見出し画像

「現場に入ったからこそ」分かる!国民民主党が候補者を擁立しないことの3つの問題点

 筆者は、都議選、衆院選、横浜市議選と国民民主党公認候補の選挙ボランティアに入った。とりわけ、都議選や衆院選では、陣営の一員と言ってもいいほど深く選対に関わった。それだけ国民民主党に深く関わっただけに、現在の国民民主党の候補者擁立の遅れは不甲斐なく、情けない限りである。

 「現場に入ったが積極擁立は無理だ」との声が聞こえる。半分は正しいが半分は違うのではないか。たしかに、小選挙区での当選を必達目標にするならそのとおりかもしれない。しかし、今の国民民主党の党勢からして、定数1の衆院小選挙区でポッと出の新人候補が当選できるほど甘くはない。比例票を集めて、復活当選狙いで行くしかないのだ。愛知11区のような特殊な小選挙区は別として、ほとんどの小選挙区はそうだ。

 この記事では、選挙ボランティアとして陣営に入った人間として、ざっくりと、国民民主党の擁立が遅れていることから起こると考えられる問題点を3つ述べたい。

問題点① 選挙区カバー率が低いと、比例票が減り、議席も増えない

 当然のことだが、候補者を擁立した小選挙区では比例票が伸び、候補者を擁立しなかった選挙区では比例票は伸び悩む。

 筆者がボランティアに入った佐藤由美さんは、21年の衆院選の比例東京ブロックで次点で落選。あと1万票の比例票が国民民主党にあったら、今頃国会議員だった。当時、東京ブロックの小選挙区には、国民民主党の公認候補は、佐藤由美さんと円より子さんのたった2人だった。3人目の候補として樽井良和候補もいたが、立憲民主党に選挙区を譲る形で「転身」した。もしも、樽井さんが選挙区に残っていたなら、もう1万票の比例票くらいは容易に叩き出せただろう。奇しくも、最後の比例東京の議席は、国民民主党が選挙区を譲った立憲が手にした。

 選挙区カバー率を上げない、候補者を擁立しないということは、本当なら得られた議席を放棄し、みすみす他党に渡すことになる。それで悔しい思いをするのは、現場に入ったボランティアだ。

問題点② 候補者を出した小選挙区でも埋没する

 候補者を擁立しないと、数少ない候補者のいる選挙区でも埋没することとなる。

 21年の都議選では、国民民主党は4人しか候補を立てられなかった。都議選は、23区、多摩、島しょ部とを合わせて30を超える選挙区があるが、そのうちたったの4つに擁立しても、存在感は皆無であった。

 その理由は簡単である。自都立共維の候補は、都内の至る所に候補者がいて、党の存在を認知できる。だからその党の候補に投票する。

 しかし、国民民主党の場合、自分の選挙区に公認候補がいても、職場のある選挙区には公認候補がいない場合がほとんど。これでは、選挙当日までに国民民主党の名前を知らずに投票所に来る人の方が多いかもしれない。

 こんな調子では、数少ない候補者を擁立した選挙区でも埋没してしまい、取れたはずの小選挙区も取れなくなってしまう。

 次の選挙では、維新がほぼ全選挙区をカバーするに違いないし、立憲も150選挙区以上に擁立することが確実だ。それなのに、国民民主党が20選挙区程度では、埋没しないはずがない。

問題点③ 党の収入が減り、ますますジリ貧に

 現在、国民民主党の収入を支えているのは、政党交付金である。その政党交付金は、選挙の得票によって決まる。つまり、候補者を立てれば立てるほどコストはかかるものの、政党交付金で基本的に回収可能だということだ。

 逆に候補者を立てないということは、その分未来の政党交付金を放棄するということだ。政党交付金で生計を保っている政党が、政党交付金の収入を求めに行かないのは、戦略からして意味不明である。

 ますますジリ貧になる道を歩まないでほしい

半ば案山子でも良いから選択肢を示せ

 どのような形であれ、候補者はいた方がいい。それを思い知ったのは、衆院選の神奈川10区である。

 選挙直前に鈴木あつしさんが国民民主党公認で擁立された。誰もが、案山子候補だと最初は思っただろう。実際にそうだったかもしれない。活動量が明らかに不足していた。

 それでも前から擁立していた候補を惜敗率で上回り、結果は復活当選であった。

 案山子でも、落下傘でもいい。一定の資金力やボランティアを自力で用意できる候補から、擁立してはどうだろうか?

 もちろん、小選挙区を狙える地盤のある選挙区は、厳選した有望な候補を立ててほしいが、そうでない選挙区でも選択肢を示すべきだ。そのために候補者を擁立することで初めて、比例票を前回衆院選より積み増すことができる。

皆さんのサポートが、記事を書くインセンティブになります。どうぞよろしくお願いいたします。