見出し画像

【超短編小説】『花のラブレター』3/4(550字)

「わたしはあなたのことをそっと見守ってきました。あなたは気づいていなくとも、ひとの一生は必ず見守ってくれるものがいるのです。あなたが望む時に、あなたが望む形で、姿を現してくれるようなものではないかもしれないけれど、わたしのように、あなたを見守るものは存在するのです。普段わたしがあなたに声をかけることはできません。なぜ今日わたしがあなたにこのような手紙を書くことができたかと言うと、それは、特別な条件が重なって、魔法のような力が生まれたからです。あなたが悲しい時、わたしもわたしの場で悲しみ、あなたが寂しい時、わたしもわたしの場で寂しさを共に感じます。
 わたしはあなたが大好きです。
 あなたが心震える感動を伝えたい時、もし誰もいなくて孤独なら、わたしはその心の震えに耳を傾けたい。あなたが迷い、道を見失っているのなら、わたしはその場所で小さな光となり、泥だらけになりながら新しい道をつくるあなたをじっと待っていたい。わたしはいつもそう思っています。
 これ以上長くこの手紙を書くことはできません。あなたはこの手紙を読んで今とても混乱しているかもしれないけれど、どうか、わたしの思いを受けとってください。わたしが、いつでも見守っていることを忘れないで。
 愛するあなたへ。」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?