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鬱な日曜日

日曜日、水族館に行った。家族連れとカップルでごった返していた。魚は気持ちよく泳いでいて、普段目にすることのない海の世界が、地球の表面の7割を占めていることを思い出す。地球上で典型的な景色である海中を、我々は見ることなく生きているのだ。

水筒のふたを回す。さあリズムよくいきましょう。キュッキュッキュッ、キュッキュッキュッ。じ・さ・つ・し・た・いのリズムでちょうどフタは開く。冷たさが気持ち良いのどごしだ。

マスクがあって良かった。濁り切った真顔を隠してくれる。ずっと真顔を続けていたら、笑顔でできるシワが消えるかもしれない。それは若いというより能面のように不気味な顔であろうけど。

ビオトープの草や魚を見ながら、これが現実感の消失ってやつか、と考えていた。スクリーンを通して退屈なドキュメンタリーを見させられているみたいだ。早く電源を落としたいのに、画面を止めるには酷い苦痛を味わうという罰ゲームがある。死というエンディングがいずれ必ず待ち受けているのに、エンディングは求めに応じてやってはこない。

帰り道、帰りたくないと泣き喚く助手席の息子と、なだめすかそうと努力する夫の声、全ての音をシャットアウトして、面白くもない車窓を見ながら、どうか車よ衝突して、後部座席の私だけ殺してくれと願った。

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