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5月27日 ドラクエニュースの一言感想 他

 あっ、そういえば今日はドラクエ35周年を記念した特別放送があったんだったね。  私は「よくある、内向きの祝い事番組だろう」と思って見なかったけれども、まさかの新作の発表があったようだ。そのいくつかと取り上げて、一言感想を添えよう。

ドラゴンクエスト12 選ばれし運命の炎 ディザートレーラー

 まさかのナンバリングタイトルの新作。考えてみれば『ドラクエ11』は2017年(Switch版が2019年だから、スパンが短く感じられたんだろう)。タイトル発表から実際の発売まで2年ほどかかると考えると、確かに「そろそろ新作」というタイミングだ。
 ゲーム中の画面は見せてくれない。タイトルだけ。
 ただトーンが今までの「明るいドラクエ」ではなく、かなり暗め。「人はなぜ生きるのか?」というナレーションが入ったが、これが今回の作品テーマなのでしょう。堀井雄二さんもそれなりの年齢だから、そろそろシリーズをまとめにかける作品を目指そう……そういう考えがあるのかも知れない。明るいエンタメのドラクエではなく、人生をどのように語るのか。RPGはプレイヤーの感情を引き受けて、ファンタジー世界に飛び込む遊びであるから、プレイヤーにどんな人生を感じさせるのか、その末でどのように答えを出した行くのか……ということをテーマにするのかも知れない。『ドラクエ11』で改めて「勇者ってなに?」を問いかけてきたから、これからのドラクエはそういうテーマを見つめ直す作品になっていくのかも知れない。
 もしかしたら「魔王討伐」の物語ではなく、「魔王討伐という理不尽から逃げる」物語なのかも知れない。
(魔王討伐なんて、理不尽なものですよ。RPGに出てくる主人公はたまたま魔王討伐に成功するのだけど、その主人公の前には何百人の勇士が魔王討伐に挑戦して死んでいるはずですから……。挑戦者がみんな死んでいるから、魔王は厄介な存在なんです。なぜかそこを描いている作品が少ないのだけど。それを考えると嫌でしょ。「使命感」だけじゃやってらんないでしょ)
 『ドラクエ11』がある意味でのそれまでのシリーズの総括だったから、そういう問いかけのある作品は大いにアリかも知れない。

「HD-2D版 ドラゴンクエストIII」ティザームービー

 『ドラゴンクエスト3』HD-2D表現でフルリメイク!
 いやいや、ある意味ナンバリング新作よりも驚いたし嬉しい発表。あの名作を、現代的なグラフィックで見ることができるなんて! HD-2Dという表現を生み出してくれたことに感謝だ。
 フィールドを見た感じ、完全にファミコンの『ドラクエ3』と一緒。ただパースが付いているから、アリアハンから北西のレーベ村が見えている。フィールドの構成は一緒でも、見た目が変わるというのが面白い。
 ただ、一つ気になるのはシナリオ。フィールド構造が一緒ということは、シナリオも一緒なのだろうか……? 私はニンテンドー3DSで久しぶりに『ドラクエ3』を遊んでみたのだが、後半、オーブを集めるミッションがずいぶん単調に感じて……。オーブ収集に限らず、どのシーンも「その場所にやってきたから、そのミッションを始める」という感じで、「物語が始まった」という感覚がかなり希薄。ダーマ神殿の転職にしても、よくよく考えてみれば、転職しなければならないという物語的な要請がまったくない。その場所に行き着いて、「転職ができる」と言われたからするだけ。その先の塔に登ったら「さとりの書」が手に入ったから「じゃあ一人賢者にしましょうか」という感じ。物語がどこにもない。
 当時はこういう形が当たり前だったけれども、「今の時代だと……」という部分だよね。オジさんは嬉しいかも知れないけど、若い世代からするとあまりにも淡泊すぎではないか。ファミコン世代のように「脳内で物語を補完する」という方法を知らない世代からすると、これはちょっと……ってなりそう。
 当時の『ドラクエ』は週刊少年ジャンプで熱心な宣伝をやっていて、物語展開の多くはその中で公開されていて、転職システムについてもそこで発表していて、『ドラクエ』で遊ぶ人達はすでに知っているもの、として受け入れていた。だからダーマ神殿までやってきたとき「待ってました」感があった。週刊少年ジャンプが『ドラクエ』のサブテキストとして機能していたんだよね。さらに漫画版や小説版といった物語へ導入させるサブテキストが多かった。でもそういった当時の子供に寄り添ったサブテキストがない状態で『ドラクエ3』だけをやってみると、実はものすごく内容が淡泊だ、ということに直面しなければならない。こういった問題を『ドラクエ3』という作品単体だけで解消できるのか……という問いかけをしたい。
 きっと「何もかも当時のまま」を望むオジさんの世代と、「さすがにそれはキツい」と感じる若い世代との対立が生まれてくるんじゃないかという気がする。いくら名作と言われても、今の感覚でやるとさすがに感動するというところまでいきそうにない(私は「思い出補正」の感性がないので、古い作品は古い作品としか思えない)。さて、『ドラクエ3』リメイクはどっちの方向に舵を切るのだろうか……?

『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オフライン』予告映像

 『ドラクエ10』がついに単独のオフラインゲームに!!
 ……まあ、こういう形にしたほうが、純粋にゲームと物語を楽しむぶんにはいいかもね。私はソロプレイヤーだったから、「果たしてオンライン要素って必要だったのだろうか?」と気になってはいた。オンライン要素があるから、アイテムがなかなか手に入らない、ルーラなどの移動に制限が加えられるとかあったように感じられる。オンライン要素は純粋なゲームプレイの足かせになっていないか……と引っ掛かりとして思っていた。
 そこで『ドラクエ10』が単独のオフラインゲームになった。これで改めて『ドラクエ10』が正式な『ドラクエシリーズ』の1本になったような気がする。「オンラインゲーム」という外れた1本じゃなく。
 気になるのは2つ。
 1つめはストーリーはどこまで描かれるのか。まず『ドラクエ10』のシナリオは現在においてもすべて完了していない。ずっと続いている。私が見届けたのは竜神の里あたりまでだが、その後もずっと続いている。途中で終わる仕様なのか、それともオンライン版がストーリー追加されるとともに、こちらのオフライン版にもストーリーが追加される仕様なのか……。
 気になるもう一つは、ビジュアルがあまりにもショボい。冒頭の、お姉さんが姿を消す展開が公開されたが、キャラクターの動きが紙芝居。キャラは2頭身、見下ろし型グラフィックまでは問題ないが、物語の描き方まで見た目のシンプルさに甘えてしまっている。緊張感を出すべき場面では、画で緊張感を感じさせるように描いて欲しい。今回の公開映像は、開発初期の動画だと信じよう。

Unreal Engine5 アーリーアクセス版公開!

「Unreal Engine 5」のアーリーアクセス版が公開。アマチュアからプロまで,次世代グラフィックスによるハイエンドなゲーム制作が可能に

 ドラクエとは一切関係ないが、同じ日のニュースで気になったので、おまけで取り上げよう。まずは15分の動画をご覧いただきたい。英語の対話分は、上のサイトに書かれているので、そちらを参考に。

Welcome to Unreal Engine 5 Early Access

 Unreal Engineの最新版に関する説明動画だが、まるで『RPGツクール』のように簡単にオブジェクトをポンポンと配置するだけで、フォトリアルな地形が作れてしまう。これだけでもアメージングなお話。プログラムも各行動をノードで繋ぐだけなので、ここまでシンプルになると、小学生でもそれなりのゲームが作れるんじゃないか……という気がする。
 私は以前、「そのうちツールが進化したら、オープンワールドゲームも少人数で制作できるようになるよ」みたいなことを話していたが、できる時代がもう来たかも知れない。ゲームハードの進化よりも、こっちの進化のほうが驚きだよ。
 ゲーム制作だけではなく、アニメや映画でも、Unreal Engineで簡単にステージを作ってキャラクターを動かせたりできるかも知れない。活用できる分野は思った以上に大きいはずだ。
 そして、とてもワクワクしている。この動画を見て「あ、じゃあ自分も挑戦してみようかな」と思った人は結構いたんじゃないだろうか。私もその一人だ。
 前からこのブログで話しているように、私はゲーム制作の計画を立てているわけだけど、別作業に時間をかけている間に、ゲーム制作ツールのほうがハードルを降ろしてくれた。ゼロから勉強大変だな……と考えていたのだけど、制作のハードルが下がったから、そこまで何年も時間をかけずに作品を仕上げられるかも知れない。

カニゲー『Crab Champions』の作者がUnreal Engine 5で300万匹のカニを描画。増やしてもパフォーマンスほぼ変わらず、何匹でも表示できるのでカニ描画上限計測を諦める

 Unreal Engine5の実力がいかほどのものか、すでに確認してみた……という人がいるのだが、300万匹のカニを描画しても、処理能力が落ちたり、キャラが欠けたりもしなかったそうだ。
 これはかなり凄い話。ということは、そこそこ処理の重いキャラクター(例えば格闘ゲームのようなキャラとか)を1000人くらい同じフィールドに載せて、同時に動かしてもおそらくいけるだろうって話で。クリエイターにとっては制約が一個外れた状態になるので、このツールで何が作られるのか興味深い。

 さて、5月27日発表のゲームニュースを取り上げたが、楽しみな話題が一杯だった。やっぱりゲームはいつまでたっても一番胸躍る遊び。これからもゲームで追いかけていきたいものだ。

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