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[読書記録]クスノキの番人(東野圭吾) / 目を凝らせば

久しぶりの東野圭吾さん。私は東野圭吾さんのこういうお話がとても好きなのです(ナミヤ雑貨店もとても好きです、震えながら読みました)。何度も涙が溢れました。酸いも甘いも乗り超えた、そうでないと見えないもの。その覚悟や後悔、あらゆることを凌駕して、それを飲み込んでは吐き出す、その繰り返し。宇宙から見たら飲んで吐いての繰り返し、それだけのことかもしれませんが、それは私たち一人一人から見れば、そういうことだけではない人と人との強い絆を感じます。

目を凝らしてよく見れば、誰かのために飲み込んだり、どうしても伝えなくては、と苦悩したり、そういうことはきっとどこにでもあるのかもしれません。飲み込んだことが見えるように目を凝らせるか、受け止めることができるかどうか、というか。


青山美智子さんの「月の立つ林で」を先月読んで、それからこの「クスノキの番人」。「月、流行ってるな…」、と思いました。折に触れて月の満ち欠けについて読んでいるような気がします。
私はどちらかというと、植物が好きなので、木の持つ力の方にとても気持ちが吸い寄せられました。植物が持つ力には、私もいつも和ませて貰ったり、なぐさめてもらったり、元気を分けてもらったりしています。

28ページ目で主人公「玲斗」の生い立ちに触れてから、いろいろな感情が湧きます。そこから「千舟さん」との物語が始まるのです。様々な人生に触れながら玲斗が深く伸びて行く姿を見られるのはとても気持ちが優しくなり、心が洗われます。読後感もそのまま気持ちの良いものでした。

玲斗の本当の心の強さや優しさ、どこまでやるかの素晴らしい判断には胸を打たれます。涙が出ました。

断じて宗教のことではなく、何かを信じて生きられる強さと、自分に恥じることなく生きる強さをあちこちに感じました。

2024年の春に続編が出るそうです。嬉しい。
すんごく楽しみです!

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