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オーダーフロー分析:誰も知らない相場の聖杯

勝てるトレーダーになるために必要なことは何か?
資金管理、資金量、テクニカル分析、〇〇さんの商材を買うこと、▲▲の自動売買さえあれば勝てる、xxのブローカーで取引すること・・・などなど。
しかし、オーダーフロー(注文の流れ)に対する理解が必要であるという主張はあまり見かけません。

今回は、相場を理解する上で避けては通れない、しかしあまり主流ではない「Order Flow(オーダーフロー)」について、なるべく分かりやすく解説していきます。

はじめに

オーダーフロー分析の最大の利点は、
相場の他の参加者の考えが分かるようになる点にあります。

多くのトレーダー(特に初心者)は、
「今の価格は何か?上がるのか下がるのか??」
「1年後の価格は今より高いか?」
「このサポートラインを維持できるか?」
ということにしか気にしていません。
(トレーダーに限らず一般人や自称専門家も価格の話しかしません)

価格が重要であること自体は間違ってはいませんが、価格は取引の結果でしかありません。その背後に何が行われているのか知ることの方が重要です。
何せ、価格を使って価格を予想することはできません

レジサポも需要供給ゾーンも、それらの線や箱が価格を反転させているのではなく、その価格で判断をする他のトレーダー(特に機関投資家や銀行)の取引が原因で起こります。

つまり、常に他のトレーダーの動向を気にするべきなのです。

オーダーフロー分析の真骨頂は、他のトレーダーの動きを推測・予測することにあります。

ただし、この考え方に慣れるまでに時間はかかりますので、めげずに勉強しましょう!

オーダーフロー分析とは何か?

オーダーフロー分析は、
価格のみに集中するのではなく、価格の動きによって、他のトレーダーの行動や判断がどう変化・影響されるのかを分析する手法です。

ポーカーや麻雀など(あるいは他のカードゲームでも)をプレイしたことがある方なら分かると思いますが、それらのゲームで知りたいことは結局のところ、「相手の手は強いのか?」ということです。
ポーカーであればブラフしているのか、バリューを取りに来ているのか、
麻雀であれば本手なのかかわし手なのか、何向聴なのか?
それを知るために、レンジの予想や捨て牌読みをして、優位性を獲得しようと努力します。

トレードで例えると、チャートのローソク足は過去の取引記録でしかありません。麻雀の捨て牌と同じです。いくらそれが読めたところで、対戦相手の考えが読めていなければ、自分の有利な方向に戦いを持っていくことはできないでしょう。

オーダーフロー分析では、
・どこに多くのストップがあるか?
・誰が今マーケットで勝っている・負けているのか?
・損切りによって大きく価格が動く可能性はあるか?
などの問いから、マーケットの他のトレーダーの考えを理解しようとします。
価格が動く前に、ある程度推測ができれば、それはトレードにおいて大きな優位性となります。そしてこの優位性をもとに、マーケットからお金を取り出す行為がトレード(交換)なのです。(よって一攫千金を狙うようなギャンブルではありません)

流動性(Liquidity)の役割

オーダーフローを理解する上で流動性の理解は重要です。
過去に記事を書いているのでそちらも参考にしてください。

流動性の概要
流動性とは、特定の資産の取り引きのしやすさを表します。
流動性が高いと、買い手の数と売り手の数が同じくらいになるため、価格に影響を与えずに取引できます。相場において、レンジは流動性が高く、トレンドは流動性が低い状態を表しています。

ドル円など、流動性が高い通貨ペアでは、買いたい場合に売り手を簡単に見つけることができます。
逆に、新興国通貨などは、自分の望む価格帯買い手と売り手を見つけるのが困難です。(つまり価格は動き、買い手・売り手を探します)

オーダーフローと流動性

一般的に、通貨は流動的か非流動的かのどちらかに分類されます。
しかし、一方で、すべての通貨は常に変動しています。
つまり、あらゆる通貨は相場環境の変化により、流動性の低い期間と高い期間の間を行ったり来たりしているのです。
あるいは、言い換えれば、
売買しやすい時期(流動性の高い時期)がと売買いがしにくい(流動性が低い)時期を行ったり来たりします。

✅重要ポイント
全ての値動きは、流動性が低下している時のみ発生します。
価格が動くということは、必ず需要と供給のインバランス(不均衡)が存在しています。(つまり買い手・売り手のどちらかが少ないことになります)

流動性は通貨の取引し易さなので、流動性が低下すれば価格は大きく動かなければいけません。
売り手が少なければ価格は上がり、買い手が少なければ価格は下がります。
これは市場の必然です。

こちらの記事も参考までに。


具体的な例で考えてみましょう

分かりやすい例で想像してみましょう。
FXというより、一般的なモノの売買でイメージすると分かりやすいです。

太郎さんは、USDCADを100Lot分買いたいとします。
しかし、相場の流動性は低く、当初望んでいた価格では20Lot分しか買えませんでした。
しかし、太郎さんはなんとしてもUSDCADを買いたいので(もしかした直近にドルでの支払いがあったのかもしれません)、売買価格は気にしていません。どんな価格でも買う気です。
マーケットは売り手を探すために価格を上昇させて、残り80Lot分売ってくれる相手を探します。
このようにして、価格が上昇するにつれて売り手が増えていき、太郎は最終的に欲しかった100Lot分のUSDCADを買えました。

オーダーフロー分析では、このような価格がずれることをスリッページと言います。スリッページはほとんど全ての値動きの原因です。
大きな値動きは、売りの供給量を超える量の買い注文が入ることで起こります。注文が多い=スリッページとなり、注文を探すために上昇し、注文の偏りがなくなったら安定して上昇が終わります。

〇〇ショックなどの大事件で価格が急降下する理由も、買い手がおらず、売り注文が通りにくいためです。
指標前や直後の乱高下も、注文の少なさ(=流動性の低さ)によるものです。(指標の有無に関わらず、大きな値動きの原因はこれです)

強い下降トレンドで、価格が上昇するのが遅い(弱い)のも、束のような売り注文が入ってくるからです。
長期的な下降トレンドでは、価格を上昇させるためにはより多くの買い注文が必要になります。
逆説的に、長期的な下降の後の強い陽線は、それだけ強い買いの勢いを表していると言えます。(戒が強くないと、そもそも陽線にならないので)
強いサプライ・デマンドゾーンはこのようにして形成されます。

3つの注文と流動性との関係性

流動性と注文の種類の関係についても説明しましょう。
マーケット(成行)、リミット(指値)、ストップ(逆指値)の3つの注文を使ってトレーダーが売買を繰り返すことによって相場の流動性は変化します。

トレーダーの取りうるアクションはこの3パターンのみです。
注文という動作によって、トレーダーは相場と相互作用をします。

これらの注文によって、相場から流動性を取り除いたり足したりします。
これにより、相場は流動性の高い状態から低い状態へと遷移し、様々な値動きを発生させます。

成行注文
トレーダーが最もよく使う注文です。エントリー、損切り、利確と、好きな時にポジションに入ったり出たりする際に使います。
成行注文は相場から流動性を取り除きます。成行注文を発注することで、わずかですが売買がしにくくなります。
成行注文を発注してる時に何が起きているかというと、
「価格は多少ずれてもいいので、今すぐ買い手か売り手を見つけてほしい!」
という要請を相場に対しで発します。
このように瞬時に相対する注文を見つけてくるため、反対側の注文の量を減らし、相場の流動性を減らします。

買いの成行注文を発注する場合は、売りの注文を要求(需要)しているため、売り側からすと大きな負担となり、高い確率で買い側が勝ち、価格は上昇をすることとなります。
仮に売り手が供給する売り注文の量が、自分が買いたい買い注文の量を上回っていれば、即座に買い注文が成立します。
一方、仮に売り注文の方が買い注文より少ない場合は、供給されている売り注文のみを買うことができ、一部しか買い注文は成立しません。残りの注文は価格を上昇させることで成立させます。結果、スリッページが起こります。

指値注文
エントリーや利確で使われる注文です。
相場に対して流動性を供給します。

個人トレーダーの感覚だと分かりにくいかもしれませんが、機関投資家や銀行が注文を置く際は指値注文を使います。
サプライ・デマンドゾーンで価格が反発したり、価格が止まる理由がこれらの新規指値注文です。
特に機関投資家など動かす金額が大きい相場参加者は、1つの価格で全ての注文を発注することができません。よって、ポジションを分割し、流動性の高い価格に指値を置くことでポジションを約定させます。

逆指値注文
主に損切りの際に使われる注文です。
逆指値注文は、相場から流動性を取り除いたり供給したりします。

高値や安値など、多くのトレーダーが逆指値(ストップロス)を置いている価格がブレイクすると、一気に価格が走るのも逆指値が瞬間的に相場から流動性を取り除くことで起こります。
また、ストップ狩りも逆指値を利用して起こります。
機関投資家や銀行が個人投資家のストップを約定させ、損切りさせることで逆のポジションを蓄積するための手法です。
例えば上昇トレンドで自分がドル円を買っていて、機関投資家もドル円を買いたい場合、大量のポジションを約定させなければならない機関投資家は大量の売り手を探さないといけません。
そこで、買っている個人投資家が多くいて、ストップも近いことがわかれば、意図的に価格を下落させてストップを約定させれば、売りの注文量が増え、買いたかった機関投資家は大量のポジションを約定させることができることになります。
買った途端下がって損切り、からの爆上げはこのようなメカニズムから発生します。

オーダーフロー分析はトレードを「戦略ゲーム」にする

トレードは漠然と「未来の価格変動を予測するゲーム」ではありません。
そんな馬鹿なと思う人もいるかも知れませんが、事実です。

ポーカーが強い役を作るゲームではなく自分より強い手をおろすか、自分より弱い手にお金を賭けてもらう事で勝つゲームであるように、
あるいは競馬が馬の着順を予想するゲームではなく他の参加者からお金を奪うゲームであるように、
トレードも未来の価格を予測するゲームではなく、他の参加者(多くの場合握力の弱い参加者)からお金を奪うゲームです。

つまり、トレードには戦略ゲームという側面があるのです。
※投資と投機の違いはここにあると思っていて、投資にはこのような思考は働きません。単に業績を予測して未来の会社や国の状態を予測する活動だと思っています。ただし、現代のようにマネーが政治を握り、マネーで溢れている世界では、もしかしたら全ての経済活動は投機的なのかも知れません。

忘れてはいけないのは、価格は人が動かしているという事です。

他のトレーダーの行動・考えを予想するためにまずは、相場の注文や流動性の高い価格について理解をする必要があります。これがオーダーフローの理解です。

これを理解したら、次は他の参加者の行動について考えます。特に、特定の価格を変えたら損切りの連鎖反応が起こりそうな状況かどうか考えます。
具体的には、次のようなことを自問してみると良いでしょう。
現在損失を出しているトレーダーはどのようなトレーダーか?
現在損失を出しているトレーダーのストップはどこか?

私が兼ねてからゼロサムゲームに注目するのも、トレードは戦略ゲームだからです。

まとめ

オーダーフローの理解はゴールではなく、スタートです。
これを理解することが、相場というゲームを理解することに繋がります。

また、相場のゲームを理解したからといって、相場で勝てるわけではありません。
これが意外と理解されない点です。
学校の勉強と違って、理解すること=得点が増える、ということはトレードでは成立しません。というか社会でも成立しません😅
理解することと勝つことは全くの別ものであり、勝つために理解する必要はあるものの、理解するだけで勝てる甘い勝負は存在しません。(残念ながら

そして、世界一のプロポーカープレイヤーも日々ポーカーの研究をし、研鑽をし続けるように、トレーダーも日々の研鑽が必要です。

日頃から、
どのようなエッジが今のマーケットにあるのか?
今のマーケットの癖は何か?
相場全体の流動性やマクロ経済の動向はどうか?
などを研究し、自分の意思決定に取り入れていく必要があります。

オーダーフローの視点で相場を見ることができれば、きっと面白い発見や相場で勝つためのヒントが得られます!

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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