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6月12日 PS5対応ソフト発表会の印象

 朝5時!
 PS関係の発表会で早起きしてライブの時間に間に合わせる、なんてことは初めてのこと。それだけPS5に対する個人的な期待値が高まっている。
 さてその内容についてだが……!

 詳しい内容は、ニュースサイトで見よう!
ファミ通COM:PS5のデザインが公開! デジタルエディションと2バージョンで発売。PS5向け28タイトルも発表

ファミ通COM:PS5映像イベント発表まとめ。『バイオ8』『デモンズ』『スパイダーマン』など、新作ソフト続々発表!

4Gamer:PlayStation 5本体の姿がお披露目。ディスクドライブを搭載しないDigital Editionも発表

 次に気になった作品を紹介しよう。

気になったタイトル!

『ラチェット&クランク: リフトアパート』
Ratchet & Clank: Rift Apart - Announcement Trailer | PS5

https://www.youtube.com/watch?v=ai3o0XtrnM8&feature=emb_title

noteではYouTube動画が貼り込めないので、リンクを貼るのでそっちで見てね。
note運営ファック!! いい加減修正しろ!

 面白かったのがこの映像。空間に亀裂のようなできて、それを破壊するとその向こう側の別空間へ移動してしまう……というコンセプトで間違いないだろうか。この“向こう側”の世界というのがまるっきりの別世界になっていて、その別世界へのジャンプが完全なノーローディング、シームレス。もちろん、この別世界というのが、一つ一つがアニメ映画レベルのトンデモ超密度。
 これは「なるほどな」と感心するコンセプト。確かに従来のゲーム機では絶対できなかった表現。従来のゲーム機だったら亀裂ができた向こう側は平面になっていはずだし、ジャンプする瞬間ローディングが入っていたはず。PS5のスペックが活かされた作品だ。今回発表された映像の中で、PS5の実力が一番わかるのはこのゲーム映像じゃないかな。

 ちなみにシリーズ未プレイです。

『マーベル スパイダーマン: マイルズ・モラレス』
Marvel's Spider-Man: Miles Morales - Announcement Trailer | PS5

https://www.youtube.com/watch?v=gHzuHo80U2M&feature=emb_title

 もはや「新作映画」って感じだよね。『スパイダーマン』好きとしてはこれだけでちょっとワクワクする。映画シリーズ版と違う、ゲームならではの新しいシリーズ、新しいユニバースが始まった、という感じがして嬉しい。しかも出てくる映像というのが本当に「映画」の映像。風景を見るとまだまだ実写の風景・撮影には及ばないのはわかるが、俳優の肌質感は非常にリアルで本物と区別が付けづらい世界だし、このレベルのモノがゲームで遊べる、というのはなかなかに刺激的。
 アクションの最中、街の様子が俯瞰になって遠くの方まで広がっているのが見える瞬間があるのだが、遠景が省略されておらず、あのスピードの中でも精細に表示されている。PS5初期の発表にもあったが、超高速で移動しても表示に遅延が起きないというのは本当なのだろう。実際遊んでみるとPS5というゲーム機の実力がわかる一作になるかもしれない。
 PS5にはいわゆるLevel of Detail(LOD)と言われる処理を挟む必要がなく、遠景描写でも近景描写と同じものが生成されて、それを表示するのにも遅延や突然のポップも起きないという(マジか……って話だが)。さらにレイトレーシングもいけるので、光の感触が従来ゲーム機よりリアルになる。これら確認するための最初のゲームとして、この『スパイダーマン』を選択する、という手もあるかもしれない。
 映像を見ると、さすがに実写レベルでニューヨークの風景が再現されているとはいえなかったが、このゲームとVRグラスを組み合わせて、ニューヨークの街をスパイダーマン視点で散策する……という楽しみもできそうだ。

『STRAY』
Stray - Teaser Trailer | PS5

https://www.youtube.com/watch?v=u84hRUQlaio&feature=emb_title

 なんだかわからないけど猫ちゃん♥
 ゲーム内容は本当によくわからない。主人公は猫なのかロボットなのか、猫だとしても何が目的なのか……。ここからしてまだ何もわからない作品。
(ゲームメディアの情報を見ても、メディアによって書かれ方が違っていて、プレイヤーキャラが猫なのかロボットなのか判然としない)
 とりあえず映像をぱっと見た感じ、猫の骨格、動きにそこまで大きな違和感がないことに驚いたし感動した(まだ完璧でもないけど)。
 猫(あるいは犬)のCGは作るのがなかなか難しいらしく、色んなアニメ作品に出てくる猫・犬を見てもあまりいいものがない。骨格(特に後ろ足)や歩き方、ジャンプする瞬間の構え方……なんとなく出来の悪いロボットを見ているような感じになる。
 でもこのゲームの猫、なかなかよくできている。まだちょっと違和感があるけれども、歩いている姿を見てもそこまで変という気がしない。ちゃんと猫が猫らしく見える。

 ただ……実はちょっと悔しくもあってね。
 私も猫を主人公にしたお話を考えていた。それも10年以上前から。というのも猫は人間では入ることのできない領域……家と家の間とかいろんな隙間に入っていくのだけど、あの猫視点で物語を書いたら面白いんじゃないか……と考えていた。猫の目にはどんな風景が見えているのだろう……とそういう空想をずっとしていた。あらすじもちょっと考えていた(もちろん私が考えていたストーリーにはロボットは出てこないけど)。
 でも技術的障壁、猫をどうやって描写するか? という課題がずっとあった。なにしろ同時代のどんな映像を見ても、猫をきちんと描いた作品っていうのは本当に皆無だった。誰も猫をきちんと描けていないってことは、それだけ難しいってことだろう……と考えていた。
 でもついにゲーム映像でここまで猫を猫らしく描けるようになった。そんな技術的変化を業界の内側で見ることができていれば、私が真っ先に猫の物語を企画として出したのになぁ……。

『Kena Bridge of Spirits』
Kena: Bridge of Spirits - Announcement Trailer | PS5

https://www.youtube.com/watch?v=OxzWlIbnp3U&feature=emb_title

 世界観がとてもいい! あと主人公の女の子が可愛くてね。可愛い女の子には目がないのだ。

 ゲーム内容はたぶんゼルダっぽい感じ。自然風景の中を探索していく感じなんでしょう。あの黒い毛むくじゃらの生き物は精霊か何か。精霊と思わしき生き物を悪い生き物から救い出して、森の平和や均衡を保とう……そういうコンセプトかな。ゲーム的にはたくさん救い出したら何かしらのアイテムが得られるなどのご褒美があったり……ね。
 可愛いキャラクターデザインは日本的に感じるけれども、自然をキャラクター化しちゃった、というのは西洋的感性かな。宮崎駿だったら抱きしめて頬ずりなんて絶対させないもの(私は可愛い女の子を頬ずりしたい)。ペットじゃないんだから。自然を制御、コントロールできるという西洋的な考えがちらっと見えてくる作品かもしれない。
 まあそういう文化的な特徴や差異はともかくとして、映像が本当にCGアニメのように作り込まれている。そこに感心。まずこの世界観自体を楽しんじゃおう。

PS5本体について!!

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 PS5本体は流線型ボディの白と黒のツートンカラー。SF感があり非常にかっこいい(この21世紀に「SF感」という言葉ほど空々しいものはないけども)。先行して発表していたコントローラーのイメージと合っていていい。
 ワイヤレスヘッドホンが付属しているのは嬉しい。これでPS5の3Dサラウンド聞けっていう自信が見て取れる。「3Dサラウンドはどうやら凄いらしいけど、そのためにヘッドホンを新しく買うのもなぁ……」「じゃあ付けてやりましょう」ってノリだ。
 私も500円のイヤホンしか持ってないからありがたいよ。

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 気になったのはHDカメラ。
 なんなのこれ? って思ったら動画配信のためだという。もはやそういう時代か……。これ付けるからみんなゲーム動画配信やんなよ、と。あとチャットをやる人のためだとは思うけど。
 WiiUにはゲームパッドにカメラが付いていて、それで動画チャットをやる……みたいな構想だったけど、あれは……実装されていたんだったっけ? もうそれすら覚えてない。使わない、使えない機能だった。

 引っかかりはディスクレス本体。
 いやいや……。PS5対応ソフトって容量いくらだと思っているんだ。AAAゲーム入れたらすぐに満杯になるぞ。1作やるごとにゲーム消さなくちゃいけないみたいな状態になるぞ。
 もしかしたらそのぶんお安くなるのかもしれないけど、私からはディスクありをお勧めする。

 もう一つの引っかかりはお値段。
 これだけのスペックを持った本体に、付属品がカメラとヘッドホンとリモコンが付いてくる。
 ……いくらになる?
 もしもこれで5万円以内だったら凄いなぁ……。いやさすがに5万円以内はないか。

まとめ

 PS5発表会の全体的な印象をいうと、どの作品も一つのCG作品、アートアニメ作品のように見えた。そういった“雰囲気”のものだけはこれまでのゲーム発表会にあったものの、それらはあくまでも宣伝用の“雰囲気”だけであって、実際のゲームは……というのはよくあった。
 でもこれからは宣伝用映像で見たものがそのまま遊べるようになる。レンダリングムービーはもはや必要がなくなる。より高精細で快適なシームレスの世界で遊べるようになる。ゲームの次元がPS5でワンランク上へ、新しい領域へと足を踏み入れていく。

PS5発表会 グランツーリスモ7

 ただそれだけにきちんと画面を作っていかないとまずいな……と感じる部分はあって。
 例えば『グランツーリスモ』の上のシーン。従来ゲーム機でよくあったような写真の止め絵に台詞の吹き出しが付いている。ものすごくショボい。さすがに制作途中の画像だとは思うけど。
 従来のゲーム機では許されていた、なんとも思わなかったこういう画面でも、新しいゲーム機に向けてきちんと作り込まないと“見劣り”してしまうところが怖い。

 他にも、車が通り過ぎた直後、周辺の草木に動きがないっていうのもね……。これも従来のゲームなら特になんとも思わなかったけど、あそこまで車が写実的に作られていると、かえって「違和感」として浮き上がってくる。“車だけがリアル”というシュールの谷に落ちかけている。
 こういうのも、そこまで作り込む必要があるのか……って話だけど。そこまでの話になると、ゲーム的に必要か? という話になってくる。周辺の草木の揺れまで作るのに、いくらかかる? でもここまで画面がリアルになり、リアルを売りにしていると作り込まなくては“違和感”になってしまう。
 ゲームがひたすら“リアルな画面”を志向していく最中の難しい問題だ。

 前に私は「新ハードは映画の解像度を越える」と書いたが、実際の映像を見ると、さすがにそこまでじゃあなかった。さすがに実写の撮影を越えるだけのディテールを獲得するまでには至ってなかった。とはいえ、あと1歩のところまで来ている、という確信は得た。PS6くらいの頃になると、もう完全にゲームと実写の区別は付かなくなっているよ。
 それで「物語体験」という視点でゲームという文化を見ていくと、その頃にはもはや映画よりも上になっていくだろう。文化的なヒエラルキーはゲーム>映画>小説・漫画……というふうに見ていくようになっていくだろう。
(ただし、ゲームには「社会評価」という後ろ盾が全くないので、世間的にはゲームが映画を越えている……とは認識されないだろう。きちんと両方を見ている賢い人たちは「もはや映画よりゲームの方が物語への没入感やドラマの深さは上」と見ていくだろう。世間は最先端で文化を見ていく人たちの、ずっとずっと後ろを像の群れのようにゆっくりゆっくり付いてくる。私たちはもどかしいなぁと思いながら、人々の意識が追いついてくるのを待たねばならない)

 PS5は作り手にとって嬉しいハードかもしれない。なぜなら作ったものがほぼそのまま出せるわけだから。例えばNintendo Switchは見た目も中身も小さいゲーム機だから、あの中にデータを詰め込むのはいろいろ苦労が絶えないという話を聞く。データを小さく押さえる工夫をしたり、圧縮方法を考えたり、ローディングが短く済むように手を加えたり……それに向けた努力をすれば確かに技術は上がるけども、この最適化を施す作業に時間をかけていた。これがこれまでのゲーム機のありようだった。
 でもPS5では源泉掛け流し……とまではいかないだろうけども、作ったものをガッと入れてバッと出すことができてしまう。作り手のやりたい放題が許されてしまう。どこに限界値があるのか今のところよくわからないが、PS5くらい読み出し速度が速ければ、だいたいのソフトはノーローディングでいけちゃうでしょう。

 結局のところ、ソニーは「ゲームの没入感」への回答を、画面の精細さ、立体3Dサウンド、振動といったところに持ってきた。これまでのゲームに提唱されてきたものをどこまでも密度を上げていく。ある意味、“愚直”とも取れる考え方を徹底的に推し進めていき、それが今回ある一定領域を越えた、壁を乗り越えたような感覚がある。
 実は新しくない。しかし一点突破を目指したことで、力押しで新しい何かを提唱していく。技術のソニーらしいところが出たな、という印象だ。

 今回の発表会で将来のゲームがより面白くなっていく。その上限はない。そのことを感じさせてくれるワクワク感があった。これからのゲームという文化そのものに期待である。


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