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10月30日 アバターを用意して、VR時代に備えたほうがいいかも知れない。

4Gamer:Facebookが社名を「Meta」に変更してメタバース関連事業に集中。新型VR HMD「Project Cambria」もチラ見せ

 Facebook、社名まで変えちゃうんだ? 思い切ってるなぁ……。

 3~4年くらい前、ブログだったかFanbox会員限定記事だったか忘れたけれど、私は「アバターは持っていたほうがいいかもね」みたいな話を書いた。
 そう遠くない未来、VRの世界でもっと色んなことができるようになる。出会い・交流・イベント参加……仕事もVR上で、ということも珍しくなるかも知れない。
 仕事に打ち合わせなんかもVR上でやって、アバターを通して何度も会って話しているけれど、実は実際に会ったことが一度もなく、さらにお互いの姿も知らない……未来の世界ではそんなことが起きるかも知れない。

 という話を書いたのは3年前くらい。その頃は「メタバース」なんて言葉はまだなかったけれど、何年か前に「そうなるかもね」と書いたものがじわじわと現実になろうとしている。
 本当にアバターの用意はしておいたほうがいいかも知れない。VR上で見せる顔がなければ、この波に乗れないわけだし。

メタバース メタ facebook-horizon

 そうすると、やはり気になるのはアバターとステージ。
 Facebookが公開している動画には、上半身だけの男女の姿が描かれているが、違和感というか、みんな幽霊に見えてしまう。脚がない理由はわかるが、だったら脚がなくても成立するような格好いいデザインを考えて欲しいどころだか、単に下半身がないだけ……という描き方だ。あれだと奇異に映る。
 容貌も現実にありそうな顔を、抽象度を上げて表現しただけ。あれでは面白味がない。せっかく「なんでもあり」のバーチャルな世界にいるのに、どうして現実を引きずった顔をしなければならないのか。
 次に気になるのはステージ。場所というのは重要だ。現実には無理だけど、こういう環境に住んでみたい……たとえば南国だったり北国だったり、ファンタジーの世界だったり……誰でも理想のイメージがあるだろう。メタバースにはそういう思いを反映するようなステージがない。
 人間は「場所・温度」に飽きるものだ。もしも会議で行き詰まって、新しいアイデアが出ない……そういうときは会議室を変えるだけでも、意外に効果があると言われている。ただ仕事の場所を変えるだけでも、意外と効果があるのだ。
 VRだと好きなようにいくらでもステージを変えられる。だったらそこを利点として活かすべきだ。わざわざ現実世界の、暗くて地味な会議室をVR上で再現するのはバカのすること。自由にできるんだったら、自由に発想をして良いはずだ。
 でもFacebookが公開している動画は、見ていて別にワクワクする要素がない。仕事上「仕方なく」で選択するかな……というスペースでしかない。あれだと別にこだわらなくてもいいかな……という気分になる。

メタバース メタ share

 で、Facebookが公開した動画や画像を見ると、なんとまあ、現実の会議室の光景をVR上で創り出し、自分そっくりの腰から下がないアバターを使って会議をしている。「メタバースはこういうものですよ」……という説明でそうしているのだけど、いや、あれだったら別にビデオ会議で良くない? ってなる。わざわざVRにする意義を感じない。
 ステージもぜんぜん魅力的ではなく、あれだったら、『フィナルファンタジー14』をVR化したほうが、気分は高揚しそうだ。『ファイナルファンタジー14』のほうが、おそらくFacebookのメタバースより、できることは多そうだし。
 メタバースの中に、私がいま目の前にしているモニターやキーボードを持ち込めるかどうかもわからない。モニターを持ち込めるんだったら、VR上にゲームを持ち込んで、友人達を呼んで、さらに配信者ならその背後にお客さんを呼んで、ステージ上でゲームで遊ぶ……なんてこともできるが……そういうのができるのかどうかわからない。
 今のところ、VR上で人と会って会議できますよ、と言われても「で?」という感じが強い。

 ココナラのようなお仕事受付サイトを見ると、「私のVtuber用のアバターを作ってください」みたいな依頼をよく見かける。今だと何かしらの動画発表をするつもりの人……だけの話だけど、もしかすると普通の人もアバターが必要になる時が来るんじゃないか……と考えている。それこそ、仕事に行くためにスーツがいる、みたいに。
 もしもVRがもう一つの「社会」として機能するくらい未来になると、そこに預けておく「身体」が重要になってくる。
 カスタムアバターでもいい……と思うかも知れないが、VR上の顔となると、自身のアイデンティティと深く結びついてくることになる。VR上にいる時間が長ければ長いほど、自分の意識と身体の姿はよりリンクしていたほうがいい。
 押井守監督の『GHOST IN THE SHELL』という映画では、主人公は隠密仕事を主とする全身義体だ。外観はよくある市販のモデルが使用され、その中身が超機密ハイテクボディという構成になっている。すると街に出ると、時々自分とまったく同じ顔をした人に出くわすことがある。劇中、同じ顔の人とすれ違って、一瞬ギョッとする場面がある(草薙素子はそんなに大袈裟な表情演技はしないけど)。自分も相手も全身義体だとわかっていても、顔を見合わせるとそういう反応になるのだ。

 だからVRアバターもできるだけフルオーダーメイドで作ったほうがいい。できれば自分の理想にあった、本当の身体よりも自分の意識に沿ったものを。そういう身体を獲得すると、よりVRでの時間が楽しくなれるだろう。
(カスタムアバターを使っているか、フルオーダーメイドアバターを使っているかで所得の格差がわかっちゃうな……)
 もしも私のアバターを作ってもらえるのなら……うーん、やっぱり可愛い女の子だなぁ。可愛い女の子になりたい、という理想がいつも頭の片隅にある。小説とか漫画とか描いていると、そういう願望がダダ漏れになりやすい。普通に生活している人よりも、私のような作り手タイプのほうがそういう理想や願望を自覚していることが多い。たまに、無自覚な人もいるけれども。

 でもさしあたって私はまだVRゴーグルすら持ってないから……そういう未来はまだ当分先かな。VRゴーグル自体、導入コストがやや高めだし、長時間装着にはまだまだ重いし、広まるにはもうちっと乗り越えなくちゃいけないハードルがある感じだよね。
 そもそも、今のところVRの世界ってなんかショボいっていうイメージあるし。アバターもなんかペラペラだし、VR空間もテクスチャーの載っていない、「プレステ初期時代のCGかな?」みたいなのが未だにあるし……(アバターはいつになったら髪の毛が肩に貫通しなくなるんだろう。ヒラヒラが体を貫通する現象もいまだに解消されない)。総じて世界観が安っぽい。技術的にもまだ早いって感じなのかな。Facebookのメタバースも、すぐに流行るとは思ってないよ。もうあと何年か様子見でもいいかな。お金ないし……。


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