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【スウェーデン緩和ケア】タクティール®ケアはじめました

こんにちは。note担当の佐藤です。
今回はデイサービスで始めている新しい試み「タクティール®ケア」をご紹介します。

①スウェーデン発祥の緩和ケア「タクティール®ケア」の説明

タクティール (Taktil) または タクティール・マッサージ (Taktil Massage) 、 タクティール・ケア (Taktil Care) とは、スウェーデン発祥の緩和ケア療法[1][2]

1960年代に看護師シーヴ・アーデビー(Siv Ardeby)[3]やグニッラ・ビルケスタッド(Gunilla Birkestad)[4]らによって考案されたマッサージ法で、「タクティール」は「触れる」という意味のラテン語tactilisに由来する。ツボや筋肉を刺激する各種マッサージ法とは異なり、優しい接触を継続的に行い、肌の触れ合いを通してオキシトシンの分泌を促し、ストレスに関連するホルモンであるコルチゾールのレベルを低下させて、相手の不安な感情を取り除く効果を得るとされる。また、痛覚の信号より早く脳に到達する触覚の信号によって痛覚の信号の伝達を阻むゲートコントロール効果を通じて、痛みを緩和する作用があるとされる。このほか、コミュニケーション能力の向上や攻撃性・自虐性を減少させる効果もあるとされ、人間の尊厳を重視した認知症ケアや、がんの緩和ケア、未熟児ケア、障がい者ケア、ストレスケア、いじめ予防など、さまざまな分野で活用されている[2]

2010年3月28日 フジテレビの’新報道2001’で介護施設の舞浜倶楽部[5]で行われたタクティールケアなどが放送された。この中で認知症の症状が劇的に改善された例が紹介。この報道を見る限り、単なる緩和医療(改善の見込みが無いことを前提にした医療)とは一線を画す療法と考えられる。

ウィキペディアより


とらいふ武蔵野の職員がこのタクティール®ケア認定を取得したことをきっかけに、法人内のデイサービスで実施することになりました。
とらいふ武蔵野デイは2023年2月末から、ぐっどういる境南では2023年4月から緩和ケアを行っています。


②きっかけは「ふれあい」のないコロナ禍


noteでも過去に紹介しましたが、ぶ厚いビニールカーテン越しの面会しかできない時期がありました。

面会時、ご家族のお顔を見ただけで、入居者さまの目から涙があふれました。
しばらくぶりのご家族のぬくもりも、ぶ厚いビニールカーテンにはばまれ、手と手を結ぶことはできませんでした。

ユニット内でも、感染リスクを避けるため、入居者さま同士も職員も、なるべく距離を取り、飛沫が飛ばぬよう職員はマスク越しです。
そんな「ふれあい」のない日々を送っておられました。

ご家族さまの後ろ姿が見えなくなるまで、入居者さまとお見送りするたび、

「何かできることはないか」
「何かあるはずだ」

多くの職員がそのように思っていたのではないでしょうか。
そのような中、「タクティール®ケア」を個人で学び認定を受けた職員が、とらいふ武蔵野で緩和ケアを行いたいという想いから、当施設でのケアが始まりました。
タクティール®ケア認定者となった職員の深谷さんにデイサービスでの様子を教えてもらいました。

職員が背中のケア体験をする様子(ぐっどういる境南)


③ゆっくり優しくなでるオキシトシンマッサージ

つらそうにしている人の背中をさすったことはありませんか?
人を想いやる心が、自然に背中をさすったり、手をとって励ましたりと一度はご経験があるのではないでしょうか。
そのような心の通い合いとタクティール®ケアは似ているように思います。

優しく撫でるように、包み込むように、赤ちゃんからお看取りの直前まで施術ができる。
皮膚触覚に一定の速さと圧で触れることによって「しあわせホルモン」の「オキシトシン」分泌を促す。
認知症緩和ケア・周辺症状の緩和、痛みの緩和・・・・・。
さまざまな効果が期待できます。

認定試験にパスをした後、施設長と事務局長へお話を聞いて頂き、理事長へご理解を通して頂きました。
また、職員ひとりひとりへタクティール®ケア体験を行って、ケアの良さを理解して頂きました。

その流れから、まずはとらいふ武蔵野デイサービスから試験的に始めてみる機会を頂き、タクティール®ケアをスタートした次第です。

職員が手のケアを体験する様子(とらいふ武蔵野)


④デイサービスでの緩和ケア始まる


とらいふ武蔵野デイは2023年2月末から開始。
ぐっどういる境南デイは2023年4月末から開始。

最初に行ったのは、デイサービス職員ほぼ全員にケア体験をしてもらいました。
ケアを体感してもらうことで、安全で気持ちの良い緩和ケアだと、現場の職員に理解して頂けました。
体験済みの現場職員のおかげで、ご家族や利用者さまからの質問や、認知症の方をケアの場所へ誘導する時など、いろいろなことがスムーズに運んでいます。
現在では毎週20名前後の利用者さまがケアを受けて下さっています。

セラピスト仲間2人にお手伝いをお願いして、私を含めた3名で毎週水曜日、木曜日、土曜日にデイサービスでのケアを行っています。

とらいふ武蔵野デイ担当の佐藤さん(歯科衛生士)
ぐっどういる境南デイの担当 徳間さん(歯科衛生士)

認知症をはじめ、様々な既往症をお持ちの利用者さまですが、
デイにおじゃまして目が合いますと、「タクティールやる?」とこちらへ聞くような行動を取ってくださるような方も数名出てきました。

レクリエーションなど興味がなく無気力であった方が、タクティール®ケアを楽しみにして下さり、「前向きな姿を初めて見た」とデイ職員から嬉しい感想を聞くこともあります。

ほとんどの利用者さまが短い時間でも熟睡されています。

「気持ち良かった。ありがとう。」
「こんなによくしてもらって、幸せ。」
何よりの誉め言葉を毎回頂いております。


⑤次は特養へ緩和ケアを

このようなデイサービスでの好評を受け、次は特養の入居者さまへ緩和ケアをお届けしたいと思い動き始めています。

特養はショートステイを含めて80名の方がおられますので、私が所属するタクティールJapanのインストラクターさんに全面的に入ってもらうことに決まりました。

年内は特養職員の体験と入居者さまご家族さまの体験を実施しています。

足のケアを体験中の職員の様子(とらいふ武蔵野)
 インストラクター眞島さん(理学療法士)
背中の体験をする施設長(とらいふ武蔵野)
インストラクター髙松さん(アロマセラピスト)

オキシトシンマッサージによる緩和ケアが多くの方に届けられますように。
一歩一歩準備をしていきます。
どうぞよろしくお願いいたします。