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読書感想「地雷グリコ」はエンタメ本の現在進行系か

「地雷」と「グリコ」なんという言葉の組み合わせでしょうか。

出版されたときにも話題になったいたと思うのですが、最近「本格ミステリ大賞」「日本推理作家協会賞」「山本周五郎賞」と3つの賞を立て続けに受賞したことがニュースになっていました。

この本が、なんとまぁ、面白いんです。
これぞエンタメ小説。ワクワクとドキドキがずっと続く。
全ぷで5章構成。第一章が表題作「地雷グリコ」で、その後に4つも話が続く。
また、一章の長さが、丁度よい。次はどうなるのかと、ついついページをめくってしまう。
これぞエンタメ小説、と思わずにはいられない作品でした。

以下、ネタバレを含むかもです。

話は一言でいうと、高校生が、ゲームで対決する話。
ゲームといっても、テレビゲームではなく、誰でもやったことがあるような「グリコ」とか「百人一首」「じゃんけん」「だるまさんがころんだ」「ポーカー」といったゲーム。
これらをアレンジしたゲームを、高校生たちが対決していく。正々堂々と、ルールに準じたイカサマをくししながら。

ギャンブル系というと、「カイジ」とか、「嘘喰い」とかの漫画も人気があるし、「イカゲーム」も話題になりました。最近のテレビだと「アクマゲーム」なんてドラマもやっている。

流行りのジャンルといえるのかもしれない。
でも、このようなゲームを考え、書くことは難しいのではないでしょうか。
きっと頭がいい人が書いたんだろうな、と思ったら、やはりいい大学出てますね、青崎有吾先生。

先の賞の受賞式で、「高校生がゲームをするだけの話で、受賞を驚いている」という趣旨のコメントがあったと記憶している。
ソコだけ切り取られているだけなのかもしれないけど、それを聞いたとき「同感だな」と思いました。

めちゃめちゃ面白い。
けど、なんか薄っぺらい気がしていたんです。
それを、作者自身が肯定してくれたように、勝手に思ってしまいました。

ゲームが、駆け引きが、面白い。
それでいいんだけど、個人的には、超個人的には、もっと人間関係とか、人生観とか、なんか、そういうのが欲しかったのかな、と。
全然ないわけではないんだけど、もう少し、考えさせて欲しいな、と。

本離れ、なんて言葉が出てきてから、久しい。
そんな中で、肩肘張らずに読める、エンタメ小説が出て来て、賞を取り、注目される。
それがきっかけで、また本を読む事に興味を持つ人が増えていく。
そんな循環が、そのきっかけが、できるといい。
この本のような、ザ・エンタメ小説がその一翼を担ってくれるといいのかと思います。

何度も言っときますけど、否定しているわけではなく、賞を取ったのも納得の、手軽に読める、オススメできる面白い作品です。
何か面白いものを読みたいな、というときに最適かと思います。ぜひお手にとってみてもらえればと。

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