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2019年冬アニメ感想 けものフレンズ2

 アニメを見るのはもうやめようか……と前回の「アニメ感想」の時に書いたのだけど、そういえばNintendoSwitchを買ったわけだし、ニコニコ動画の公式配信でアニメ観られるじゃないか……と気付いた(それも後半見られなくなり、PCで見ていたが)。
 アニメ見るのがつらいのは、毎週を追いかけて観るのがしんどいのと、テレビの前に座っているのがしんどいのと2つ。テレビを見ている時間はもう寝ていたいくらい体が疲れてしまっている。そういうわけで、今アニメを見るときは寝姿勢で。ストーリーもしっかり追わなくてもいい作品のみに限定した。ストーリーものは疲れているせいで記憶もあやふやになっていて、前回の内容をまったく憶えてないことがあるから(「あれ? あのキャラ死んだんだっけ?」というのが本当にある)。信じられないかも知れないが、それくらい体が壊れちゃってる。
 NintendoSwitchで見たアニメは話題作『けものフレンズ2』と、可愛い猫が出ていると聞いて『同居人は膝の上、時々頭の上』の2本。


けものフレンズ2

 案の定、荒れ放題の『けものフレンズ2』。絵は格段にキレイになったし、主演の尾崎由香も上手くなった。予算が潤沢になったのは客観的に観てもわかる。しかし内容には多くの疑問点が付く。

 クローズアップするとそこそこキレイに見えるキャラクターだが、ロングサイズになると歩き、走りの動きがパターン化されたものになって動きに個性が感じられない。フレームレートはバラバラで、コマが飛んだり、急になめらかになったりする。構図は平凡にレイアウトの中にキャラクターを立たせているだけの画ばかりだし、ときどき意味のないところでカメラがキャラクターの周囲を回り始める。
 まるで絵コンテを初めて描いた学生作品のような内容。『けものフレンズ1』はかなりギリギリの内容だったが、歩きでキャラクターの個性を出す、というアニメ表現は最低限のラインとしてやっていた。『けものフレンズ2』はキャラクターのモデリングだけでキャラの表現はもう終わっていた。
 第7話では走る場面がたくさん描かれたが、脚と地面の動きが合っていないし、走る動きがデジタルなのにまるでデッサンの壊れた画をみているようだった。あんな迫力のない走り動画を見たのはいつぶりだろう。
 前作『けものフレンズ1』はどう見ても予算的・人員的に成立しそうにないアニメをたつき監督1人の底力で普通以上の作品に持ち上げられていたのだが、今回は予算が潤沢であるはずの中でこの不安定さ。むしろ逆に「学生作品感」が強くなった。

 アニメーション以上に物語にも問題点が多く、目標地点に向かっているように見えないのに、なぜか毎回都合良くいい地点に物語が着地して終わる。
 一応、キュルルがその時々で解決法を提案するのだが、その内容に説得力がない。説得力がないのになぜか都合良くキャラクターが作り手が意図した通りに動いてしまうから、キャラクター達が生命を持った人間に見えなくなる。
 物語の進め方も良くなく、物語を進展する切っ掛けをあえて遠ざけて、あまり意味があるとは思えない回り道する場面もよくあった。あれはわざとらしさが出るし、23分の尺をエピソードで埋められなかったから、時間稼ぎのためにやっているようにしか見えなかった。エピソードを引き延ばす作戦にしても、それで面白くなることもなく、鮮やかさがまったく感じられない。

 『けものフレンズ2』は最初に頃よく言われたように画・ストーリー共に「学生作品」に戻ってしまった。
 どうしてここまでおかしな作品になったのか、というとプロデューサーが悪い。エンターテインメントはそこにどんな物語が描かれ、どんな物語を感じさせたかが大事だ。これが何もない。
 おそらくプロデューサーは動物の格好をした可愛い女の子さえ出ていればいくらでも商品が売れると考えたのだろう。だが、今時の「3ヶ月で嫁が変わる」と言われるオタクですらそこまでちょろくない。物語やキャラクターは出せばいくらでも売れるものではなく、摩耗するもの。だからこそ大事に育てなければならないのだが、育てるという発想なく、“ただの商品”として扱ってしまった結果だこれだ。
 それでも『けものフレンズ2』はそこそこ商品としてヒットするんだろう、と別のところにも書いたが今でもそう考えている。というのも、たつき監督降板騒動を知らないライトユーザーはやはり多いから。ネットで特に発言しないサイレントマジョリティのほうが圧倒的に多い。そういった人達の『けものフレンズ』コンテンツそのものへの支持がまだまだ厚いから、商業的にはそこそこ成功するだろう。
 だが『けものフレンズ』というコンテンツがその後再生することはないだろう。創作を理解していないボンクラが駄目にして、「終わるコンテンツ」となってしまった。

 開始前からいろいろありすぎた『けものフレンズ2』だけども、作品が面白ければみんな納得したはずだったのにな。何があっても、面白ければ逆転の可能性はあったはずだった。どんな騒動も、作品そのもので納得させ、黙らせなければならない。これを理解せず、創作を安易に考えすぎた。

 それでも第1期シリーズよりかは画面自体はキレイになっているので、見やすくなっているのは確か。画面だけは普通の作品になった。第1期はどう見ても予算も人員も不足している中での制作だったから。あの状態からのヒットは、幻だったのだろうか。

 ところで、同時期にヤオヨロズ制作、たつき監督のアニメ『ケムリクサ』が放送されていたそうな。今期はアニメ情報をまったく仕入れてなかったので、存在を知らなかった。『けものフレンズ2』放送のタイミングに合わせてきたのは、挑戦だったのかな? 『ケムリクサ』はストーリーすら知らないけど、どっちのほうが評判になっていたのだろう?

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