見出し画像

龍安寺が優しい

京都に寺院はいろいろあれど、一番拝観者に優しい寺院は龍安寺かもしれない。先日家族で龍安寺にを訪れ、その徹底した配慮に驚嘆した。

龍安寺といえば世界遺産の石庭であるが、石庭をのぞむ縁側の手前に、石庭の小さなジオラマがあり、目の不自由な方が、手で触って庭のようすを感じ取ることができるのだ。

トイレにおいても、点字案内があるのはもちろん、ベビーベッドまであって子育て家族に優しい。参道の砂利道には、ベビーカーや車椅子のための脇道やスロープがあり、砂利でガタガタせずに進めるようになっていた。

金銭面でも龍安寺は優しい。障害者手帳保持者に割引があるのだ。公共の文化施設ならともかくお寺には珍しいと思う。調べてみると、京都には3,027 件の寺があるうち、障害者手帳で割引や無料になるのは 94 件だけらしい。駐車場も、1時間以内なら無料という太っ腹である。金銀苔石といって、京都の人気四大寺(金閣寺・銀閣寺・西芳寺・龍安寺)を呼ぶことがあるが、一番気前がいいと思う。ちなみに、1時間以内なら駐車場無料というのも嬉しい。清水寺のような観光地の中心地で、コインパーキングを使ったら、とんでもない額を払うことになるのを思えば、破格の親切さだ。

井上章一の「京都ぎらい」というエッセイに、寺の庭が発展した理由として、戦国時代、武将たちの宿泊施設として機能していたからではないか、という仮説があった。その意味では、寺は伝統的におもてなしの心を持っているといえるのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?