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読書感想2023#8 「サピエンス異変―新たな時代「人新世」の衝撃」

はじめに

前回の読書感想から結構日が空いてしまいました。なんたって今回の本は読みづらくて時間がかかっちゃった。原文は英語なので、和訳になるのですが和訳って日本語なんだけど日本語ではしない表現だからすごく読みづらいんですよね。特に前半が読みづらかったのですが、訳者が前半と後半で分かれてるのかな。まあいいや、次からは原文で読むようにしよ。

というわけで、今回はヴァイバー・クリガン=リード氏の「サピエンス異変―新たな時代「人新世」の衝撃」(飛鳥新社・2018年出版)の感想文です。
原題はPrimate Change: How the world we made is remaking usですので、直訳したら「霊長類の変化ー我々が作った世界が我々をどう作り変えているか」みたいな感じになりますかね。

私たちが作った世界「人新世」が身体に与える影響。原始時代から進化していない私たちの脳や身体はそれに適応できていないため、多くのミスマッチが起こっている。
というのが超簡単な要約になるでしょうか。

そして私が受け取った著書からのメッセージは以下の一言に尽きます。

「座るな、動け。」

これだけです。

植物に脳がなくて、動物に脳があるのは動くためだ、と著者。我々の祖先もみんなずっと歩いて生きてきたのです。人間は考える葦じゃなく、歩く葦なんですね。とにかく歩きましょう、動きましょう。ここで感想文を締めてもいいくらいなのですが、いくつか本書の中で印象に残った箇所を以下にまとめたいと思います。

・ヴィラグランデ村では人びとは毎日10キロ歩きます。
ヴィラグランデ村っていうのは長寿の島として知られるサルディーニャ島にある村みたいです。

・精白パンのような単純糖質はなるべく避けます。
これはサルディーニャ島における老化の研究をしている専門家が食事について語った部分です。

・もしあなたが三〇分の運動を日課に組み込むのが無理なほど忙しいのであれば、優先順位の付け方に深刻な問題があるのだ。
なるほど。「運動が大事なのは分かっているけど、忙しくて時間がないんだよね。」めちゃくちゃよく聞く言葉です。いや違うんだ、30分、仕事を早く切り上げて運動の時間を取ろう。食事と睡眠と運動は絶対に毎日やらなくちゃいけない。仕事は余った時間でやるんだ。でないと何年もの健康寿命を削ることになる。忙しさを言い訳にするのはもう辞めにしよう。(ぺこぱ風に)

・人間工学にかかわるリスク要因は、ぎこちない姿勢、極端な気温、不十分な照明、繰り返し作業、振動、固定された姿勢、重いものの取り扱いだ。
19世紀の労働者は仕事にこういったリスクを伴っていた。現代では座ったままの作業がリスクとなる。

・近視になる最大の原因は本、テレビ、携帯電話などではなく、これらを楽しむ活動が屋内で行われるため
屋内ではドーパミンの放出が抑制され、ドーパミンは子どもの目の発達に必須なのだそうだ。私の思い出話になるが、小学4年生の時、2.5あった私の視力は5年生になって急激に低下した。両親は慌てて視力回復センター(昔家の近くのビルの一室にあった施設で、あまり記憶は定かでないが、頭に血圧測定器のような空気で膨らむバンドを巻きつけられたのを覚えている。空気を入れたり抜いたりして、眼輪筋をほぐすことで視力回復が見込めるといったものだった。今思えば笑える施設だ。)に通わせたり、視力回復ゴーグル(今のVRゴーグルみたいなもので、かけると真っ暗闇の中に赤い点が浮かび、移動する点を追うことで目を鍛え、視力が回復できると謳っていた。)を買って毎日それをやるよう私に促した。しかし視力は全くもって回復などしなかった。視力が悪くなった小学5年生頃というのは確か進学塾に通い始めた頃で、教室の中の滞在時間が増え、夜も22時まで白色蛍光灯の元で勉強させられていた。この生活を改めないことには視力なんて治らなかったのだ。今では0.1以下のひどい近視だが、私の目が悪いの(と貧乳なの)は成長期の悪しき生活習慣が原因にあると思っている。両親には悪気はなかったので責める気はないが、自分の子を育てる際は気をつけたいと思う。日光、大事。

・社会はいつか完璧になるものではなく、皆が力を合わせて働いても、すべての人に富が行き渡るとはかぎらない。
繁栄には物理的な上限が存在し、物が欠乏した時に社会に内在する不平等がもっとも露わになる。

これは19世紀の話だが、現代にも当てはまる話で物理的な上限はもう天井にまもなく届くか既に届いていて、何か(石油や食料、電力など)が欠乏した時、貧困がさらに拡大し、数少ない資源を求めて争い合う時代がやってくる、そしてそれはもう目の前まで迫っているのだろうと思う。

・現代の指針によれば、20分仕事をしたら1分から2分手を止めて体を伸ばし、50分ごとに5分から10分休んでまったくちがう作業をすべしとされている。
ポモドーロテクニックは人間工学的にも労働生産性の観点からも効果的だと思った。

・肉体的や感情的に不快な状態は必要なものであって、(略)それがなくなると、共感や好奇心や興味が失われてしまう。
不快な状態は自分が何が好きでどのような状態が心地よいのか教えてくれる。そしてその方向に進むための推進力となってくれる。だから不快な感情は無視せず、向き合うべき物なんだと思った。

まとめ

昨今の本ではよく言われていることだけど、地質年代を変えてしまうほど人間活動は地球、そして自分たちの身体に影響を与えてしまっている。
快適さを求めた結果、自然と離れた場所のコンクリートの壁の中で片手サイズほどのピクセルの集まりを長時間眺めて過ごしている。お腹が空いたら、少し親指を動かしてピザとラーメンと迷ってハンバーガーを選び、15分後に2時間座っていたソファから立ち上がって玄関に行く。そしてまたソファーで糖質たっぷりのランチを摂るのである。
これは数年前の私の姿だが、こういった快適さは劇的にではないが、でも確実に人間の脳や体を蝕んでいる。一瞬の快適さによって、将来何十年も早く老人ホームに入り車椅子生活になってしまうリスクが高くなるのだ。大気汚染やC02増加による悪影響ももう言わずもがな。(なんとCO2増加で野菜までジャンクフード化しちゃっている。)
この本を読み始めた頃には、私の生活は既にかなり健康的なものに変わっていたけれど、さらに運動の重要性やポモドーロテクニックの良さなど改めて感じることができました。あと、食後は歯磨きせず水を飲みましょうということ(ph値が大事)。寿命を延ばすにはウェイトトレーニングより有酸素運動が効果的だということ(でも私はウェイトトレーニングを辞めるつもりは一切無い。筋トレ最高。)。そして観葉植物を家に取り入れること。うちには今10種類の観葉植物たちがいます。たまに虫が湧いちゃったりして手を焼くこともあるけど、彼らには確実に癒しをもらっています。あるとないとで精神の健康度が全く違うと思います。最後は自然とのつながりを保つ、ということ。平日はオフィスビルに篭りきりなら休日は緑地や海などに行って自然を感じましょう。砂浜を裸足で歩いて木々の出す酸素を吸ったら、、もう最高の気分ですね。お読みいただきありがとうございました。

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