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武田信虎(信玄の父)がおこなったまちづくりとは?〜城下町整備+取材の感想編〜

前回に引き続き、甲府市武田氏館跡歴史館(信玄ミュージアム)と山梨県立博物館に伺い、武田信虎のおこなったまちづくりについて取材した内容をお届けします。

前回までの振り返り〜信虎がおこなった2つのまちづくり〜

武田信虎がおこなったまちづくりは、大きくは2つあることがわかりました。この章では簡単に紹介し、今後の段落で詳細を深ぼっていきます。

◼︎甲斐の国をまとめ「甲府」開府
当時バラバラだった甲斐の国をまとめあげ、居館(住まい)を石和(現在甲府市川田町)から躑躅ケ崎(つつじがさき)(現在の甲府市武田神社周辺)に移し、開府しました。また、要害城などの館を囲む要地に防衛施設を作りました。

◼︎城下町整備
居館の周辺に、家臣の集住や社寺の配置などを行い、城下町を作り、権力集中を実現しました。

権力集中に向けた城下町整備

拠点を移した信虎は、城下町の整備として、下記の様々な取り組みを打ち出しました。

①家臣団を城下町へ住まわせる(集住・管理)
家臣団や甲斐国の有力な豪族などを城下町に住まわせ、権力の集中を図りました。この城下集住政策は、当時としては画期的であり、安土桃山時代の集住政策のさきがけとも言われています。

②城下町に社寺を複数配置(集客)
府中八幡宮(石和八幡宮より遷座)や御崎明神(川田館より遷座)といった、様々な社寺を城下町に複数配置しました。その結果、当時は現在よりも宗教の影響力が大きかったため、参拝客が城下町に集まるようになりました。

③商工業者の誘致(集客)
城下町に商工業者を多く誘致し、職業別に住ませました。城下町に集まった人たちが買い物ができる環境を作りました。特に、城下町に住む家臣団は、武士が必要な用具や手入れもこの城下町で済むようになり、利便性が向上しました。

④三日市場・八日市場の開催(集客)
三日市場・八日市場など、月に~回開くという定期市を開催しました。当時は物資の流通手段が限られた社会であったため、このような機会が求められていました。

城下町の整備によって、家臣の管理や権力集中が実現しただけでなく、集住・集客の取り組みが城下町の経済発展にもつながったと言われています。

「今あるものを活かす」「人の流れを予測する」信虎から学ぶこと〜取材の感想〜

今回の取材を通して、大きく2つのことを学びました。

1つ目は、「今あるものを活かす」ことの重要性です。信虎は守りを固める目的のため、地の利を活かして拠点を築き、武田氏3代の発展の基盤を作りました。

「今あるもの」というと、山梨には沢山の恵をもたらしてくれる豊かな自然があり、現在でも日照時間の長さを活かしたフルーツ栽培や、名水百選・富士山に挙げられるような自然を楽しむ観光などに力を入れています。
しかし、これからのまちづくりでは、「地域経済の発展」と「地域課題の解決」を並行させて取り組まなければなりません。

そのことを視野に入れると、「今あるもの」の視点が広がります。例えば、山梨県は未だ「空き家日本一」と言われる程、空き家の多い地域です。見方によっては、空き家も「今ある資源」です。私達も何度かリノベーションやDIYに携わってきましたが、地域のニーズに合わせて変えるだけで、人が集まる場所になる、ということを学ばせていただきました。空き家が宿泊施設に、あるいはカフェに、ワークスペースに、と様々な可能性があります。

また、県内で発展している再生可能エネルギーの活用の意義も「今あるもの」の視点から考えると理解がしやすくなります。空いている土地や家屋の屋上等を活かして、また自然の力を借りて、新しいエネルギーの可能性を探していくことは、エネルギー需要を満たすだけでなく、地域の経済発展につながります。新しい動きを私たち自身も学んでいくとともに、トップファンの水素エネルギーを使った音楽ライブ『MIZUNONE』の活動で、「水素の力」を伝えていきたいと思います。

こうした可能性やニーズを地域の人と協力して考える、様々な視点から今ある資源を活用する方法を考える、ということがまちづくりに求められています。信虎の視点で、私たちも山梨の「今あるもの」を見つけていきたいです。

2つ目は、「人の流れを予測する」ことの重要性です。

信虎は城下町にお店や寺社を集めましたが、経済の中心となる地域にお店や施設を集めることで、利便性が高まり、人を地域に呼び込むことができます。今で言う「コンパクトシティ」の考え方に類似していると考えられます。若者から子育て世帯・高齢の方など、幅広い世代の「暮らしやすさ」に合わせて中心地域を整えるために、私たち自身の意見をまちづくりに反映させることが重要だと感じました。

そのためにも、行政や民間企業と協働して、地域のまちづくりワークショップ・イベントへの参加や情報発信など、私たち目線のでの「まちの魅力」や「まちの課題」伝えるを活動を行っていきたいと思います。

次回について

過去のまちづくりを知ることで、現代のまちづくりのヒントがたくさんあったように感じました。今後も過去のまちづくりを調べていきたいです。

「山梨のまちづくり」編は、今後テーマが決まり次第お知らせいたします!お楽しみに!

本記事のライター

望月優那:山梨県韮崎市出身。韮崎高校を卒業し、県外の大学に進学。現在は、山梨県内でまちづくりに関わる仕事に従事。学生時代からトップファンに所属。まちづくりに関して、官民学連携や地域住民による草の根活動などに興味があり、本メディアでライターを務めている。

望月南海:山梨県韮崎市出身。韮崎高校を卒業し、現在は実践女子大学4年生。トップファンに所属し、FM八ヶ岳のラジオパーソナリティを務める。教育、子ども、地域活性化に興味があり、本メディアでライターを務めている。

高村大夢:山梨県山中湖村出身。韮崎高校卒業後、都内の大学に進学。現在は、山梨県内で生活しながら、東京都内の企業で非営利団体の資金調達のサポートに従事。大学時代に学生団体トップファンを立ち上げ。
本業で社会課題解決のサポートに携わっているが、「山梨ではどんな状況なのか、もっと知りたい」と思い、本メディアでライターを務めている。

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