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輪講(論文紹介)パワポの基本的な作り方

この記事は研究室への配属が決まり、先生(教授)からいきなり
「輪講するから論文読んでまとめてきて」
と言われ困った大学生向けの記事である。
そのため、できるだけ細かいことも書いていこうと思うので、必要な部分だけ読みたい人は次の目次を活用してほしい。


輪講とは

輪講は何かそもそも分からないという人も多いだろう。
そんなに難しく考える必要はなく、基本的にはみんなで議論しながら勉強しようという勉強会である。

具体的には、
1.発表者が読んだ論文やテキストの内容をまとめて発表する。
2.聞き手は発表の中で分からなかったことや疑問点を質問する。
この2点である。
この記事で詳しく説明するのは1の部分だ。

心構え編

輪講に挑むうえで、知っておくとよい心構え・考え方について説明しよう。

分からないことは「分からない」と言っても良い

ネットで検索すれば分かるようなことを分からないと言ってしまうと、先生はその分野のプロであるため一発でばれる。
だが、きちんと調べたうえで分からなかったことは、素直に「分かりませんでした」と言おう。

発表者が分からなかったところも、聞き手の中には分かる人がいる場合もある。そうでなくても聞き手と議論し、お互いの理解を深めるのが輪講の目的である。

意味不明な論文はそこそこある

学会で発表された論文だからと言って、内容がまともだとは限らない。これは知っておくべき事だと思う。
明らかに結論を無理やり書いている論文に、そもそもデータが足りていない論文など、無理やり実験を成立させている場合はある。

だが、間違ってもその論文を馬鹿にしたりするのはやめよう。
あくまでも淡々と、論文のよく分からない点を説明するのだ。

パワーポイントは自分の言葉で書く

論文内の文章を書いただけのパワーポイントはやめよう。それでは聞き手に論文を読ませるのとなんら変わらない。
できるだけ自分が理解したことを書こう。
(論文内の文章を絶対に書いてはいけないという意味ではない。何事もバランスが重要である)

ちなみに、先生によっては「論文の内容そのまま書いただけの発表は意味がない」と言って強制終了させてくる場合もある。

締め切り直前に論文を読み始めるのはやめよう!

いまいち論文の内容を理解できていない状態で作るパワーポイントほど意味不明なものはない。

逆に,論文の内容の理解さえできていればパワポ作り自体は発表前日に始めても意外と何とかなる。

論文の読み方編

論文を読む目的については様々だが、この記事では「輪講のパワポを作るための」論文の読み方についてアドバイスする。

メモを取る

メモの取り方は何でもいい。私は、以前はExcelにまとめながら読んでいたが、論文→Excel→論文……と視線を動かしながら読むのが非常に煩わしかったので、結局印刷した論文に直接メモを書いている。

メモの内容だが、重要なのは次の3つ
知らない単語
・目的、手法など章ごとの要約(大事なところに線を引くなどでも可)
疑問点
これらをメモしていこう。

自分が知らない単語はパワポ内に補足説明を書いておく必要があるし、疑問点はパワポの尺を稼ぐための材料になる。
章ごとの要約は、まああれば便利だ。

読む順番

私は正直、パワポを作るなら順番に読んでいけばいいと思っている。
だが論文の読み方については、以下のような順番がいいと聞くので一応書いておく。

まず要旨(Abstract)から読もう。ここには論文の目的と結論が簡潔に書いてあることが多い。
次に結論(Conclusion)を読もう。論文の着地点を把握しておくことで、内容が把握しやすくなる場合もある。

あとは順番に読んでいけばいい。

論文の内容がよく分からなくなってきたとき

この問題については誰もが一度は直面することになるだろう。
この場合の解決方法は簡単だ。パワポ作成に取り掛かろう

パワポの作成のためには論文内の情報を整理する必要があり、その過程で自分の理解も深まる。
もし論文の内容がちんぷんかんぷんなら、思い切ってPowerPointを起動しよう。

論文を読むときに便利なツールorサイト

Google
Google is your friend. 分からないことは一度ググろう。

DeepL 
英語で困ったらとりあえずコレ

Readable 
英語のPDFをそのまま翻訳してくれる。
有料にはなるが、PDFファイルを日本語訳するのが目的ならこちらにお金を払った方がいいと思う。
論文(PDFファイル)以外も日本語訳することが多いなら、上記のDeepLを使おう。

ChatGPT 
単語を意味を聞いてみるのも便利だし、こいつとディスカッションしてもいい。月2500円~3000円程度かかるが、GPT4を使えるようにしてもいいと思う。
頻繁に論文を読むならお金を払う価値はある。

https://chat.openai.com/auth/login

Copilot
情報の検索については無料のChatGPTよりもこちらの方が良い。
また、無料でも時間帯によってはGPT-4が使える。

https://copilot.microsoft.com/

Claude
無料でファイル入力できるのが嬉しい。
ChatGPTかClaudeか好きな方を使おう。

発表資料作成編

いよいよパワポ作成の方法について説明する。

パワポ1枚目

絶対に書くべきことは以下の3点
・論文名
・論文の著者名
・発表者(自分)の名前

どの研究室でもこの3点はマストだろう。
この部分に関しては、もはや論文を読み始める前に作っておいても良い

これを作っておくだけで、心理的に作業に取り掛かりやすくなる。
1から10を作るより、0から1を作る方がエネルギーが必要になる。

この次に目次のスライドを作る人もいるし、作らない人もいる。
作っておいて損はないが、論文の構成なんてほぼ同じなのでわざわざ作る必要はないと思う。

背景

よっぽど重要な背景でない限り、ここは1枚か2枚で説明すればよいだろう。
学会発表なら背景を詳しく説明することで自分の研究の有用性を主張するため重要となるが、輪講はそこまでする必要はない。

「この論文は~という背景のもと行われている」ということが説明できれば十分だ。
だが、ここで論文内の主旨となる事実や、重要な単語・知識についての説明が行われることがあるため、説明し忘れないように気を付けよう。

目的

ここもスライド1枚か2枚程度で説明すればよいだろう。
だが、その論文が一体何をしたいのかということを説明する重要な部分でもあるから、図やイラストなどを用いて分かりやすく説明しよう。

目的をうまく説明することができていれば、この後の実験手法の説明が微妙でも挽回できる。

予備実験(ある場合)

論文によって、あったりなかったりする章だ。
予備実験から何が分かるのか。また何が課題なのかという2点は説明するようにしよう。

実験手法

ここはしっかりと書こう。
長くなる場合は、PowerPointのSmartArtなどを使って実験手順の流れを示しながら説明するとよい。

また、このあたりからその分野の専門用語が飛び交い始める。
自分が知らなかった用語やあまり一般的ではない用語については、必ず説明を入れよう。

ただし、ググって出てきた説明をそのまま書くのではなく、初めて見た人が何となくイメージできるような説明が良い。
このときの書き換えに関しては、「論文を読むときに便利なツールorサイト」で紹介したAIを活用すればいい。

また、厳密性を求めない用語であれば、簡単な言葉で書くのも有効だ。
(先生によっては厳密性を求めてくる場合もあるので相手を選ぶこと)

実験結果

論文内の表が分かりやすいならそのまま貼って説明に使おう。
分かりにくいなら、
・見るべきところを枠で囲む
・表を切り貼りして必要ない情報を切り取る
・吹き出しなどで説明を入れる

以上のような加工で分かりやすくしよう。
ただ、結果や受け取り方が変わってしまうような加工には注意すること。

データから分かることなどは論文内に記述があるはずだ。これまでと同様にまとめること。

結論

論文内で書かれている結論をまずはまとめよう。
それから、自分の考察などを説明しよう。

最後のスライド

「ご清聴ありがとうございました」などの〆の一文を書いたスライドを一枚入れて発表を終えよう。

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