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何のために――

 最近ずっと仕事が忙しくて、朝から晩までほぼ休みなく働き続けていた。今日は久々の休日。早起きして写真を撮りに行こう。そう思っていたのに、起きたのは昼過ぎ。

 疲れが溜まっていたのだから仕方ない。けれども、楽しいことがなければ「何のために」働いているのかわからない。そんな風に思ってしまうのも、当然のことだと思う。

 ――何のために働くのか。そう問われたら、あなたはどう答えるだろう。僕なら「生活のために」と答える。衣食住を賄い、欲しいものを買うため。端的に言うならお金のため。もちろん仕事を通じて、誰かの役に立つとか、社会に参加するというのも大切だけど。

「一日の半分以上は仕事に費やすんだから、仕事で『自己実現』しなきゃ」

 こんなことを言う人もいる。仕事で自己実現。もしクリエイターのように創造的な仕事なら、そういうものかもしれないけれど。必ずしも自己実現が当てはまらない職種だってあるだろう。自己実現はご立派だけど、それなら起業してはどうですか。用意してもらった仕組みの中で、自己実現だなんて言われても。どこか白けてしまうのは僕だけだろうか。

 むしろ、仕事は早々に切り上げて、家に帰って好きなことを楽しむ方が、よっぽど好ましい気がする。まぁこの辺りは、その人の考え方や感じ方次第だから、何が正しいというわけじゃない。自分にとって大切なことを大切にできることが、大切なのだろう。

 働くことに限らず「何のために」という問いへの答えは人によって違う。それぞれ違う生き方をしてきたのだから、自分と同じじゃなくても当然だ。それよりも「何のために」という問いを、自分の頭で考えること。そういうプロセスの方が大切じゃないかと思う。

 親がそう言うから、先生に言われたから、普通は、みんなは。そういったよくわからない雑音にかき消されて、自分が本当はどうしたいのか。自分の心の声が、聞こえなくなってしまうこともある。

 自分で考えないで済むのは楽なことだけど。楽なことばかりしていると、頭はどんどん弱ってしまうもの。そう考えると脳だって筋肉と同じなのだ。適度な負荷を与えることで鍛えられていく。逆に言うと、過剰な負荷を与え続ければ、いつかきっと壊れてしまう。

 よく考えてみれば(いや考えなくても)人はいずれ死んでしまうもので。その限りある人生を、自分の嫌なことをしながら過ごすというのは、なんてもったいないのか。とは言え、自分が本当にしたいことなんて、そう簡単にわかるものでもないし、とりあえずやってみることも必要なのだけど。

 自分がどうしたいのか、まずは自分で考えて、ときには周囲に相談したりしながら、色々とやってみる。回り道をしたり、立ち止まってしまうこともあるけれど。そういうプロセスを経てはじめて、自分のことが理解できるのかもしれない。僕はそんな風に思う。

撮影ワールド:Resumcur/Kakulity さん

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