見出し画像

10周年に武道館に帰ってきた人達との話

1. 苦い記憶も携えて

Da-iCEが日本武道館に再び立つ。
しかもメジャーデビュー記念日に。
さらに10周年のタイミングで。

この発表に心を踊らせたのは9月のことだった。
しかしその感動もつかの間、チケットを手に入れるのはそう簡単なことではなかった。
一緒に行こうと約束した友人と自分に何度も届く大量の落選のメールたち。もうやけくそだった。
なんとか見切れ席のチケットを手に入れたのが1週間前である。
そんな中でたどり着いた武道館。
もはや行くことすら諦めていたのでグッズは1つも買っておらず、冷えきった外で物販の列に並び続けた。手はもちろん、足先まで感覚を失った私は、座席に着いた時にはもう既に満身創痍状態だった。
見切れ席の割にはそれなりにステージは見えそうだったので、何が見切れなんだろうと思って立ってみて納得。上の視界がほとんど上の階に被ってしまって見えないのである。モニターを見るには座席の間でしゃがんで上から見上げる必要があった。
でも、一度は映画館のライブビューイングで諦めると決めていたという事情もあり、中に入れただけで安堵と感動の思いだった。
あとは始まるだけ。一緒に来た友達とあの曲やって欲しいだの、あの曲の振り付け確認しておこうとか、わいわいしていればあっという間だった。最近ファイナルや記念公演ではすっかり定番化したサプライズの練習も終え、いよいよライブが始まった………………………

2. 初期の衝動を再び

10周年で終わらせない。これから先もDa-iCEとして、明日も明後日も生きると。そう言ってステージを去っていったDa-iCEは、最初から最後まで、変わらず大きなサイコロを守り続けていた。
Da-iCEは最近はすっかりきらびやかに見えると思うが、そうなったのも本当にここ3.4年の話である。自分が出会った当初はひたすら苦節を守り、次こそはとその時機を伺っているように見えた。
私が出会った、というかしっかり自分が好きだ。ファンだと自覚したのは2019年だった。それよりも前からAAAの絡みで存在は知っていたし、曲もおおよそ知っていたが、ちゃんとファンだと自覚するには至らなかった。それを変えたのが『FAKE ME FAKE ME OUT』だった。

このMVが出てから私は一気にDa-iCEに夢中になった。とはいえ高校3年生、部活に行事に勉強に必死でライブも行くことは叶わず、BESTツアーも見送ることに。そしてそのままアイツが襲ってきたのである。コロナウイルスはやはりDa-iCEにも大きな影響を与えた。予定していたツアーは中止。レーベルの移籍という変化もあった。
武道館のMCのなかで、どのタイミングでファンになったのか、アルバムごとで分けて聞いていく時間があった。その時圧倒的に少なかったのが「FACE」。わたしは丁度そこにあたるのだが(実際には『FAKE ME FAKE ME OUT』は「BEST」にも収録されているが) あまりにもリアルな反応に、本人たちもたじろいでいたのが忘れられない。本当に2019年後半から2020年は苦しんだ期間だったのだろうと思う。
初期のただがむしゃらにやっていた時期とはまた違った困難にぶつかっていたことをありありと感じる瞬間だった。

登場は初期をオマージュした黒と赤のお揃いのスーツスタイル。ひだがついたジャケットは、踊ると綺麗に広がって、ステージで映えるDa-iCEの歴史を伝えてくれる衣装だったと思う。
そのあとは最近よく見る「その色のスーツ良く着られるな………」のカラースーツ。毎回どこからそれを見つけてくるのだろうか…と疑問すら抱いてしまうのだが、それを着こなしかっこよく決めていくのがすごい。
そんなこんなで進んであっという間の3時間半。過去も現在も未来をも詰め込んだ39曲は、もちろん聴きたかったが聴けなかった曲はありつつも、間違いなく『今やる武道館公演』としては最適解だったのだと思う。
後日の配信などでセトリに入っていたがやらなかった曲の存在も明かされた。でも、それがあろうとなかろうと、あそこで体感した曲たちは何よりも気持ちよくて、愛で溢れた時間を作り出していた。

3. 13周年は重い

この公演を振り返ると、ここまでの過程を振り返るだけではなく、新たな試みも詰め込まれた、あくまでもこの先の未来を見据えた公演だったんだなと実感する。
エビバディとハッシュハッシュのマッシュアップは正直大混乱のまま終わってしまったので、絶対にまたみたい。元々この2曲は間違えやすいようなイメージなのだが、それを逆手にとったアレンジだったと思う。
さらにはストリングスとホーン隊の参加は特別だった。ここ数年生バンドでのパフォーマンスがすっかり板に付いてきたDa-iCEだが、そこにさらに生楽器を追加したアレンジはボリューム満点だった。吹奏楽部だった私は大興奮だった。 
あとはメンバーを絞ったパフォーマンス。ボーカルだけ以外はあまりやらないイメージのDa-iCEがこれに挑戦したのも面白かった。

これらの試みはもちろんメジャーデビュー10周年、そして2日後の結成13周年に合わせたものではあると思うが、こういった選択肢があり、それを実行できるそのキャパシティの広さはやはりDa-iCEだからこそだなと思う。

自分の13年前を思い出せばまだまだ小学生のガキンチョで、外駆け回ってはすっ転んで膝擦りむいてみたいな時期である。あとはそろばん教室通うくらいしかしていなかったので、それを思うと長いなぁ。
実際エンドロールの映像に残されたメンバーはあどけなくて、平成を色濃く残したギラギラした5人で。たぶん当時出会っていたら好きにはならない………(すみません)
2019年の少し落ち着いた、大人のDa-iCEだったからこそ私は大好きになったんだろうし、死にものぐるいで武道館に行こうとしたのだろう。
オタクはよく「もっと早く出会っていたかった」って言う生き物だが、それと同時に「この時だったから好きになった」という感情も同じくらいの重量で持っている。
この大切な出会いをこの先もあたため続けるために、大きな一面をわたしもまだ担いたいなと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?