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フリーランスのブランドアーキテクト、クリエイティブディレクター、コピーライター。自宅は…

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フリーランスのブランドアーキテクト、クリエイティブディレクター、コピーライター。自宅は静岡市清水区で横浜にも仕事場があります。活動を始めた時にモットーとして掲げたのは「dialogue=対話」。この「dialogue」を大切にしながら、様々な人との関わりを作っていきたいです。

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  • ボクの名前はジークフリート

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ボクの名前はジークフリート 第5話  「どこへいくのも皆一緒」

 横浜の家では、姉ちゃんや兄ちゃんと一緒に散歩に出かけた。その頃は、まだ自宅の周囲には宅地造成が始まる前の空き地がたくさんあって、リードを外してもらったボクは、ボールを追いかけて駆け回った。しばらくすると、空き地がどんどん建売住宅に変わり、自由に遊べる場所が減ってしまったけれど。  夏休みになると、家族みんなで海水浴やキャンプに行った。海水浴は、母ちゃんの実家がある静岡の用宗海岸だった。太平洋に面して遠く伊豆半島まで見え、キラキラと輝く太陽が眩しい海岸は、テトラポットの手前

    • ボクの名前はジークフリート 第4話  「父ちゃんも母ちゃんもショードッグ」

       ボクの犬の父ちゃんと母ちゃんのことを話そうと思う。  ボクの父ちゃんの名前は「FORGE(フォージ)」。血統書の正式名は、「Annfileld Oh For Sure」って言うんだけど、カナダのアンフィールド犬舎にいて、アメリカやカナダでチャンピオンドッグとして大活躍したミニチュアシュナウザーなんだ。ボクと同じソルト&ペッパーで、ほら!写真で見ればわかるけど、骨格がしっかりしていてマッチョでしょ!。ボクが骨太なのは、きっとこの父ちゃんの血を引いてるからなんだね。  父ち

      • ボクの名前はジークフリート 第3話  「どっちが歳上?」

         ボクの生活は一変した。だって、これまでは一緒に生まれた兄弟たちと犬舎で暮らしていたんだけど、今度は人間と一緒に暮らすことになったのだから。日当りのいいリビングルームの一角に、ケージが置かれ、そこがボクの寝起きする場所になった。もちろん葉山で遊んでいたバナナのぬいぐるみと、犬の母ちゃんの匂いがついたタオルも一緒。  しばらくすると、タオルはなくなった。ずいぶん汚れて、くたびれてしまったから、父ちゃんが捨てたらしい。来たばかりの頃は、葉山で一緒だった犬の母ちゃんのことを思い出

        • ボクの名前はジークフリート 第2話  「葉山生まれのミニチュアシュナウザー」

           父ちゃんがミニチュアシュナウザーと出会ったのは、ペットショップだった。でも、そこにはベビーはおらず、生まれる予定もなかった。父ちゃんは仕方なく、インターネットでミニチュアシュナウザーを扱っているブリーダーを検索して、Kさんのホームページを発見。すぐに電話でコンタクトすることになった。  電話の向こうでKさんは言った。「あ、うちでは生まれる予定がないんですよ」。父ちゃんは、がっくりとうなだれた。違うブリーダーを探すしかない。ところが次の瞬間、Kさんが続けて言った。「あ、でも

        ボクの名前はジークフリート 第5話  「どこへいくのも皆一緒」

        • ボクの名前はジークフリート 第4話  「父ちゃんも母ちゃんもショードッグ」

        • ボクの名前はジークフリート 第3話  「どっちが歳上?」

        • ボクの名前はジークフリート 第2話  「葉山生まれのミニチュアシュナウザー」

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        • ボクの名前はジークフリート
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        記事

          ボクの名前はジークフリート 第1話  「ドイツ原産のテリア」

           ボクがこの家にやってきたのは、2000年9月だった。  父ちゃんたちが、それまで住んでいたい賃貸マンションから一戸建てに引っ越して、これまで飼えなかったペットを飼うことになり、その結果として生後2ヵ月のボクが選ばれたというわけ。    父ちゃんたちは最初、柴犬を飼うつもりだったらしい。アーモンド型のちょっと吊り目の小型犬。ほら、どの町にいっても必ずどこかの家でワンワンと吠え立てるあの茶色い犬を飼おうとしていたらしい。    父ちゃんは名古屋の実家にいる時に、スピッツと柴犬

          ボクの名前はジークフリート 第1話  「ドイツ原産のテリア」