卒業式
今日が最後と思いながら、僕は、教室に向かっていると、無駄に大きな声で話している生徒や、甲高い笑い声や、ダミ声が周りから、聞こえて来る。
僕は、教室に入ると、クラブのようだった。とてもうるさかった。式が始まるのは、9:45。
それまでに、なかなか時間がある。
僕は、最前列(出席番号順)の席に座り、鞄から本を取り出し、読み始めた。
僕が本に夢中になってると、何か異変を感じたから、辺りを見渡した。「ん?なんか変だよね」と思ったけど、そこまでだったから、僕はまた読み出した。
でも、やっぱり気になったから、また顔を上げた。「ベルリンの壁が、仮想空間で作られてるのか?ここは38度線か?いいや、ここは日本だ。だけど、おかしい。僕だけが、ポツンと座ってるだけで、他の人間は、ずっと後ろに居る。なぜ前に来ないのか、不思議。」と心の中で思いながら、僕は、また本を読み出した。これは、俗物の間に伍することも潔しとしなかった。共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心との所為なのかもしれない。
時間が、解決するだろうと思ってた僕は間違ってた。この大きな、鉄のカーテンは壊れることが無かった。ほんとに、水と油みたいだった。
友達との関わり方を思い出せなかった。
時間が経って、式が終わり、教室に帰ってきた。
もう「高校生」じゃなくなる。
学生としての僕は、少し休憩を挟むことになる。
僕はまだ、親の傘の中に居るから、親の子供時代にタイムトラベルをする。
なんかさみしいけど、もう卒業か。
次逢える時は、友達との話し方とか、関わり方とかを思い出せてるといいな。
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