スピッツ「ハネモノ」 思い通りの生き物に変わる
大好きなロックバンド「スピッツ」のハネモノ。アルバム「三日月ロック」の7曲目として収録されている。このアルバムの中で、圧倒的に好きなのがこの曲になる。
「思い通りの生き物に」→「変わるううううう(ファルセット)」がとても美しい。
この曲のウィキペディアによると、2002年に通算26作目のシングルとして発売されている。正直言って、シングルになっていたのは知らなかった。にわかスピッツファンなので・・・。
しかも、この当時は絶賛ギャンブル依存症時代で、射幸性の高いパチスロやパチンコにハマりまくっていた。人生で最も時間と金を無駄にした時代。ああ、時間と金を取り戻したい・・・。
そんな時代だから、「ハネモノ」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、もちろん「パチンコ台のハネモノ」。若い子は知らんかなあ?ちなみにハネモノで、一番好きなのは「タヌ吉くん」。タヌ吉くんの腹にパチンコ玉が吸い込まれた瞬間、「V」と表示されると・・・。 頭の中にドーパミンが、ドバアっと。
すみません。そんなことより、スピッツね。
ハネモノ。曲が開始されるときのジジ、ジジジというような音は、羽を持つ生き物が羽ばたく瞬間をイメージしているのかしら?そして、ベースをメインに始まる前奏がものすごく心地よい。
そして、歌詞ね。草野さんの歌詞をちゃんと理解しようと思っても、それは無理。できないようにちゃんと工夫して書かれているような気がしている。
「涙を拭いたなら 絡みついた糸を断ち切って膜の外に連れ出してやろう」
誰を?誰が?
結局、草野さんの歌詞って、よく分かんないんだけど、全くもってそれでいいのよね。
草野さんの歌詞はいつもそうだよね。主語も目的語も曖昧にしたままで、聞き手の想像力をかきたててくれる(例外も初期の曲にはあるけど)。聞き手次第で、応援ソングにも、嘆きの歌にも、ほんのり背中を押してくれるような曲にもなる気がする。
ハネモノの歌詞は、特にそれが当てはまっているような気がするよね。
なので、いくつかの自分勝手な解釈を。
1.何か悲しい出来事、つらいことが起きた自分自身をハネモノと空想して、「望み通りの生き物に変わる」自分を歌っている。
こう考えると、なんか、元気出るよね。「転びながら それでもいい調子」。束縛から解き放たれ、自由になる感じがとても心地よい。勝手に元気になることができるよね。
2.亡くなった人への鎮魂歌
もう自由に動くことがかなわない。死んだ人を思っている歌と受け取ることはできないだろうか?死んじゃったからこそ、「思い通りの生き物に変わらせてあげたい」のではないかなあ、とか。
3.子育てソング?
小さな子どもが成長していく様子を見守るお母さんのような歌詞にも見えてくる。不思議。宿題が子どもを連想させるよね。「膜の外に連れ出してやろう」は、厳しい社会に飛び出していく我が子とも言えそうな・・・。
ああ、こうやって自分勝手に想像を膨らませていると、やっぱり草野さんの歌詞の偉大さを身に染みて実感できる。それをこんなにも美しいメロディーに乗せて、高音で歌い上げる。
やっぱりこの歌、とても好きです。
2022年5月15日 トラジロウ
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