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From the Cradle To the Battleyard〜揺り籠から戦場まで
第5話 歓迎されざる者 Persona non grata
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1900(19時00分) 唯一の自由時間である。
いつも通り吾郎は妻のメールをチェックしていた。
「なに!?かあちゃんまた家の改築したのか!?あちゃぁ…またローンの上乗せですか。。我が事ながらもうこれ以上は…くわばらくわばら…。」
ゴンッ。
「あいたぁ!!。」
吾郎の頭に何かが当たった。
うつ伏せのベッドから起き上がり後ろを見た。
「な、何をするんです!?」
…そこには同僚で…ガタイの良い
大男が何かを靴下に入れてグルグルと振り回しながら立っていた。
大男は吾郎を睨み付けながら話した。
「…おい…このタコ野郎。俺等はお前さんのお陰で新日本軍始まって以来の延長補習喰らってんだよ…。
俺ぁこないだなんか、孫とのエアー面談の時間がお前の連帯責任のお陰でなくなっちまったんだ。
なぁ前田さんよ…いつまで俺達の足を引っ張りゃ気が済むんだ?お前が言わないんなら俺が言わせてやるよ、
”新日本軍を除隊します“ってな!!」
そう言いながら鈍器の入った靴下を力一杯に吾郎目がけて振り下ろした。吾郎は痛みに悶えながら言った。
「すみみません。すみません!
もっともっと努力しますから!!。」
「うるせぇ!早く辞めちまえ!!」
たまらず吾郎はベッドから通路に逃げ出し、随分と酷く殴られて腫れた片目をおさえながら話した。
「わ、私は私なりに頑張っているんです!…がすみませんでした…お孫さんとの事。
…私達は明日の訓練でどうなるかわからない高齢者ですもんね…お気持ちはお察しします。 …でも私にも愛する家内が居るんです!!…皆さんもそうでしょ!?どうか…どうか私を見捨てないで下さい!。」
心からの言葉だった。靴下を振り回す大男は…いや、周りに居たもの全てが一時吾郎の話に聞き入った。
ーしかし日々の訓練の過酷さとペナルティの厳しさが彼等を狂気へと引き戻した。
「殺せ!殺せ!!殺せ!!!。」
「お、前だけはなあああ。」
靴下男は吾郎の頭上目掛けて力一杯に鈍器を振り下ろした。
「やめて…下さい!」
そう言うと吾郎は半身で攻撃をかわし、靴下を突き上げた自分の右腕に絡ませ、もう片方の左手の手刀の爪先を男の顎下に突き付けた。
…あっと言う間の出来事だった。
皆吾郎の頭が割られた後の事を想像していたので今観た事の処理が追い付かなかった。
「ち…くしょうっ!!。」
靴下男は一歩下がって、もう一度殴りかかろうとした。が、
今度はそれを別の誰かが静止した。
「待て。…私が相手をする。」
…その新兵の中から出てきたのは特段大きな男では無かったが、彼の周りには一切の「空気」というものが感じられなかった。
男は言った。
「前田さん…ですか?貴方本当は「何」なんでしょうか?… いや一体…「誰」なんですか…。」
吾郎は怯えていた。たまたま身体が勝手に動いて上手く行っただけなのに、
なんだか物凄い人に物凄い勘違いをされている。
「あ、あの、すみません。私はね、みんな同世代というかね、揉めたくはないんです。。」
「空気」を一切感じない…そうだ「真空男」と呼ぼう。真空男は応えた。
「そういう事じゃなくて…貴方…本当は一体、いったい貴方は何流なんでしょうか!!」
そう言うか早いか真空男は軍靴の1番硬い部分…すなわち踵(かかと)底で、
吾郎の、いや人間の弱点である膝ー左膝を完璧に踏み込んだ。
…かに見えた次の瞬間、吾郎はその左膝を軽く曲げて攻撃をいなし、半拍で左の掌底(手の平の打撃)を真空男のやはり顎下で寸止めした。
バンッ!!
…扉が開いた音だった。
「やめーい!!貴様等何をやっておるか!!」
教官が入ってきて…当然激怒している。
「お前達の自由時間はもう終わっておる!今の貴様達は新日本国の所有物である!!お前らに人権はない!!さっさと…。」
教官は真空男と吾郎に気付いた。
「貴様ら…なんだ?決闘か?」
教官は興味深く言った。
「サナダ…お前みたいな朝倉流師範がこんなタコ助相手に何をしておるのだ?」
真空男は応えた。
「オヤジ(教官)、すみません。ですが…。」
その時、間に割る様にして靴下男が入って来て教官に土下座をした。
「すみませんでした!オヤジ!!俺がけし掛けたんです。」
激情した靴下男が言った。
「俺が…こいつ…前田のせいでペナルティ喰らったって腹いせで喧嘩を売って…。
サナダさんは全く関係ないです。俺のせいなんです!」
ー教官は閃いた。
これは好都合だ。
ここで公式に吾郎をブチのめせば皆の鬱憤も晴らせ、規律も戻る。
そして自身が急所を外してしまった唯一の新兵をも消せるー。
教官は話した。
「良かろう!!皆、正直で何よりだ。では1週間後の格闘技の授業で公式に前田とサナダを闘わせる。武士道の復興により決闘が認められているのは皆、知っての通りだ!
ー決闘の栄誉は…前田が勝てば皆、全てを忘れ前田を仲間として認める事。しかしサナダが勝った時は…前田…これだけお前は皆に疎んじまれ迷惑になっているんだ。…どうするのか新日本男児である貴様にはわかるな?」
吾郎は涙を必死にこらえながら言った。
「はい…。私、家に…帰ります。」
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やぁ!最近の通信は良好だよ。
でも古い友人が近くまで来たから美味しいお茶しようって話になってね。
移動しなきゃならないので続きはまた今度。
君達の時代からある老舗cafeだから良かったら行ってみて。
君達の時代のリンクを貼っておくね。
2136年7月4日
東京都世田谷区ベアーポンドエスプレッソより https://g.co/kgs/xYPvDh
著者
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