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From the Cradle To the Battleyard〜揺り籠から戦場まで

第6話 お前は誰だ。  Who are you?Dude.
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 「どうすんの!?ゴロちゃん。あんた決闘なんて! 確かにこの前は凄かったよ!なんか…よくわかんないけど安心できる動きしてた!」
 吾郎の唯一の話し相手、佐藤は言った。

「何安心って!?慰めにもなってないよ!サトちゃん。
 あぁ…あんなの絶対あり得ないよぉ!
 なに?サナダさん?朝倉流M.A.(マーシャルアーツ)の師範相手なんて無理ゲーだよ!!俺40年間腰の低いサラリーマンやってたんだよ!?まだ魚屋40年だったサトちゃんの方が絶対筋がいいはずだよ。。」

「よせやい!ゴロちゃん!代わりに闘わそうったってそうはいかねぇよ。全く今回は相手が悪いよ。
 …なぁゴロちゃん。早目にやられてさ…再就職先は豊洲の親類に頼んでやるから、無理すんなよ。…なぁ。きょ、兄弟。」
 照れながら、佐藤は話した。

 吾郎は胸が熱くなり、言った。
 「…んでぇサトちゃん!兄弟って(照)。
 やっぱり俺たちも、もう軍人だなぁ。俺もサトちゃんとは本当の兄弟の様な気がしてんだよ。
 ありがとう。ここはお言葉に甘えて…。」

 その時、吾郎は背後に強い存在を感じて、跳ね退いた。

 「サトちゃん!!どいて!」
  吾郎は佐藤を自分の背後に回しつつ、反転し存在感に向かった。 

 
 「…やっぱ、おま(貴方)さんは…普通やないきいに。」
 そこには新兵の同僚、木戸が立っていた。

 「な、なんですか!木戸さん!私には決闘まで手は出せない規則なんですよ!!」
 ありったけの知恵を絞って吾郎は言った。

 木戸はふーんと薄目で吾郎と佐藤を見ながら話した。
 「ちなみに、」
 「前田さ…や、ワ(私)も佐藤さんみてにゴロさんてぇ呼んでエエとね? なぁ、ゴロさん、はん(あなた)の出身は何処ですとね!?。」

 拍子抜けしながら吾郎はオドオドと応えた。
 「東京のアンダー葛飾区…。」

 「違う!!」
 木戸は言った。

 「ヒェッ!」


 「おまはんは上京者ぜよ?ほんに少し訛りが残っとる。ええか?ワ(私)はホンに(本当の)クニ(故郷)は何処かと聞いちょるんじゃ!!」

 吾郎は顔を赤らめて、こめかみを右手でぽりぽりと掻きながら言った。
 「私は…19歳で上京しまして、その後家内の婿に入ったんですが、…実は徳島県出身なんです。木戸さんの方言もなんか懐かしゅう有ります。」

 佐藤はへぇーっという顔をしている。

 一方の木戸は…何かを確信した様な顔をしていた。
 「やはりそうでおしたか(そうでしたか)!!
 あんたの術ば観て確信しちょりました(しました)!」

 吾郎には何が何だか分からない。
 「あの…人違いでは?」

 木戸は話した。
 「何言うちょりまするん(言っているのですか)?あんな立派な舞をされてなもし。」

 ますます吾郎は分からない。
 「あの…すみません。…怖いんですけど。」

 痺れを切らし、咳を切った様に木戸は話した。
 「あぁ、もう!はがいたらし(じれったい)のぉ!!。」


 「あんたぁ、東亜最強の武術



 ”阿波おどり“  (The Dance with Bubbles.)

 の名手でねぇかい!!。」

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ーこの通信を傍受している過去の君達へ
やぁ。この前のコーヒーショップは行ったかい?最高だったろう?私も1代目の作るコーヒーを飲んでみたかった…。

さて、吾郎の、自分でも気付いていない才能がついに花開こうとしている。素養は有ったが全く気付いていなかった。人間ってのは案外自分の事を知らない。まずは君達に早くそれを知ってもらいたい。

急いで次の通信パスを確保するよ。
大分潰されて来たからね…。

2136年8月13日

東京都港区東京海底大学駅構内より

著者






 
 


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