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心の声に耳を傾けること

イェール大学助教授で、経済や社会の問題をデータ解析で鋭く面白く切っている成田さんの動画にはまっている。

インタビューアーがあらゆる問題をデータサイエンスの観点から読み解くとどうなるかと質問を連ねていたときに、くだんの助教授が

「長期的な展望は、経営者の心の声にあるんじゃないですか」

と回答されていたのが印象的だった。

いわゆるデータ偏重で思考停止をになっていることの揶揄でもあるのだと理解したが、同時に実存主義という言葉が想起された。

実存主義は、人の意志や思考が外界を規定していくという思想で、哲学者サルトルは「実存は本質に先立つ」と述べた。

近代合理主義が進んでいった時代に、フランスで台頭した実存主義という思想が、デジタル化が急速に進んでいる現在にまた見直され始めている流れにあるのではないか。

さいきん流行りのエッセンシャル思考は構造主義そのもので、実存主義の対立概念である。エッセンシャルに物事の本質を掴みパターン認識をすることで、効率的にものごとを把握できる。
効率よく売り上げを伸ばすビジネスをしていく上では、重要な構えである。
一方で、瑣末な事象は削ぎ落とされる。
つまり大味なのである。

大きく売り上げを伸ばすことに関しては、力を発揮するそのエッセンシャル思考も芸術や人間存在そのものを語る上では、雑すぎる捉え方である。単純思考とも言い換えることもできるかもしれない。

そもそも、意識は環境に影響を受け、意識は志向の通りに情報を読み取るため、外部と内部は互いに影響を与え合うものである。これを前提にしてどちらに軸足を置くのかで、その人の主義主張やスタンスも決まってくるのだろう。

物事を達成することに軸足を置く場合は、より構造主義的に、ヒューマニズムに軸足をおく生き方はより実存主義的になっていくのであれば、わたしは後者を支持したい。

ヒューマニズムに軸足をおきながら、ビジネスを伸ばすという一見、矛盾があり非効率な考え方であるが、自身の偏見に満ちた主張を頑なに通すというワガママな楽しさを人生において経験していきたいのだ。

自分や、周囲の人、知り合った人が、志向性において「良い」と考えたものの売り上げを少しでも伸ばし、長くその偏向性を続けていけるようなビジネス支援をしていきたい。

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