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一個人的自衛隊 ――パワハラ・セクハラ・いじめ
1 はじめに
結論:
1 営内のいじめは、幹部だったので直接見ていません。ただし、直接聞くことはありました。
2 防衛大の内部事情については、一般大学出身なので直接聞いていません。ただし、出身者から直接聞くことはありました。
3 職場でのいじめやパワハラは直接体験することがありました。
自衛隊における暴行、精神攻撃、パワハラが定期的にニュースで報道されます。
入隊する前も、やはり興味関心が高いのは、内部でいじめがあるのでは、パワハラや暴力があるのではないか、ということだと思います。
わたしの場合は例外でした。当時、キックボクシングをやっており、かかってこい的な無双気分になっていたこと、また第2次世界大戦を含む戦史や従軍記が好きで読んでいたことから、むしろ「コテコテの内務班リンチやロシア軍の「デドフシチナ(新兵いじめ)」があったら逆に面白い」という、邪(よこしま)な考えを抱いていました。
自衛隊は20万人規模の集団なので、個人が実際に体験できる範囲はごくわずかです。
本投稿では、わたしの実体験及び直接見聞について書こうと思います。個人(私自身を除く)は特定できないように、ある程度情報を改変しています。
2 暴力・セクハラ・パワハラの傾向
公務員ということで、世間の目は非常に厳しいです。パワハラ・セクハラ防止や暴力根絶なども、民間会社に先んじて実践することを要求されます。
このため、明確な暴力(殴る蹴るの暴行等)は、一昔前より確実に減少しています。
ただし、現場ではこのような行為が行われることがあり、多数はもみ消されますが、一部は炎上してニュースになります。
パワハラについては、省庁の1つとして防止に取り組んでいるはずですが、根強く残っています。
パワハラ人間、行く先々で部下を心療内科送りにする人間、複数人を自殺に追い込んだ人間が自衛隊の首脳レベルとして出世しています。
パワハラ人間を出世する組織は、パワハラを肯定する組織であり、パワハラマンを引き寄せます。
殴る蹴るは以前より減りましたが、嫌がらせや人格否定、長時間直立不動の説教、未成年隊員を含む多数の面前での罵詈雑言等はよくある光景です。
皆の前で恥をかかせ顔をつぶすのは、指揮官がよく用いる手法で、これを根に持った隊員が基地のイベント当日に報復自殺する等が発生しています。
3 航空自衛隊の後方職種が見聞きしたいじめ・パワハラ・セクハラ
・とある分屯基地の副隊長がパワハラ気質で、配下の総務・運用班員(主に既婚中年男性たち)が被害にあっていた。ある部下に数十枚分の反省文を書かせてから、「こんな反省文じゃ意味がない」とその場でシュレッダーにかけてやり直しを命じた。この部下ではない別の部下が自殺して事案になった。
「あの副隊長はろくな死に方をしない」と皆で陰口を言っていた。
・「おまえのあいさつは気分が悪い」、「できないイエスはいらないんだよ」等、毎日恫喝する先輩がいた。
・新兵の歓迎として、内務班で編上靴(ブーツ)に焼酎を注がれて一気飲みを強要される。
・地元の名士と司令との飲み会のために、若い女性隊員がお酌係として動員された。夜12時まで数時間、司令室で接待が続き、その間、ロータリーで運転手が司令送り迎えのため待機している。
・ある副隊長クラスの中年男性が、若い女性隊員をストーカーしつきまとった。女性隊員は精神疾患になったが、問題になるのを恐れて副隊長は転勤、女性隊員は精神不安定になった結果「自衛隊は慈善団体じゃねえ」と将官に切り捨てられ退職させられた。
・直立不動での文書添削が2時間
・「階級章外してやめろ」、「おまえみたいな使えないやつはクビだ」等の怒号が、毎日司令室から漏れてくる。この職場では複数名が精神疾患になった。
・飲み会の場で部下が上司にビンタ
・役務業者を精神疾患にした数を誇る人間、富〇通やN〇Cから正式に抗議の申し入れがくるパワハラ自衛官。
業者いじめは自衛官の得意技で、よく営業担当や保守担当が病気で交代します。
「こんな仕事に国費は払えない」とキングファイルを縦投げするおじさん
・観閲式では多数の隊員が会場付近に集合してテント・宿舎生活をする。このとき、必ず売春が行われる。女衒がおり、売春を行う女性隊員が存在する。わたしは、さすが売春は紀元前から存在するシステムだとむしろ感心した。
・内務班で先輩のボクシングミット打ちやスパーリングの相手をさせられる。
4 伝聞したこと
わたしの直接聞いた範囲での話です。入隊同期が直接被った話もあります。
・防衛大……先輩命令で、性行為のパントマイムを強要される。
・給養(調理)職種の隊員が強い権力を持っており、機嫌を損ねた隊員が呼び出されて、クレーンに吊るされてリンチされた(古い話)
・隊長の機嫌を損ねて、机ごと建物の外に置かれ、「おまえの勤務場所はそこだ」と言われる。言われた人はいまは転職しています。
5 所見
自衛隊におけるパワハラ・セクハラ・暴力行為は、昭和の時代や十数年前より相当改善されています。
また、ロシア軍(上司の横領や麻薬密輸に拒否した兵隊が殺害される等)や帝国陸軍・海軍よりは、状況はまだマシと考えられます。
ただし、幼稚な人間がいても、そうした人間を取り締まり排除する仕組みが機能していないことがよくあります。また、自分の職場で訴訟や自殺などの問題が発生することを嫌うため、事件が起こってももみ消す傾向にあります。
結論としては、ホワイトな職場は期待しないほうがいいのではないかと思います。
非人道的な風習の残る軍隊は、完全徴兵制の国でない限り、一般人からは忌避されます。
こうした風習が残っていること、何より、パワハラで多数の人間を精神疾患にしてきた人間が出世する組織は、今後深刻な人材不足や採用難に直面するのではないかと考えます。
――……組織の力などというものは本当に取るに足らぬもので、軍隊でも一般社会と少しも変わらず、人の世話を見る人がやはり統率力のある人だということがわかった。(『虜人日記』小松真一)
――日清、日露の役の当時のように将校と兵との間に教養武術、社会的地位に格差のあった時代は良かったが、今日では社会的地位、学識その他すべての点において将校より優れた人物が大勢兵として招集されている。それらを教養も人間もできていない将校が指揮するのだから、組織の確立している間はまだしも、一度組織が崩れたら収拾がつかなくなるのは当然だ。 (『虜人日記』小松真一)
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