見出し画像

今日も綺麗ですね

 " I love you "を「月が綺麗ですね」と訳したのは、かの夏目漱石と聞いたことがあります。調べてみると信憑性のない俗説のようですが、個人的には結構好きです。

 ――並んで月を眺める二人。ただ「綺麗ですね」と語りかける光景には、余計な言葉は不要でしょう。ましてや「愛している」なんて、無粋なだけ。

 想いを言葉にしてほしい。もちろん、そういう気持ちもわかるのですが。なんでも言葉にすればいいわけじゃないとも、思ったりするわけです。

 と、ここまでは前置きで。今回は「月」の撮影に挑戦してみました。

 最初に撮ったものがこちら。

 180mmの望遠レンズをクロップ(1.5倍相当に)して撮ったものですが、まだまだ小さいと感じます。

 その次に撮ったのがこちら。

 だいぶ丸くなってきましたね。レタッチで青く、幻想的にしてみました。トリミングで大きくしていますが、レンズ自体は同じ。画質は低いですね。

 そして、最後に撮ったものがこちら(タイトル画像と同じ)

 満月の日に、400mmの「超望遠レンズ」を買ってから、撮影しました。はっきり言って、ただ「撮っただけ」ですから、芸術点は高くありません。それでも月の美しさは変わらないし、何よりも楽しかった。

 超望遠レンズは「いつか買う」つもりでした。それが何ヵ月後か何年後かまでは考えていなかったのですが。残念ながらレンズを気軽に買える程の、経済的な余裕はありません。ただ、月を撮りながら僕はこう思ったのです。

「お金を貯めてから買うのと、買ってから節約するのはどちらがいいのか」

 経済的な安心感という点では、お金を貯めてから買う方がいいでしょう。何かあったときのために、ある程度の貯蓄は必要ですから。

 ただ、お金を貯めている間に、どれだけのシャッターチャンスがあるか。ここで買わなければ、どれほどの機会を失うことになるのか。そんなことを考えているうちに、僕はカメラ屋のレジに立っていたのです(もうダメだ)

 「月が綺麗ですね」

 そう語りかける相手は、僕にはもういないけれど。

 「今日も綺麗ですね」

 と、日々表情を変える月に語りかけながら、また写真を撮りたいのです。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?