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海外から学ぶイベントマーケティング:企画から実施後まですぐに使えるノウハウ21選

カナダからメリークリスマス!

こんにちは!BtoB企業様向けに海外トップランナーを招いたイベント企画支援をしている、株式会社トップランナーマーケティング代表取締役の清水絹子です。

今日は待ちに待ったクリスマスですね!先月からカナダに移住し、街は想像以上にクリスマス一色です。マンションには11月から大きなクリスマスツリーが飾られ、街のショッピングモールやお店、お家のいたるところがクリスマス仕様にデコレーションされています。(めっちゃ寒い⛄)
我が家でも娘のリクエストで2mのクリスマスツリーを飾りました!

天井すれすれのクリスマスツリーに喜ぶ長女(7歳)

そして、今日はEventHubの鈴木さん(@ihciuuy)主催のイベントマーケティング Advent Calendar 2023最終日です。まさかの大トリです!

責任重大なので気合を入れて海外情報収集&執筆したところ、1.2万字というものすごいボリュームになってしまった点だけ先にお伝えさせていただきます。(海外情報を集めていたら想像以上にモリモリになってしまい、社内で「きぬこさん、既に企画の段階で十分くらいの量ですけど、どうします?」という話が出たのですが、年末だし全部出しちゃおうという結論に至りました)私からのクリスマスプレゼントだと思っていただけますと幸いです🎁

中身は、ずばり「海外から学ぶイベントマーケティング:企画から実施後まですぐに使えるノウハウ21選」です。他の参加者の方と被らず、かつ様々な業界の海外トップランナーとのイベント企画を通じて得た弊社の知見を、できるだけお伝えできるテーマとして選びました。
構成は、企画・集客・当日・実施後の4段階に分かれています。それでは、早速ご紹介していきます!


①企画段階で使える海外ノウハウ

●タイトルに「ウェビナー」を使うと申し込み率が半減する

アメリカのウェビナープラットフォーム企業GoldCastの調査によれば、ウェビナーのタイトルに「ウェビナー」を使った場合と使わなかった場合で比較した結果、「ウェビナー」をタイトルに含むイベントの申し込み率が使わなかった方と比べて50%も減少したそうです。

同社の考察では、参加者はZoom疲れ(Zoom fatigueと呼ばれる)を抱えており、「ウェビナー」の文字を目にした途端、情報をシャットアウトしてしまう傾向にあるのだとか。

「イベントマーケティング実践ウェビナー」といったように、「ウェビナー」をタイトルにつけてしまいたくなりますが、この調査結果を踏まえると使わない方が良いかもしれません。

参照はこちら👇


●70%の参加者は「基調講演+選択式セッション」形式を好む

ウェビナーよりも規模の大きいオンラインイベントを企画する際、構成をどうするかという点も非常に重要な要素です。集客力のある大物ゲストを1名招いて基調講演のみとするのか、複数の登壇者を招いて好きなセッションに参加してもらう形にするかなど、予算やコネクションにもよりますが、どの形式を選べば良いか悩みますよね。

イベントの形式について、以下の調査結果がGoldCastより出されています。

参照:https://businesslibrary.io/en/Resource/Detail/97948

GoldCastが発行しているeBook「Attendee Sentiment Report The Inside Scoop on Attendee Expectations for 2023」によれば、回答者の半数以上である66%が基調講演と興味の湧いたセッションに参加する形式」を選択しています。
また、基調講演を含む構成を選んだ人は全部で75%となり、イベントのメインとなるスピーカーがいるイベントの方が好まれることがわかります。イベントの構成を決める際は、目玉となる基調講演+複数のセッションの構成を検討すると良いでしょう。

●ウェビナーをプレゼン+パネルディスカッションの2部構成にする

全世界1000万以上のユーザーが利用する、オールインワン競合分析ツールSemrushでは、ウェビナーを15分間のプレゼンテーション+専門家とのパネルディスカッションという2部構成で実施しています。具体的には、特定のテーマのプロであるホスト1名、15分間の短いプレゼンテーションを行う登壇者が1名、プレゼン後に2名以上の専門家が加わり、全員でプレゼンターが話した内容について深堀りしていくパネルディスカッションを行う形式でイベントを運営しているそうです。

複数の専門家がさまざまな視点で意見を交換することにより、参加者により様々な知見を与えることができます。また、登壇者サイドの全員がイベントの宣伝を行うことで、集客数の増加を見込めます。

多くのウェビナーは、1人の登壇者が30~60分間のプレゼンテーションを行い、後半に参加者との質疑応答時間が用意されている形式で実施されています。Semrushのように15分という短い時間のプレゼンテーション+複数の専門家とのパネルディスカッションにすれば、参加者の関心をより長い間維持することができ、途中離脱率が下がる可能性が高まります。1人登壇形式のウェビナーで成果を感じられていない場合は、ぜひ試してみてください。

参照はこちら👇


●内容は「Tips・コツ・成功事例」が好まれる

参加者が好むオンラインイベントの内容については、BtoB企業向けウェビナー配信サービスを提供しているイギリスのBrightTALKが2019年に行った調査結果をご紹介します。

2019 BrightTALK Benchmarks」によると、参加者が求めるオンラインイベントの内容は、1位が「Tips・コツ・成功事例」、2位が「業界の最新トレンドや今後の予測」という結果になりました。

Tips・コツ・成功事例が70%、業界の最新トレンドや予測が62%

2位と僅差となった3位と4位の内容もハウツーや専門家インタビューとなり、すぐに実践可能な内容もしくはインスピレーションを与えてくれる内容が多くの参加者に好まれていることがわかります。(ちなみに今回のテーマを決める際もこの結果を参考にして、実践可能なTipsまとめをテーマに選びました)

テーマ選定に悩んだら、見込み顧客が抱えている課題を解決するのに役立つ、実践的なノウハウを伝えるセミナーを開催することをおすすめします。

また、別の調査結果もご紹介します。BtoB企業向けイベント管理プラットフォームを提供しているアメリカのBizzaboの調査「THE VIRTUAL ATTENDEE EXPERIENCE REPORT」によれば、「イベントで、あなたが最も達成したかったことは何ですか?」という質問に対し、対面式は57.2%、オンラインイベント参加者は72.5%が、イベントに参加する目的は「学ぶ」ことであると回答しています。

この結果を踏まえると、参加者の満足度を上げるためには、セミナーで「学び(≒参加者が今まで知らなかった、価値があると思ってもらえること)」を与えることが重要です。
海外情報や業界最新情報は、参加者満足度を上げやすい内容になるのでおすすめです。

ちなみに、下のグラフで背景色のついている部分は、対面式イベントとオンラインイベントで圧倒的な差が出た参加目的です。

対面式の参加者が持っていてオンラインイベント参加者が持っていない目的は、ズバリ「人々との交流」でした。オンラインイベントでイベント後にミートアップを作ってもなかなか人が集まらなかったり、盛り上がりにくいケースが多いのは、そもそもの参加者側が持つ目的によるものなのかもしれません。
逆にハイブリッド型や対面式でイベント開催する場合は、交流を深められる時間を設けることが非常に重要であると言えます。

イベントに参加する人の目的を調査したグラフで1位は「学び」

●海外の最新情報を集めるには、「LinkedIn」と「トップランナーの発信情報」をチェックする

では、このような海外の業界最新情報はどのように集めれば良いのでしょうか。弊社が実施したアンケート調査で海外のイベントマーケターから聞いた2つの手法をご紹介します。

①LinkedInの求人情報を見る
海外最新情報にアクセスするには、LinkedInを活用するのがおすすめです。日本ではまだLinkedInはユーザー数が少ないですが、先日(2023年11月)10億人を突破したとの発表がありました。

海外ではビジネス用SNSといえばLinkedInであるため、LinkedInを活用した営業・採用活動が活発に行われています。LinkedInに掲載された求人情報には、不足している人材や今後やっていきたいことが書かれているので、その業界でどんなニーズが高まっているのかを知ることができます。
特定の業界のキープレーヤーの求人情報に書かれたニーズを、ウェビナーを企画する際の参考にしているとのことです。

②海外の同業他社や専門家の発信内容をチェックする
海外同業他社や自社が提供しているサービス領域における専門家の発信内容をチェックすることもおすすめです。例えば、今回この記事を執筆するにあたり、私たちと同業であるウェビナーに関連するサービスを提供している海外企業の情報を多数調べました。

どういった企業が各領域におけるキープレイヤーであるかを調べるには、G2などのビジネスソフトウェアレビューサイトで検索したり、LinkedInでフォロワー数の多い専門家を検索したりすることがおすすめです。

(👆「ウェビナープラットフォーム企業」での検索結果。ON24など日本でも有名な企業もあるが、RingCentralやGoToWebinarなどといった海外ではユーザー数が多く高評価を得ている企業の存在を知ることができる。)


(G2ではG2 Grid®(上図)を表示してくれます。ウェビナー プラットフォーム製品の評価を、ユーザーのレビューや市場での立ち位置に関するデータに基づき作成されています。同じ種類のサービスでも特定企業の競合やどこが評価されているのかがすぐにわかります。)


●平均的なウェビナー費用は3,000から5,000ドルで、その40~60%は集客に使われる

ウェビナー開催にかかる平均費用は約44~73万円で広告費はそのうちの40~60%

ウェビナーを開催するのには、どのくらいの予算を割くべきでしょうか。ウェビナーの費用対効果を測るのは、成約に至るまでナーチャリングの時間がかかるため、非常に難しいためすぐに答えを出すのは非常に難しいです。

メリカのデータレポートプラットフォームを提供するDemandsage2023年3月に執筆された記事によると、ウェビナーの平均費用は3,000~5,000ドル(約44万円~73万円:2023年12月1日時点のレート換算)だそうです。

また、集客に使う広告費用についてもよく同様の議論が上がりますが、同記事によれば予算の40~60%が集客コストとして使われるとのことです。ハウスリストが少ない場合は、広告なしでたくさんの集客をすることは難しいので、予算配分に悩んでいる方はご参考ください。

②集客を最大化させるための海外ノウハウ

「集客が伸びる開催曜日/時間はいつか?」や「集客メールをいつ送るべきか?」などといった情報については、ターゲットによって数値が全く変わってくるのと、既に日本でも複数の企業の調査結果が出てくるので、この記事では取り上げません。

その代わりに、私が興味深いと思った集客に関する海外情報についてご紹介します。

●ウェビナー登録ページの平均コンバージョン率は9.7%

「The Ultimate List of Landing Page Statistics for 2024」によれば、ウェビナー登録ページの平均コンバージョン率は9.7%だそうです。ただし、記事の筆者も注意書きとして書いているように、業界やフォーム形式によっても大きく異なります。
9.7%は数値として参考にしつつ、自社の平均的なコンバージョン率を計測し、前回と比べてどうであったかを振り返ることがおすすめです。

参照はこちら👇


● 1秒で読み込めるサイトは、5秒で読み込めるサイトよりもコンバージョン率が3倍高い

丸の大きさ=セッション数、縦軸:CVR、横軸:読み込み時間(秒)

コンバージョン率を下げないためには、セミナーの内容もさることながら、ページの読み込み速度が非常に重要です。
アメリカの総合デジタル マーケティング代理店PORTENTが、リード創出を目的としたBtoB企業のウェブサイトのコンバージョン率とページ読み込み速度の相関性を調査した結果によると、1秒で読み込めるサイトは、5秒で読み込めるサイトよりもコンバージョン率が3倍高いそうです。
さらに、 1秒で読み込めるサイトは、10秒で読み込めるサイトよりもコンバージョン率が5倍高いという結果も出ています。

そのためイベントページを作成したら、読み込み速度がどのくらいであるかを測定したうえで公開することをおすすめします。ページ速度の測定は、PageSpeed Insightsなどの無料ツールを使うと、すぐに可視化することができます。速度改善に向けたポイントも提示してくれます。


● ランディングページに動画を活用すると、コンバージョン率が12%UPする

イベントの申し込みページの内容の観点でコンバージョン率を改善できる方法は、動画を活用することです。TechSmithの「5 Popular Ways to Increase Conversion Rates with Video」に同社が動画をランディングページに入れた結果、コンバージョン率が12%改善したという結果が出ています。

動画の内容については、リソースがあればイベントのプロモーション動画を作ると見栄えが良くなります。

●ニジボックス様主催UI UX Camp! 2023告知動画

そこまでのリソースがない場合は、登壇者に登壇に向けた意気込みを語ってもらう1分程度の動画を撮影するのがおすすめです。

私たちも海外登壇者に簡単な自己紹介や登壇に向けた意気込みを語った短い動画撮影を依頼し、イベントページやメルマガ、SNSなどに活用いただいています。動画を撮影してページやメルマガに埋め込むだけで、参加者の期待値向上につながるのでおすすめです。

●元GoogleプロダクトマーケティングマネージャーTucker Bryant さんのプロモーション動画

参照はこちら👇


●参加者の感想を掲載するとコンバージョンUPにつながる

もし、定期的にウェビナーやオンラインイベントを開催しているのであれば、過去に参加した人からの好意的な感想やコメントを、イベント申し込みページに掲載しましょう

Growth Marketing Proの「The Ultimate List of Landing Page Statistics for 2024」によれば、ランディングページにカスタマーレビューや感想を掲載すると、10人中9人がウェブサイトを信頼し、コンバージョンが増加したそうです。海外では、このような第三者評価を「ソーシャルプルーフ(社会的証明)」と呼んでいます。

ECサイトや通販のランディングページで「購入者の声」といった形で紹介されているケースをよく見かけますが、BtoBのイベントでも同様に有効の施策と言えるでしょう。
参加者の声の集め方については、ウェビナー参加中のチャット、アンケートの自由記述のコメントやSNSのつぶやきなどが挙げられます。参加者のリアルな声を積極的に活用しましょう。

海外のイベントページで参加者のコメントが掲載されている例
(参照:https://content-summit.com/#speaker_section)


●署名やSNS・営業資料など、目につく至るところにイベントURLを配置する

フランスのウェビナープラットフォーム企業LivestormCEOのGillesさんから教えていただいたTipsをご紹介します。
Gillesさんが仰っていたのは、「ウェビナーの開催が決まったら開催日まで目につく至る所にイベントページのURLを貼ることで、様々なチャネルからの導線を確保する」という施策です。

具体的には、「メールの署名欄やSNSのプロフィールやイベント告知投稿のピン留め、ダウンロード資料の巻末やYouTube動画の概要欄など、とにかく顧客との接点である様々なチャネルにURLを貼って目立たせることで、最大限露出を増やし、自然にイベント申し込みが増える状態にすべき」とのことでした。

メールの署名など目につく至る所にイベントURLを貼るべし

無料の集客施策と言えば、一般的にはハウスリストへのメルマガ配信やSNSでの投稿が思いつきますが、たしかにここまで徹底的に導線を貼るところまでは実施できていなかったので、弊社でもやってみようと思います。

③イベント当日に関する海外ノウハウ

●ウェビナーの平均出席率は約 40%

ウェビナーの申し込みの数は多かったのに、当日の参加者が想像以上に少なかったという経験はありませんか?海外記事を見る限り、BtoB企業のウェビナー平均出席率は約40%が相場のようです。

また、「登録した人の約 25% は当日配信を見逃し、代わりにアーカイブを視聴する可能性が高い」という情報もありました。元々アーカイブ配信を視聴するつもりで申し込んでいる人も含まれるため、40%という数値になるのは納得がいきます。そのため、より多くのリードを獲得したいのであれば、イベントページに「アーカイブ配信あり」と記載することをおすすめします。

また、少しでも出席率を上げるためには、申し込み時の自動返信メールにGoogleカレンダー登録機能を埋め込み、申込者がボタン1つで自分のカレンダーにイベントを登録できるようにする、リマインドメールをウェビナー開始前に3回送信する(1時間前、30分前、5分前)といったテクニカル面での施策もおすすめです。

(Litmusからのイベント案内メール下部に「Add to my calendar」というボタンがあり、これを押すだけでカレンダーにイベントを登録できる)

参照はこちら👇


●ウェビナー開始20分以内が勝負

これは海外ではなく自社調査の結果で恐縮ですが、弊社が行ったインターネット調査によると、60分間のウェビナーに参加した場合、半数以上(55.9%)が開始20分以内に視聴し続けるか、それとも途中で退出するかを判断する、という結果が出ています。序盤でいかに参加し続ける価値のあるウェビナーであると思ってもらえるかが視聴維持率を高めるポイントになりそうです。

視聴維持率が低いことにお悩みの方は、最初の20分(もっと言えば15分)で参加者に伝える内容を見直してみることをおすすめします。


●エンゲージメントを高める3つの海外Tips

ウェビナーの途中離脱率を下げたり、満足度を上げたりするために重要なのは、「エンゲージメントスコア」を上げることです。エンゲージメントスコアとは、参加者の活動や関与の度合いを数値化したものです。この数値が高ければ
ウェビナー開催中のエンゲージメントを高めるTipsを3つご紹介します。

①動画をプレゼンテーション中に流す
動きのない資料のみを用いたプレゼンテーションを何十分も続けていると、参加者は途中で飽きてしまうかもしれません。動きに変化をつけるためにおすすめなのが、プレゼンテーションに動画を活用することです。過去に弊社企画イベントに登壇いただいたGrabCMOのシェリルさんや『Google流 ダイバーシティ&インクルージョン インクルーシブな製品開発のための方法と実践』の著者アニーさんなど、複数の海外スピーカーが自分の主張の裏付けとして動画を活用していました。

また、口頭での説明だけでは理解しづらい内容を、動画を活用することで専門知識のない視聴者にもわかりやすく伝えることができます。世界的オンラインゲーム「フォートナイト」でUXディレクターを務めたセリアさんのプレゼンテーションでは、実際のユーザーのプレイ動画を流すことでユーザーテストに関する説明を行っていました。

このように、数十秒~数分程度の動画をプレゼンテーションの途中で流すことで、参加者の関心を継続させたり、専門的な内容をわかりやすく説明することができます。動画を活用したプレゼンを行ったことがない方は、ぜひ取り入れてみてください。

②エンゲージメントを高めるにはカジュアルなアイスブレイク
参加者とのエンゲージメントを高めるには、できるだけ参加者がやりとりに参加するハードルを下げる必要があります。LivestormCEOのGillesさんによると、「ウェビナーのテーマが堅めであったとしても、チャットやアイスブレイクによる参加者との対話を通じて、カジュアル感を出すことがエンゲージメント獲得に繋がる」とのことです。1回でもチャットや投票に参加するだけで、その次のアクションをしやすくなります。
日本と海外では文化の違いがあるので、設問の選定はそのまま真似しにくい部分もありますが、よくあるのはウェビナー冒頭で「どこから参加していますか?(オフィス・自宅・その他など)」などといったカジュアルな質問を投げかけることです。また、ジルさんは「中立的で答えやすい質問であること」も重要な要素として挙げていました

③参加者が参加しやすいよう、サクラスタッフを用意する
同じく、LivestormCEOのGillesさんは、参加者がチャットに投稿するハードルをできる限り下げるために、自社の社員をサクラとして参加させることも重要であると語っていました。

同社では、現在AIがチャットに積極的に投稿したり、ウェビナーの内容に対してコメントをしたりするといった形で、盛り上げ役としてサポートできる機能を開発中だそうです。

たしかに誰も投稿していない中、自分だけが投稿するのは非常に勇気がいるものです。かといって、そのために担当者を配置することは難しいケースが多いので、AIを活用することができれば、よりエンゲージメントを高められるウェビナーを開催できそうです。

④イベント実施後に関する海外ノウハウ

エンゲージメントを高めることが海外でもウェビナー成功をさせる上で注目を集めていますが、具体的にどのような数値を見ることでエンゲージメントを測れるのでしょうか。
ここからは、ウェビナーで見るべきエンゲージメントに関するKPIの数値やイベント実施後に行うべき施策に関する海外ノウハウをご紹介します。

●エンゲージメントスコアのベースとなる項目と影響力

エンゲージメントスコアを測るためには、どの数値を見れば良いのでしょうか?また、それらが成果に影響を及ぼす度合いは全て均一なのでしょうか?
海外ウェビナープラットフォーム企業GoldCastによれば、同社ではエンゲージメントスコアを測る際の見るべき数値とそれぞれの影響率を定義しています。

エンゲージメントスコアを算出するベースとなる具体的な参加者の行動と影響率は、以下の通りです。

参照:https://www.goldcast.io/lp/webinar-benchmark
  • イベント滞在時間:17%

  • チャットへの投稿:17%

  • 資料のクリック:25%

  • ウェビナー中に行った投票への回答数:17%

  • Q&A時の質問数:25%

同社の定義では、「資料のクリック」と「Q&Aでの質問投稿数」がより重要視されています。

●ウェビナー版NPS「ビデオエンゲージメントスコア(VES)」

約30億円の資金調達を実施したフランスのウェビナープラットフォーム企業Livestormが提唱している指標が、「ビデオエンゲージメントスコア(VES)」です。
先日行ったCEO Gillesさんへのインタビューの中で、彼は「VESとは、マーケティングでよく活用されているNPS(Net Promoter Score)を、ウェビナーやオンラインイベント用に置き換えたもので、動画のエンゲージメントを測定できます」と語っていました。

VESを測る際に入力する数値は、「出席率・イベント全体の開催時間・参加者の滞在時間・投票数・アンケート回答数・質問数(チャットがきた回数)」です。これらをLivestormが提供している無料のツールに入力するだけで、VESが表示されます。Livestorm上で開催されたオンラインイベントやウェビナーの数値と自社の数値を比較することも可能です。

ウェビナーやオンラインイベントを開催したら、それぞれの数値を入力してVESを測定してみてください。

VESに関する詳しい説明はこちら👇

VESについての詳細と測定はこちら👇


●実施後、10日以内にウェビナーコンテンツを公開すべし

当日都合のつかなかった人や復習用にアーカイブ配信をするケースは多いです。その際、実施からどれくらいでコンテンツを配信していますか?
ZIPPAの調査によると、ウェビナーのコンテンツを公開する適切なタイミングは、イベントから10日以内が適しているそうです。具体的には、視聴率は実施から最大10日以内が視聴率約47%、20日後には約24%、30日後には約10%まで下落するという結果が出ています。

縦軸:視聴率、横軸:イベントからの経過日数

動画の編集には時間がかかりますが、このデータを踏まえると、できるだけ実施から10日以内に配信をした方が視聴率の確保ができそうです。

●参加者の約82%が何かしらの形でイベントの内容を同僚に共有

すごく面白いイベントに参加した際、誰かに話したくなりますよね。
BtoB企業向けイベントプラットフォームを提供するBizzaboからは「81.8%のイベント参加者が、イベントの内容を同僚に共有する」というデータが発表されています。

約82%がイベントでの経験や得たインサイトを同僚に共有する

同僚に共有する形で最も多いのは、「廊下などでの立ち話(36.9%)」、次いで「共有されたイベント資料/リソース(30.6%)」でした。

たしかに、企業によっては勤務時間中にオンラインセミナーやイベントに参加した際、参加証明書または参加報告書なるものを提出しなければならないと聞いたことがあります。
イベントの内容を共有してもらうことで自社のアピールにもなるため、第三者に共有しやすいような形でセミナー資料や概要がわかるものを参加者に提供できると良いでしょう。

●営業へつなげるために個別のメッセージ動画を送信

「人は集まるが、ウェビナーから商談化しにくい」というお悩みをよく耳にします。
以前、登壇いただいた元Intelで現在はBtoB企業の営業・マーケティングコンサルタントとして活躍しているPam Didnerさんによれば、ウェビナー後のアンケートから商談に直結しないのが当たり前で、アメリカでは商談獲得にはメールマーケティングをきちんと行うのが有効とされているとのことでした。

具体的には、参加者へただ一斉に同じ内容の御礼メールを送るのではなく、参加者が投稿したチャットや質問の内容に触れた、その人だけに向けたショート動画を撮影してメールに埋め込むのだそうです。

「セミナーへご参加いただきありがとうございました。〇〇といったお悩みを抱えられているようですが、当社で発行しているeBookにその解決策のヒントが含まれていますので、よろしければご覧ください。また、〇〇という課題に関しては弊社のサービスが××といった形で解決できます。もしご興味があれば、30分ほどオンラインでお話しませんか?」といった1分程度の動画を撮って送ります。他の会社はほとんど同じメールの御礼メールしか送っていないので、たしかにここまでできれば差別化でき、印象に残すことができます。

ポイントは個別感とその人のことをしっかり考えていることをアピールすることだそうです。すぐに真似できるノウハウなので、ぜひ実践してみてください。

おわりに

最後まで読んでいただけたかどうかが非常に不安なのですが(苦笑)、ウェビナーに関する海外ノウハウ、いかがでしたか?
正直、クライアントワーク以外でここまでガッツリ海外情報を調べて発信したのが初めてなので、1つでも「面白い!」「参考になった!」と思っていただける情報があったならぜひX(Twitter)で返信または引用RTいただけると、がんばって書いた甲斐があったな‥と泣いて喜びます

トップランナーマーケティングでは、海外トップランナーを招いたウェビナーの企画支援(企画のご相談から翻訳などのコンテンツ制作までやります!)、希望の条件を満たす海外トップランナーへオンラインで1時間~インタビューができるスポットコンサルティング、イベント集客支援サービスを提供しています。
ご興味あればXのDMかお問い合わせフォームよりご連絡ください!
お問い合わせ:https://toprunner-marketing.co.jp/contact/
皆さま、良いお年を!

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