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12月9日 うちゅーじんについて考えてみた。

 実はここ最近、空き時間にNetflixで「宇宙人」に関するドキュメンタリーを見てたんだ。  ドキュメンタリーを見ながら、まあ色々考えていたわけで……。

 まず、「宇宙人はいるのかいないのか」問題。
 作家やっている人間が「いない」って言ったらダメだよね。一般的な社会人じゃないんだから。「宇宙人はいる」と言ったほうが面白いし、じゃあいるとしたら何をしているのか、どういう状態で存在しているのか……そう考えたほうがいい。
 うん、「面白いか面白くないか」しか基準はないよ。「いる」と言ったほうが面白くなるし、考える幅は広がる。私は「面白いこと」を考えることが仕事だから「宇宙人はいる」と言う。普通に過ごしている一般人なら別に「いない」と言ってもいいけど、私はこういう時に「いる……なぜならば……」と言うのがお仕事だから「いる」と言う。

うちゅーじんがいる可能性はどれくらいか?

 では「いる」とした場合、宇宙人についてどう考えるのか?
 件の宇宙人ドキュメンタリーによれば、この広い宇宙に地球のような文明を築いている可能性のある惑星の数は「10垓個」という推論を出していた。
 10垓0000京0000兆0000億0000万0000個
 という数字ですな。
 でもこれは、あらゆる諸問題を排除した上で考えた「思考実験」の産物なんで、「可能性だけで考えるとそうかも知れないけど、現実は違うかも知れない」というあやふやなもの。
 ただ、確かな話として「0個」は絶対ないんだ。なぜなら地球が現実に存在しちゃってるので、「1個」は存在していることになる。もしも「宇宙人の存在する可能性は0である!」というと、「じゃあ俺たちは何者なのか?」という問いに答えなければならなくなる。

 では、地球の近くに文明を築いていそうな可能性のある惑星は、どれだけ距離が離れているのか……というと、ざっと40兆光年。「駅から徒歩40兆光年です」……ははっ、ご冗談を……。
 1光年は9兆4607億3047万2580キロメートル(なんでこんな半端な数字なんだろう?)なので、だいたい380兆キロメートルだ。
 これも「地球と同環境の惑星がそれくらいの距離にあるけど、そこに宇宙人がいるとは限らない」というやつなので、実際にはもっと遠いかも知れない。
(※ どうやらもっと近くにも、生命体がいそうな惑星はあるそうです)
 まずこの距離感が問題になる。もしものもしもで、その最寄り惑星40兆光年のそこに文明が築かれているとして、その住人達が、「どうやらあちらの太陽系に地球とかいう惑星があるらしいぞ」と気づいて、宇宙船を作ってやってこようと思った時、何年くらいかかるのか?
 100年? 500年? 1000年? よくわからない。私たちが知っているような航法で移動した場合、途方もなく時間が掛かるということになる。SFであるようなワームホールであるとか、位相差空間ゲートであるとか、ショートカットする何かを発明していなければとても行ってみようなんて気にならない距離だ。

うちゅーじんは本当に地球に来ているのか?

かつてMIBだったが、いつの間にか宇宙人になっていたトミー・リー・ジョーンズ。

 もしも、冒険心の強い誰かが挑戦したとして、地球までやってきました。するとまず始めに思うのは「拠点が欲しい」ということだ。乗組員を休ませなければならない。食料を得なければならない。数百年かけて旅をしてきたのだから、宇宙船はボロボロだろうし、食糧も尽きているかも知れない。そのためにはまず地球で強力な権力を持った誰かしらにコンタクトを取りたいと思うはずだ。気軽に行き来できる距離感じゃないから、拠点を築いて、まず安心を得たいと思うはずだ。
 『銀河系ヒッチハイク』によれば、地球で2番目に賢いのはイルカで、3番目が人間だったと記憶しているから、宇宙人達はイルカとコンタクトを取って、地球上に拠点を作ろうとするだろう。
 人類……ああ、あの羊とか牛の面倒をみているやつね。あいつらって、地球上で偉い存在なの? 客観的に見て、人類とかいうやつは犬や猫の「お世話係」にしか見えないので、普通に考えたら、もっと賢い存在であるイルカを交渉相手にするだろう。(だから宇宙人は定期的に牛をさらってるのか?)

 ところが、どういうわけか宇宙人達はどうやらやってきているらしいが、公の場に姿を現さず、どこかに拠点を築いたという話もしない。アメリカ政府が隠そうとしているらしいけど、なぜ隠す必要がある?

 隠す必要があるのは、アメリカ政府が40兆光年の時空を乗り越えてきた宇宙船を所有しているからだ。その宇宙船は、我々にとって未知のテクノロジーで作られている。そのテクノロジーを外部に漏らすわけにはいかない。
 軍事的観点からいって、日本じゃあるめーし、自身が所有している兵器の全スペックを公開するわけにはいくまい(外国のスパイは、日本に来て「防衛白書」を買って帰るんだそうだ。そこに全部載ってるから)。相手国に対して優位に立つために、秘密兵器を持っておく必要がある。もしもの時に備えて、必殺の秘密兵器は持っておくべきである。
 宇宙船を隠さなければならない理由は、現代の地球文明ではその宇宙船のテクノロジーを再現できないからだ……とも語られる。
 前にも話したが、中国は色んな国にスパイを放ち、いろんな兵器の図面を持ち帰っている。しかしそれを再現した兵器を作ろうとしてもうまくいかない。なぜなら根本的な冶金の技術がないから。図面があったところで再現できるかどうかは別問題。中国が図面を盗んで再現したエンジンは、たった1時間で上がっちゃって動かなくなる……という話も聞いたことがある。また鹵獲した兵器のデッドコピーなんかも作っているそうだが、こちらもオリジナルとは似ても似つかぬポンコツだという。中国は何かと自分たちが持ってる兵器を誇示したがるけど、半分くらいはハリボテなんて話も聞いている。
 同じような理由で、宇宙人のテクノロジーを所有はしているけど、再現はできない……これがアメリカ空軍の現状だという(宇宙人の秘密を握っているのは空軍らしい)。
 ただ、宇宙人のテクノロジーは少しずつ解明され、自分たちの技術に置き換えられているから、最近のコンピューター技術は飛躍的に向上しているのだという。

 ……ははっ、ご冗談を。
 スーパーコンピューターの技術も、そこまで突飛なものが突然出てきたりはしない。どれも想定できる可能な範囲だ。もしも本当に宇宙人のテクノロジーを所有していて、少しずつ解明されて、それによって私たちの文明のスケールが上がっている……という話なら、今みたいなショボい感じじゃないだろう。
 私はこういう文章をキーボードで打っているが、このキーボードも数十年形が変わってない。もしも宇宙人のテクノロジーがあるなら、そろそろ「考えるだけで文章が打てる」機械が出てきてもいいんじゃないか。空飛ぶ車だってとっくに飛んでいるはずだ。バーチャル世界にフルダイブする機械だってできているはずだ。なぜそういうのがまだないんだ?
 なーんか、この話、胡散臭いぞ……。

(追記 えー……イラン通信社によると、アメリカ軍空母に三角形型UFO「TR-3Bアストラ」が発見されたそうです。画期的な「半重力搭載エンジン」航空機だそう。あれ? 宇宙人のコピー機が完成してる? じゃあアメリカ空軍は本当にUFOを所有してたってこと?)

 という以前に、もと軍籍にいた、という人からこれに関するお話が全く出てこない。出てきたとしても、「知人の知人に聞いた」みたいな話で、直接の体験談が出てこない。
 独裁国家中国でも、内部の話がいろんなところでポロポロと出てくるものだ。それがアメリカのようなだらしない国が、一枚岩になって秘密を完璧に守り通している……なんて話があるわけがない。
 秘密主義であんなに厳しい『スターウォーズ』の脚本だって外部に漏れることがあるんだぜ。宇宙人の情報を持ってて話題になると思ったら、秘密を漏らす軍人の1人2人いてもおかしくない。アメリカのネバダ州の砂漠にあるエリア51に宇宙人の物証が集められているというが、そこから宇宙船のネジ一本、宇宙人の髪の毛一本でも持ち出されたというニュースも出てこない。「宇宙人がいる」なんて金になる情報、流さないやつのほうがおかしい。そこまで厳重なセキュリティなんて聞いたことがない。今まで物証が一つとして出てこないというのはそういうことだ。そもそも“ない”のだ。秘密があるんだったらとっくに『文春』あたりが記事にしているはずだよ。アメリカ政府は何の秘密を持っていない。
 アメリカ政府はすでに宇宙人とコンタクトを取っていて、それを隠している。これについて納得できる理由が思いつかない限り、この説を信じるわけにはいかない。

うちゅーじんの遭遇事例からどうやってコンタクトしてきているか考える

政界にいる宇宙人の代表

 よくある宇宙人の目撃例の話を考えてみよう。
 UFOはいつも突然に現れる。なんの脈絡もなく突然現れ、航空機としてあり得ない動きをして、突然消える。
 もしも宇宙人とUFOが実際にいるとするならば、あの現象はどうして起きるのか?

 ドキュメンタリーを見ながら私が考えていたのは、「宇宙人は存在していてコンタクト取ろうとしているけど、まだ地球に来ていないのではないか?」だ。地球で目撃されるあのUFOは「姿」だけ。遙か彼方から映像だけを投射しているのではないか?

 なぜなら地球から一番近い惑星でも最低でも40兆光年だ。そんな距離感、時間をかけてやってくるなんて、相当な覚悟のいることだ。もしもやってきたとしたら、すぐにでも誰かとコンタクトを取りたいはずだし、そのために目立ちやすいところに派手に姿を現すはずだ。姿を隠す理由が思いつかない。
(40兆光年よりもっと近くにあるそうです。念のため)
 宇宙人は存在する。ただしまだ地球に来ていない。地球には映像だけを投射している。映像を投射しているだけだから、映像を映すポイントがブレたり揺れたりするので、奇妙な動きをしているように映ってしまう。
 地球も宇宙に向けて、様々信号を送っている。シンプルな信号音で、自分たちの存在を伝えるメッセージを送っている。すると宇宙人達も同じようにメッセージを送っているのかも知れない。それが空中に現れるUFOのような像として現れているのではあるまいか。

 まあ、それがどうやって投射されているのかは説明できないけど。
 私が想像しているのは、幽霊みたいな感じ。魂や精神だけを飛ばしているんだ……みたいな感じの。
 なんだそりゃ。それはSFではなく、オカルトだって話だけど。

 UFOは「像だけ」かも知れない……という根拠の中には、実はUFOの追跡をしたことがあるという軍関係者の証言はあるから。正体不明機を捕捉し、接近し、警告をしたことがあるという。
 しかしその正体不明機は、現代の最新機でも追いつけないくらい速く、にも関わらず「音」を出さず、森の側を通過しても「木々が揺らめかず」、さらに「ソニックブームを発生させなかった」という。最後には「突如消えてしまった」という。そんなものは物理法則に反する。どうして物理法則に反するものが空を浮かんでいられるのか……というと「像だけ」だから。

 宇宙人は頻繁に地球人の前に現れて、コンタクトを取っているらしい。
 その話は世界中様々なところで聞くけれど、どの話を聞いてもとても変なんだ。
 まずコンタクトを取る相手がおかしい。
 宇宙人がコンタクトを取るのは、ごく普通のおじさん、おばさん、若者、子供……。
 待て待て。何かしらメッセージを伝えたいんだったら、もっと偉い人とコンタクトを取るべきだろう。政治家、学者、作家、画家……まずこういう人達とコンタクトを取るというのが普通だろう。でも、こういう人に対して宇宙人はコンタクトを取ろうとしない。

なぜか地球に対して環境テロを行使する宇宙人。

 もう一つ変なところは、宇宙人は環境問題を気にしているという。
 2008年のSF映画『地球が静止する日』という映画で登場する宇宙人は、環境破壊をする地球人にあきれ果てた宇宙人が、地球人を滅ぼそうとするお話である。いわゆる「環境テロリスト」である(ちなみに宇宙人を演じたのは、キアヌ・リーブスだ)。
 おいおい、なんで地球に住んでもいないような連中が、地球人の環境破壊に憤るんだ? 後々「占領するつもり」という話ならわからなくもない。地球の豊富な天然資源は宇宙から見れば魅力的に映るだろう。地球人がそれを無闇に浪費している様子に、懸念を示すのはわからなくもない。
 宇宙人が地球人の環境問題を気にしている……という話は実は結構ある。宇宙人とコンタクトを取った……という人の中には、環境問題を警告してきた、と話す人は割と多い。

 でもこのお話が変なんだ。何が変なのか、というと、それだったらまず「話す相手が違うだろ」という話だ。その辺のオッサンを捕まえて、拉致して「環境問題をどうにかしろ」とか言ったってしょうがないでしょ。あるケースでは学校の運動場に現れて、子供たちに対して「工場の排ガス問題を解決せよ!」とお説教をしたという。いや、そんなこと子供に言ったってしょうがないでしょ。
 そういうことは、その工場の責任者に対して言いなさい。あるいは、研究をやっている学者に言いなさい。政治家に対して言いなさい。そういう権限を一切持たない、関係ない人に言っても意味がないでしょ。

 もう一つ変な話は、宇宙人はどうやら地球よりもはるかに高い文明を持っているという。それだけの文明を築くためには相応の自然の消費がなければならない。文明を築くためには、天然資源と取引しなければならないからだ。宇宙人がとんでもなく高級なテクノロジーを持っているならば、相応の自然を消費してきたはずだ。その自然を消費してきた宇宙人達が「地球人達よ、環境問題をどうにかせよ」というのは「お前らが言うな」という話だ。
 自然を消費しすぎて、自分たちの文明が崩壊寸前で……という話をするならわからなくもない。「宇宙人によるしくじり話」だ。
 もう一つこの話が変だと思うのは、ひょっとしたら宇宙人達は、資源消費をより少なくする技術を持っているのではないか……? だって地球より遙かに高い文明を持っている、という話だ。だったら現在地球で取り組んでいる「再生可能技術」のもっと高級なものも持っているはずだ。地球の環境問題を気にするなら、その技術を教えてくれよオイ……って感じだ。その辺のオッサンや子供の前に現れて説法をするより、学者の前に現れてその技術を教えてくれたほうが手っ取り早い。
 なぜ宇宙人達はそうしないのか?

 推測の一つ目は、宇宙人は地球人とコンタクトを取っているが、その相手を自分から選べない。なにしろ遠い惑星からなにかしらの信号を送って交信しているので、相手が子供が学者か……なんて選べない。
 二つ目の推測は――地球人側の勘違いだ。

 宇宙人の遭遇し、コンタクトを取った……という人の多くは、「テレパシーのようなもので対話した」と語る。言語で対話したのではなく、脳に直接語りかけて生きた……という。
 すると宇宙人はイメージを直接相手の脳内に送り込むという技術を持っている……ということになる。それで、宇宙人は何かしらのイメージを送ったが、それを解釈の仕方を間違えている。地球人側は、宇宙人が送ってきた何かしらのイメージに対して「ああ、環境問題の話をしたいのかな」と思い込んだ。なぜそう思ったかというと、それが地球人側の関心事だからだ。地球人がその関心を強く持っているから、それに関連したイメージを見せられると、「環境問題にまつわるイメージだ」と思い込んだ。
 でも実は違っていたのではないか?
 どう違っていたのかは、推測が難しいが……。宇宙人は自分たちの惑星の環境をただ見せただけじゃないだろうか。「私たちはこういうところに住んでますよ」と。
 地球からも宇宙に向けてメッセージを送っている。そのメッセージの中には「地球人はこんな姿をしていますよ」と「このような環境の惑星に住んでいますよ」というメッセージが含まれている。
 同じように宇宙人も、「自分たちはこんな惑星に住んでますよ。どうですか?」とイメージを送っていたのではあるまいか。
 すると、宇宙人が伝えようとしたイメージから逆算して、その宇宙人が住んでいる惑星の環境がどんなものか推測することができる。宇宙人が住んでいる惑星は、自然がかなりの危機的状態だ。崩壊寸前の状態にある。それを私たち地球人に見せている。「私たちはこういう環境に住んでますよ」と。
 そのイメージを地球人は勘違いして「環境問題の警告をしているんだな」と思い込んでいる。そういことではないだろうか。

 ちょっと付け足しだ。
 宇宙人とコンタクトを取った、という証言話でよくありがちな特徴は、ディーテルが省かれている……ということだ。UFOに遭遇し、光線に引き寄せられるが、宇宙船に入った瞬間の光景がだいたいスキップされる。ふと気づけば、寝かされていて、宇宙人に取り囲まれていた……という話のパターンが多い。
 まるで、夢のお話を聞かされているようにフワフワしている。どうして宇宙船に入って、それから何がどうなって……という話がスキップされるのか。その後、どうやって地上に戻ったのか……という話もスキップされる。みんな「いつの間にか元の場所に戻っていた」と語る。お話が、「後から起きたことを一生懸命思い出しながら話している」……みたいな感じなんだ。あたかも「今朝どんな夢を見たのか、思い出しながら話している」……みたいな感じ。
 これもイメージを直接脳内に送られているから、頭に浮かぶのは「送られてきたイメージだけ」であって、その前後のストーリーがないのではないか。ただ直接脳内に映像が送られているから、その場面場面のイメージだけはやたらと克明になって、それがあまりにもリアルだから「宇宙船の中に入った」という記憶が勘違いとして残る。実はイメージを送られていただけであって、宇宙船の中に入っていなかったとしたらどうだろう。

 宇宙人について思うことは、宇宙人の意思はみんな共通じゃないということだ。
 宇宙人によってはただ姿を見せて手を振るだけ、というのもいるし、誘拐してヘンなものを体に埋め込んだりもする者もいる。どうも行動が一貫しない。一貫しないのは、宇宙人全員がみんな一つの意思に基づいて行動しているわけじゃないから……だろう。
 ひょっとすると、ある1つの特定の惑星からではなく、複数の惑星から、違う種類の宇宙人がコンタクトを取ってきているのかも知れない……。

 私は宇宙人は来ていない。像だけを送っているという考えを示したが、この考え自体に特に根拠があるわけではないが……。
 宇宙人に誘拐された人は、大抵、奇妙なイメージを見る。そのイメージも語る人によってぜんぜんイメージに一貫性がない。まるで夢を見てきたようなお話ばかりする。なんでお話がそんなにフワフワしているんだ……。
 宇宙船の中に入ったお話もあるが、みんなふと気づけば元の場所に戻されているという。ディテールがいい加減だ。
 その上に、宇宙人はテレパシーで対話するという。つまり思念を送り合う技術を持っているということだ。思念というか、精神とか魂とか……という話をするが、そういうものを送信するなら、40兆光年という距離感も無視できる。ただ、やっぱり距離が長いので、像をパッパッと浮かばせては消えてしまう。
 宇宙人の思念や精神を飛ばす技術というのはかなり高度で、地球の空に像を浮かび上がらせることもできる。地球人に対してコンタクトを取り、イメージを送るところまでやっている。ただし、送る相手を選ぶ技術まではない。思念を飛ばしたところに、たまたまいた人の頭にイメージを映し出すだけだ。

うちゅーじんに遭遇したと語る人は多い

 「宇宙人に遭った」
 そう語る人は多い。すごく多い。その多くの人は自分が見たことを一生懸命伝えようとする。見たけれども、誰も信じてくれまいと何年も黙っていて、やっと決意したように喋り始めた……という人もいる。中にはまるっきりのウソでした……という人もいるだろう。しかし全員が全員ウソをついているとは思えない。みんな自分が体験した真実を語っている。
 そういう体験話の全てを、「全部ウソ話」と決めつけることはできない。何かしらあったから、そう語っているのだ。体験したという話は事実なのだ。
(ただ、この体験話についても「宇宙人らしきものを見た」という話で、本当に宇宙人だったかどうか……という根拠がない。誰も自分が遭遇したのは宇宙人だったのか、という証明をしていない。そういう体験はしたのは事実だが、実際にはまったくの別のものだったかも知れない)

 そういった体験話は事実であるとして、しかし「物証」がない。
 宇宙人話の問題は、「体験話」は無数にあるが、「物証」がない。
 よくある話として、宇宙人が出現すると、間もなく黒い服を着た人達が現れ、証拠隠滅の工作を始めた……という話。メン・イン・ブラック(MIB)と呼ばれる人達だね。ドキュメンタリーでもMIBはよく描かれていて、宇宙船の写真を撮った……という人も一杯いたのだけど、全員そのカメラをMIBに言われるままに預けている。
 MIBはアメリカ政府の所属で、人々から集められた宇宙船の情報を独占し、隠している。
 でも、いくら隠蔽工作があったとしても、ここまで徹底した隠蔽工作なんて聞いたことがない。どんな極秘情報も、いつかは必ず漏れるものだ。隠そうとしても「文春」あたりが暴くだろう。「文春」に暴けないものはないからだ。
 ところが2020年代になった今でも、宇宙人関連の「物証」はただの一つとして漏れたためしがない。宇宙船のネジ1本でも発見されていない。
 ここまで物証がないということは、もはやそもそもないんじゃないか……と考えるしかない。宇宙人や宇宙船の物証がなく、「証言」だけは大量にある。
 証言している人がいる、というのは真実だ。UFO映像の大半はニセモノだが、UFO映像があるというのも事実だ。しかし「物証」が出てこない。このあたりの整合性を整えると、「宇宙人は地球にやってきてはいない」という考え方になる。

 私が「宇宙人はまだ来ていない」「思念を飛ばして像を浮かばせているだけ」と推測したのはこのあたりからだ。これなら物証が出てこない理由も説明ができる。物証なんてものはそもそもないんだ。あるのはイメージだけなんだ。
 それを理屈つけようとすると……どうしても話がSFではなくオカルトに行ってしまう。果たして思念だけをパッと飛ばして遠い惑星の人達に見せる技術なんてものがあるだろうか……? もしも宇宙人が私たちよりはるかに進んだ文明を持っていたら、なくはないかも知れないけど……。
(追記 イメージを相手の脳に直接送り込む技術……というのは実際に研究されている。将来的には現代みたいに一生懸命暗記しなくても、直接脳に知識を送り込むことが可能になるそうだ。そういう技術も遠い未来の話でもなくて、もしかしたら私たちが生きているうちに実現できるくらいまで研究が進んでいるそうだ。宇宙人がそういう技術をすでに持っていて、惑星外にイメージを飛ばしているとしたらどうだろう?)

 それにしても、宇宙人に注文を付けるとしたら、今度は映像作家にコンタクトを取ってイメージを送って欲しい。これまで出てきた宇宙人に関するエピソードはみんなイメージがふわふわしている。
 だいたい、宇宙船があんな形しているわけないだろ。映像では表面に一杯パイプをくっつけて、デコボコさせて、光を放っているが、あんな空気抵抗が大きな航空機が空を飛べるわけないだろ。
 どうして宇宙船といえばあんな形になるかというと、みんなイメージが曖昧だから。何となくである宇宙船の通俗イメージを重ね合わせて、自分が見たイメージを補強しているから。本当はあんな形であるわけがないんだ。
 ただ、これも考え方の話で、もしもUFOなるものが地球に到来しているのではなく、「像」だけだとした場合、UFOが航空機の形をしていないのは、そもそもあれは“航空機ではないから”という考え方ができる。じゃあ何か……と聞かれると難しいが、宇宙人達の自分たちのシンボルのようなものを見せているのではないか。宇宙人達にとって意味のある形だが、しかし地球人にはわからない……というものではないか。

 宇宙人に関しても、とりあえずみんなリトルグレイの姿で描かれるが、あれも疑問だ。なぜななら服がダサい。文明人なら、自分が着ている服に対して美意識を持つはずだ。でも宇宙人のイメージといえばみんなダサい銀色のタイツスーツ。個性がない。本当はもっといろんな顔をしていて、色んな服を着ているんじゃないだろうか?
 こちらも考え方を少し変えてみると、遠い別の惑星からイメージを送ってきているとして、そのイメージが100%精密なものであろうか? という疑問を提示する必要があるかも知れない。それだけ長い距離を情報が移動しているわけだから、もしかしたら劣化が起きている可能性がある。リトルグレイのあの奇妙な姿は、情報が劣化し、シルエット状態になったものを地球人が見て、そこからイメージを膨らませて作り出された姿ではあるまいか……?
 でもイメージを受け取った人々が、イメージをアウトプットする手段を持ってないから、通俗的な宇宙船・宇宙人のイメージを当てはめて、あんな姿になってしまう。
 だから宇宙人達よ。今度は映像作家にコンタクトを取って欲しい。自分たちのイメージを正確に伝えるなら、その辺のオッサンや子供じゃなくて、アーティストにイメージを送るべきだ。

 地球も色んな惑星に向けて、信号を送っている。もしかしたら遠いどこかの惑星で、「宇宙からの謎のメッセージが届いた! なんだこれは?」とパニックになっているかも知れない。

 ちなみに、今回書いた内容は、明日には忘れる予定である。
 次に宇宙人について話をする時は、まったく違う話をする。
「あいつ、このあいだ言ってたことと全然ちがうこと言ってるじゃないか」
 とか言われても知らん。


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