地獄に咲く花
今日は三連休の最終日らしい。本当なら、僕もそのはずだったのだけど。なぜか土曜も日曜も、持ち帰ったノートPCに向き合っていた。働き方改革。残業時間を減らそう。むなしい言葉だ。どこかで誰かが割を食ってるだけ。
さすがに嫌気が差してきて、半ば衝動的に、写真を撮りに行くと決めた。そう言えば、彼岸花の咲く頃じゃないか。時刻はまだ朝の6時。行ける――
そんなわけで電車を乗り継いで、彼岸花の群生地までやってきた。けれど無情にも、そこには曇天が広がっていた。写真を始めてから、僕は曇り空が嫌いになった。何を撮ってもぼんやりしてしまうから。
しばらく粘ってみたけれど、一向に晴れ間は見えなかった。まるで人生。ろくなことがない。そんなことを思いながら、僕は公園をあとにした。
途中、すれ違う観光客の会話が耳に入ってきた
「――彼岸花って『地獄に咲く花』なんだって」
「どうして?」
「お彼岸の時期に咲くし、毒があるから――」
地獄に咲く花か。間違ってはいないな。なぜってここが地獄なんだから。
なんてことを思っていると、急に空が晴れた。今までの曇りが嘘みたいに。
神様っているのかも。急に信心深くなってきたところに、更なる幸運が。なんと蝶まで舞い降りたのだ。
ツイてないときは悲観的になるものだけど。捨てる神あれば拾う神あり。いいことだって、あるのかもしれない。そんな話。
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