見出し画像

その価値観ないわ!!

たとえば洋服などは、自分の好きなスタイルに合っていないものは買わない。そのスタイルの背景にあるものは価値観だ。

洋服もシェアの時代

時代の価値観として一つあるのが、所有からレンタルへ、購入よりも借りる時代になったと、エアークローゼットのサービスが2015年に出てきた。わたしもAir Closetのサービスを数ヶ月試したことがある。

このサービスができた背景として、「気が付けばいつも同じテイストのものばかりを買って、クローゼットの中が同じもので溢れている」それなのに気がつけばまた同じような洋服を買い足している女性の姿があったからだそう。

選ぶ洋服は、第三者目線が入ることで選択の幅ができ、違った自分の一面をも知るきっかけになる。そして、不必要にたくさんのものを所有しなくてもよくなるとのこと。

このメリットを、次のような女性のニーズに合致させている。

1.新しい自分の一面を知りたい
2.毎月たくさん使っている洋服代を節約したい

一方、時代にはときめきの魔法がかかっている

こんまりさんの片付けの魔法は、日本だけでなくアメリカの人たちの価値観にも大きく影響を与えた。

このメソッドに従うと「所有するのはときめくものだけ」。

とっかえひっかえ、たくさんの洋服を着替えて流行っているものを追うのではなく、自分が本当にときめくものだけを厳選して所有し、長く愛用するというスタイルだ。

エアークローゼットのターゲットと相容れない層であろう。

コロナ禍で外出不要なのものあり、洋服が必要なくなったというのもあってか、2020年のエアークローゼットの営業利益は大幅なマイナスだった模様。

自分のことがよくわからず、いろんなものを試したい20代の女性にはウケるのかもしれないが、ターゲットに設定してある40代はどうなのだろう。

カラー診断や骨格診断などを駆使し、若い頃の失敗経験を重ねた年代には、もうレンタルでいろんなものを試すという価値観は薄いのではないか。

便宜的に、イベント用の一時借用というのはあるかもしれない。

けれど、シェアの時代にフィットしているようで、本来的には合っていない価値観ではないかと思わざるを得ない。

同様に、リコメンド機能により次から次へ最適化された商品が表示され買い物はゼロ秒で済むということが書いてあったこの本にも疑問が残る。

"買い物ゼロ秒時代の未来地図 2025年、人は「買い物」をしなくなる"

過去のデータの延長でしか、人はものを選ばなくなっていくのだろうか。

そして、他人から進められるもので身辺を飾っていくようになるのだろうか。

それないわ!

と2021年にいる私は叫んでいるものの、4年後にはどうなっているのだろうか。

マーケティングオートメーションが進み、あれもこれも目の前に次々と提示され選ばされていくのを想像すると、ちょっと空恐ろしくなる。

そんな状況で、人は何を拠り所に生きていくのか、と考える人が増えそうだ。哲学や精神論が必要とされ、「自分軸メソッド」が今にも増してもてはやされる世の中になっていくのだろう。それもある意味、怖いものがある。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?