人公としては、いままででは考えられないような展開なのです。

しかし7巻以降、本当にアシトはFWではなくDF(サイドバック)としてプレーをする事になるのです。

サッカー漫画の中でサイドバックといえば、いぶし銀で、さりげなく、いい味を出すといったイメージです。目立つポジションではない事が多いです。GIANT KILLINGのサイドバック 石神なんかは、いぶし銀で、さりげなく、いい味をだしてる代表格だと思います(自分は大好きなキャラですが)。

※ちなみにGIANT KILLINGも、プロリーグの裏側(監督、クラブ運営、サポーター)を描いています。リアリティがあっておススメです。

いままでのサッカー漫画でも、サイドバックが描かれてこなかったわけではありません。ただ、描かれているシーンのほとんどがタッチライン際を駆け上がり、サイドからクロスを入れる。そんな描写がほとんどだと思います。

実際、ホイッスルでもFWからウイングバック(サイドバックではありませんが)にコンバートされた高井はタッチライン際を走り抜け、クロスを上げる練習を繰り返し行いました。

縦110メートルもある広大なピッチのタッチライン際を、90分間にわたり何度も何度も上下に走り続ける。

それが、かつてのサイドバックの役割だったのです。


日本サッカーでも変化が

ここで一旦今年のJリーグの話をします。

先日幕を閉じた今年のJ1リーグは、横浜F・マリノス(以後マリノス)が最終節で2位のFC東京との首位決戦を制し、15年ぶり4回目の優勝を果たしました。

昨シーズンは12位と低迷したものの、ポゼッションサッカーを貫き通し、第33節では2連覇中の王者 川崎フロンターレ相手に4-1で圧勝。(フロンターレファンとしてはかなり悔しいですが、完敗でした。)

MVP・得点王を獲得した仲川選手や、もう一人の得点王 クリリンことマルコス・ジュニオール選手がやはり注目されるのですが、マリノスのポゼッションサッカーを支える重要なキーマンとなっているのが、サイドバックの2選手松原選手ティーラトン選手です。

現代サッカーでサイドバックというポジションは、点を取る華やかなポジション以上に注目を集める、とてもとても重要なポジションになっています。

第33節のフロンターレvsマリノスの後半、マリノスの右サイドバック 松原選手が見せたプレー。(絶句。なぜそこに松原選手が。ラストパスを出したのが松原選手です。)

第25節 マリノスvsガンバ大阪、左サイドバックのティーラトン選手のゴール。(悪魔の左足と呼ばれています。)

マリノスではないですが、現在多くのチームから注目されているベガルタ仙台のサイドバックである永戸選手のプレー。

今期のJリーグでも、サイドバックが起点となって得点が生まれるシーンが沢山ありました。

いままでのサイドバックの役割・ポジションを超え、ディフェンスはもちろんの事、ポゼッションやゴールに結びつくプレーが求められてきています。


進化していくサッカーのポジション

上に載せた動画の松原選手、ティーラトン選手とも、ピッチのほぼ中央でプレーしているのがわかると思います。サイドバックというポジションなのに、です。

それらの動きは、偽サイドバックまたはアラバロールと呼ばれ、現在マンチェスターシティの監督 ペップ・グアルディオラがバイエルン・ミュンヘンの監督をしていた時代に、左サイドバックであるダビド・アラバ選手が何度も再現し、言語化されたものと言われています。

オフェンスもディフェンスも理想的にプレーする=「攻守コンプリート」しているサイドバックは、世界的に見てもまだまだ少ないと言われています。(アオアシの作中で、アシトの先輩でユースの至宝とも呼ばれている栗林選手のサッカーノートに、レアル・マドリードの左サイドバック マルセロ選手は攻守コンプリートの条件には当てはまらないと書かれてありました。攻撃に関しては世界トップクラスのサイドバックなのですが、ディフェンス部分では、、という事みたいです。厳しい!笑)

現在のサイドバックで「攻守コンプリート」していると言われるのが、ドイツの名門クラブ バイエルン・ミュンヘンでプレーしているドイツ代表のヨシュア・キミッヒ選手です。サイドバックながら、色々なポジションでハイレベルなプレーが出来ます。とんとんさん(@sabaku1132)の記事では、司令塔型サイドバックと表現されていますが、まさにその通りですね。

また、現在ペップ・グアルディオラが指揮するマンチェスターシティの左サイドバックを務めるオレクサンドル・ジンチェンコ選手も、本来は攻撃的なポジションの選手でしたが、マンチェスターシティでは左サイドバックとしてなくてはならない存在になっています。ジンチェンコ選手が中央寄りでプレーする事で、大外のレーンでスターリング選手がプレーしやすくなっています。プレミアリーグを2連覇中のマンチェスターシティが今季苦戦しているのですが(現在3位)、ジンチェンコ選手が怪我のため離脱中で、左サイドバックのポジションが不安定になっている影響が少なからずありそうです。


ちなみに、サイドバックでを語る上で、次の2人は外せません。リバプールの両サイドバック、アレクサンダー・アーノルド選手アンドリュー・ロバートソン選手です。今年のUEFAチャンピオンズリーグで日本代表の南野選手が所属するザルツブルグと対戦したのですが、その試合で右サイドバック(アーノルド選手)から左サイドバック(ロバートソン選手)でゴールも生まれました(しかも起点もロバートソン選手のカットインから)。恐るべし。。


余談ですが、、今季の川崎フロンターレとアーセナルはサイドバックでとても苦労しました。(ほんとに)

フロンターレは不動の右サイドバックだったエウシーニョ選手が清水エスパルスに移籍。馬渡選手の補強もありましたが、怪我等もありサイドバックのレギュラーがなかなか定まらないシーズンで、左サイドバックの車屋選手を無理矢理?右サイドバックで起用する試合も続きました。

同じくアーセナル(まだシーズン中ですが)、不動の右サイドバックのベジェリン選手が昨季の負傷による長期離脱で、本職ではない選手がそこの穴埋めをする試合が続いています。左サイドバックでも、スコットランド代表で注目されているティアニー選手を補強出来ましたが、怪我での離脱もあり、なかなか安定して出場が出来ていません。

その影響もあり、川崎フロンターレは4位でシーズン終了、プレミアリーグビック6と呼ばれるアーセナルもこの記事を書いている時点で9位と低迷しています。

他のポジションで負傷者が出ても、ある程度バックアップする事が出来るのですが、サイドバックは他のポジションに比べ選手層が薄いチームが多く、主力サイドバックの離脱はチームに大きな影響を与えます。

チーム全体に影響を与えるまでになったサイドバックのポジション。だからこそエスペリオンの福田監督は、「アシトなら攻守コンプリート出来る」と信じ、FWからサイドバックに転向させたのです。足りなかった、最後のピースとして。


アシトの能力(才能)とは

アオアシの話に戻ります。

サッカーを始めたころからずっとFWとしてプレーしてきたアシトは、サイドバックに転向してからは苦難の連続です。

それでも、ユースチームの同期、先輩、監督・コーチ、チームをサポートする人達に支えられながら努力をして、サイドバックとして成長をしていきます。

足元のスキルが高いとは言えないアシトなのですが、現代サッカーに必要不可欠なある能力(才能)を持っています。それは現在Jリーグのヴィッセル神戸でプレーする、元スペイン代表のイニエスタ選手なども備えていると言われる能力(才能)です。

最新18巻では、最新サッカー理論「ポジショナルプレー」なども登場し、アシトのその能力がいかんなく発揮されてきます。

攻守コンプリート」、世界一のサイドバックを目指し、まだまだアシトの進化は止まりそうにもありません。進化し続けるアシトが楽しみですね!


アオアシ(19) 発売予定日

2020年1月30日に、アオアシ19巻が発売予定です!

アオアシをまだ読んだことがない人は、漫画全巻ドットコムでまとめ買いして、年末年始で一気に読んでみてはどうでしょうか?!

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おわり

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