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読書感想2023#6 「死は存在しない 最先端量子科学が示す新たな仮説」

今年6冊目の読書感想は田坂広志さん著「死は存在しない 最先端量子科学が示す新たな仮説」(光文社新書)です。

この本の読書感想文を書くというのは私にはなかなかハードルが高いものになるだろうと今感じています。理由は2点。理系の基礎知識に乏しい私には量子科学や宇宙の話は理解が追いつかない部分も多かったから。もう1点は「死」という難しいテーマを扱った本だから。ですが、思ったこと感じたことを自分にできる範囲で正直に記していこうと思いますのでお読みいただければ嬉しいです。

まず、私がなぜこの本を手に取ったのか、理由を述べておこうと思います。と言いつつ明確な理由があった訳ではないのですが、本屋に行き興味がある本を買ってみようとぶらぶらしていたところ、この本のタイトル「死は存在しない」が目につき、それが宗教的・スピリチュアルな視点ではなく「最先端量子科学が示す新たな仮説」というサブタイトルから最新の科学の見解から死を語ったものなら面白そうだなと思ったという軽い理由です。他にも、高齢の母の来たる時に備えたい、また自分自身にもいつか必ずやってくる死というものを理解することで生をより充実したものにできるのではないか、そういった期待もあったかと思います。つまりざっくりいうと「死について理解したい、最新の科学の仮説を知りたい」というのが私の本書を読んだ目的になります。

その目的、「死について理解したい」は朧げながら果たすことができたと思います。「死とは何か」著者の見解、というか私の解釈は、死とは肉体や自我の消失という意味で存在するけれど、意識というものは宇宙と一体化して残り続ける。そして私という人格、人生で見たものや感じたことも宇宙の記憶として残り続ける。ということです。なるほどそういうことか!とピンときている訳では全くなく半信半疑みたいなところもあるのですが、なんとなく、あ〜そうなんだろうな、なんか分かる気がする、という感じです。

本書では「宗教」についても多く語られています。私は宗教にあまり馴染みがないので、なぜ量子科学の視点から死を語った本なのに宗教の話が出てくるんだろうと思いましたが、宗教というのはあくまでその背景を神様だとか仏様だとかにするから科学信者の現代日本人の多くが敬遠するのであって、実は事象は素直に捉えているんですよね。しかし科学は実験で証明できたことしか受け入れない(ので分からないことが多い)。なのでなんか、宗教を冷静に科学的視点から考え直すっていうのは面白いなーと思いました。
著者は本書が目指したのはこの「科学」と「宗教」の間に架け橋を渡すことだ、と述べています。それは前出の理由からなんとなく理解できたけど、そもそもなぜ両者を同じ土俵に上げる必要があるのかまではいまいち分からなかったのですが、その理由は最後の最後の方に書いてありました。以下ちょっと長いけど抜粋します。

いま、人類の現実を見るならば、地球環境の破壊はとどまることを知らず、気候変動は、深刻化の一途をたどっている。(略)こうした時代において、これらの問題を解決していくために、真に求められているのは、「新たな技術の開発」でも、「新たな制度の導入」でも、「新たな政策の実施」でもない。
いま、最も求められているのは、「人類全体の意識の変容」であり、「人々の価値観の転換」であろう。
そしてその「意識の変容」と「価値観の転換」を成し遂げるための、最も重要な課題は、(略)「科学」と「宗教」の間に横たわる谷間に、「新たな橋」を架けることであろう。

この本

ビルゲイツがゲノム編集したり遺伝子組み換え作物を作りまくっていたり、イーロンマスクが人類火星移住計画を立てたりしているけど、これらには強い違和感を覚える。いや、そういうことじゃなくない?みたいな。
また東京近郊の電車に乗っていて外の景色を見渡しているときに思ったのですが、本当に見渡す限り家、家、家、でこの全てに人間がいて脳みそがあってそれぞれが色々なことを考え、それが宇宙に記憶されている。数字で言えばまもなく100億個の脳みそが同じ時間地球上に存在している状態になる。そんな数の脳みそが一体化して問題に取り組めば・・・環境破壊なんて簡単に解決できるほどの容量なのではないか。著者が述べている「人類全体の意識の変容」。これが確かにこれからの人類の未来の鍵になってくるように思えました。

死を理解することで生を充実したものにできるのではないかという期待もこの本を読む前にありましたが、間違いなく今後の人生を生きる上でポジティブな考えを与えてくれたと思います。宇宙が誕生してから134億。ほとんどの人間の命は100年にも満たない一瞬の点滅です。花の命は短いと言いますが、生きている間がずっと花なのだと。一瞬一瞬を慈しんで生きようと思いました。

あと著者は人生で何度も不思議な体験をしたそうで、それは宇宙のゼロ・ポイント・フィールド(宇宙の記憶場みたいなところ、と私は解釈した)と繋がったことで引き起こされたと述べているのですが、私は人生で不思議な体験を全くしたことがありません。(なんでや!)
私は自我が強くてまだゼロ・ポイント・フィールドにつながることができていないのかもしれない。自分の表面意識には常に不安や恐怖の感情に満ちた小さな私があたふたと走り回っているのを感じます。彼女を落ち着かせることができれば宇宙のデータベースと繋がれるのかな。

そろそろめんどくなってきたのとこの著者がゼロ・ポイント・フィールドにつながる技法を記した別の本がちょうどAmazonで届いたのでこの辺で締めようと思います。ハードルが高い読書感想文と前振りした割にはいつも通りテキトーな文章でした。ありがとうございました。


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