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美内すずえ先生は最低でも100歳までは生きてください

私が初めて『ガラスの仮面』を手に取ったのは、2000年、私が10歳の時。

私の母がママ友から借りてきた文庫版『ガラスの仮面』。百貨店の紙袋(二重)に入れられ、リビングの隅に置かれていたその漫画を手に取ったのは、母がその前にママ友から借りていた『愛と誠』が私にクリーンヒットし、自分の中で第一次昭和の漫画ブームが来ていたからである。


※ちなみに本題からは外れますが、『愛と誠』は原作:梶原一騎、作画:ながやす巧による不良少年の太賀誠、財閥令嬢の早乙女愛、二人の純愛を描いた学園青春漫画(何と評すればいいかわからずWikipediaより引用しました)である。Wikipediaを編集された方は、学園青春漫画ってどういう気持ちで書いたのでしょうか。どう考えてもそんなキラキラッとしたものではなく、クセ強漫画です。私はこの漫画にハマり、事あるごとに母と「きみのためなら死ねる」と岩清水弘ごっこをしたり、波の花を撒いたり、ツルゲーネフの「初恋」を木陰で読んだりしてました。


『愛と誠』と読んだ時の気持ちをまた感じたい…。そう思いながら、『ガラスの仮面』文庫本第1巻を手に取り読み始めた私に浴びせかけられたのは、期待を優に上回る衝撃でした。

ガラスの仮面は安達祐実さんでドラマ化もされ、アニメ化、またアメトークで特集もされたりしたので話は何となく知ってる方もいると思います。

本当にざっくり説明すると、平凡な女の子・北島マヤが、伝説の女優・月影千草にその類稀なる演劇の才能を見出され、かつて月影千草が演じ、見たものを虜にした舞台の主役「紅天女」を目指し、女優として上り詰めていく物語。紅天女を目指すライバル、姫川亜弓。マヤに甘酸っぱい初恋らしき気持ちを抱かせてくれる演劇仲間の青年、桜小路優。同じ劇団の仲間でありマヤの家族のような存在の、麗、さかや、美奈、泰子。そして、「紅天女」の上演権を狙う速水プロダクションの冷酷非道な若社長でもあり、マヤを陰ながら応援する優しいパトロン・紫のバラの人でもある、速水真澄など、魅力的な登場人物がてんこ盛り、話の展開もてんこ盛り。

その記念すべき第1巻は、マヤが日常生活ではいかに平凡な少女なのか。そして、平凡な少女の非凡なる才能を月影千草が見出し、演劇への道へ誘うことから始まります。もっともっと詳しく書きたいけど、読んで欲しいので…。この話の始まり方、めちゃくちゃ引き込まれます。読んだことある人、公園で登場人物全員を演じるマヤを見たときの月影先生のリアクションって真似しました?私はしました。後、チケット拾うために川に飛び込んだマヤにめっちゃドン引き杉子の真似とか。全然関係ないけど、杉子のボーイフレンドすごく良い奴ですよね。

まんまと第一話で引き込まれて、その後も胸熱展開の連続。劇団オンディーヌの入団試験とか。もし今後逃げた小鳥のパントマイムやれって言われたら、絶対腕後ろにクッてやります。

母との決別。本格的に演劇の世界に踏み出すマヤ。速水真澄との出会い。若草物語。マヤの中に秘められた演劇への激しいまでの情熱。読み進めているとあっという間に文庫本一冊なんて読み終えてしまいます。

第1巻を思ったよりも早く読み進めてしまったが、その当時の私は思いました。まだ手元に22冊ある。全然余裕。文庫本だし、全部読むまで多分後1、2週間はかかるだろう。

漫画をよく読む人なら分かると思いますが、このような予想は大抵当たりません。面白い漫画の前に人間は無力。ばかばか読み進めて、あっという間に既刊は無くなってしまうのが世の定め。でも、私は怖くなかったのです。

だって、漫画ってすぐ次の巻出るし。この続きから単行本買おう。

私は当時、コナンとぬ〜べ〜を単行本で買っていたが故の浅はかな考えでした。コナンはともかく、ぬ〜べ〜はさすがジャンプ(週刊誌)に載っているだけあって新刊出るのが早い。近くのTSUTAYAに行けば新しい巻が出ている。そんな感覚でした。

ガラスの仮面が連載していたのは『花とゆめ』(月2回刊行)。月2回ならぬ〜べ〜ほどとは言わないまでも新刊もある程度のペースで出るのでは?と思われるかもしれませんが、ガラスの仮面は全然新刊は出ません。なぜなら、花とゆめに掲載されたものがそのまま単行本になるわけではないから。

???

ガラスの仮面読者には超有名ですが、初耳は「???」ですよね。美内すずえ先生は、単行本作業での加筆・修正作業が凄すぎて、もはや花とゆめに載ったときとは違うストーリーが単行本となるのです。熱烈な読者による、「花とゆめ」「単行本」それぞれのストーリーの流れをまとめたサイトとかあるんですが、マジで全く話が違うのでビビる。

2000年、単行本の既刊は41巻。41巻までは文庫本に収録されていたため(確か)購入せず。

文庫本23巻が発売されたのが1998年9月。その続きである単行本42巻が発売されたのは2004年12月。単行本41巻発売からは6年経っていました。

その後、43巻が2009年1月、44巻が同年8月、45巻が2010年9月、46巻が同年10月、47巻が2011年7月、48巻が2012年2月、そして既刊では最新刊である49巻が2012年10月に発売されております。

すごくいいペース(錯覚)で発売されたかと思いきや、最新刊から今現在8年ほど経ちました。

桜小路くんの片思いはどうなってしまうの。亜弓さんの身に起きたこのハプニングは彼女の才能をより羽ばたかせるのか殺してしまうのか。ハミルさんとはどうなるのか。マヤと速水さんの恋の行方は。ていうか詩織さんは本当にどうなるのか。そして、紅天女は……!?

そこでタイトルです。

美内すずえ先生は現在御年69歳。なかなかいいお年です。

先生は必ずガラスの仮面を最終回まで書き上げるとファンに公言してくださっております。単行本作業での妥協なき姿勢を見るに、最終回まで手を抜かず、きっと素晴らしい大団円を迎えてくれるに違いありません。そのためにも美内すずえ先生には最低でも後30年は現役で、100歳まで絶対に元気に生きてもらわなければならないのです。

ガラスの仮面は現在、物語の最終局面といえる「紅天女」の試演というところまで行っております。ガラスの仮面は別冊花とゆめに連載中ですが休載中。ポジティブに言えば今から読めば最新話に追いつけます!!!

あまり感想文ではなくなってしまいましたが、まだ『ガラスの仮面』を読んだことがない方々、これからこの未完の名作が完成となる時までの間を一緒に楽しみませんか?

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