唐揚げが食べたい。

数学が好きな大学生です。計算は大嫌いです。

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最近の記事

絵を描いて環を作ってみよう

こんにちは。今回はquiver algebraというものについて話そうと思います。(環やベクトル空間の定義を知っている人向けの記事です。) 数学の代数構造で、環というものがありますよね。例えば、整数の集合は普通の足し算と掛け算で環を成しますし、3×3正方行列全体の集合なども自然に環になりますね。ほかにも様々な環があり、数学の世界ではかなり便利で重要な対象として扱われています。 今回は、特に環の中でもより多くの構造を持つ「多元環」というものを紹介して、その一例として点と矢印

    • 有理数体をつくってみよう

      こんにちは。今回は有理数体を構成しようと思います。 前回の記事を読んでくれた方は、整数の集合や演算を考えて念願の引き算ができるようになってさぞかしハッピーな気持ちになったことでしょう!! ・・・でもやっぱり、整数だけじゃまだ物足りない感じがしますね。 もちろん、整数だけを考えていても、とても良い性質がたくさんあってうれしいし、実際整数だけを考えて様々な議論をすることができます。 しかし、整数だけじゃ自分たちが知ってる計算を全部できないですよね。 たとえば割り算とか! 2÷

      • 整数の集合を作ってみよう

        皆さん突然ですが、整数環を作ってみたくありませんか? 自然数の集合の次に現れる自分の指で数えられない数字を扱う第一歩となるものですね。 整数の集合、つまり自然数の集合$${\mathbb{N}}$$にそれらの’マイナスver.の数'を追加した集合を考えることで、$${\mathbb{N}}$$上ではできなかった「引き算」を考えることができるようになり、とても便利なものになりますね。 ただ、その ’マイナスver.の数' ってなんやねん!って怒られないように、ちゃんと数学的

        • 自然数の足し算、掛け算、大小関係を作る

          こんにちは。今回は自然数の集合に和と積を入れて、順序関係を導入しようと思います。 ほんとはZFCの中で自然数と呼べるものを構成するとこから始めようと思ってましたが、そこまでやる気が出なかったので構成はできたことにします。 軽く流れだけ言うとしたら、無限公理によって存在が保障される集合、つまり[$${\varnothing \in A}$$かつ$${{}^\forall x \in A, x \cup \{x\} \in A}$$]を満たすような集合Aをとり、そのべき集合P(

          数学で大小関係を考える

           こんにちは。 今回は、集合に「大小関係」のような構造を入れる順序関係というものについて話します。  一般的に知られている大小関係としては、自然数同士の数の大小(2よりも3のほうがでかい!とか)がありますね。 数学の例ではありませんが、「〇〇さんは××さんよりも足が速い」みたいなのも、(速いことを大きいと表現すれば)大小関係に思えますね。  こういうのを数学の中で一般化していろいろやりたいわけです。 そこで、集合Xを一つ固定したときに、二つの元$${a, b \in X}

          数学で大小関係を考える

          グループ分けの数学

          こんにちは。今回は同値関係と呼ばれているものについて話したいと思います。  みなさん、一度は「グループ分け」を経験したことがあるんじゃないでしょうか?  例えば、小学校などではクラスをいくつかの班に分かれて、その班ごとに様々な活動をしたと思います。  他の例も挙げてみると、月曜日~日曜日はそれぞれ、捉えようによっては1月1日~12月31日までの日付のうち特定の日付を集めたグループと思えますよね。(一年にわざわざ制限する必要はほんとはないけどね) 「グループに分ける」という

          グループ分けの数学

          実数体を構成してみた

          こんにちは。久しぶりにnoteを書いてみたいと思います。ここでこれを読んでくれている皆さんに質問です。実数の集合$${\mathbb{R}}$$ってなんでしょうか? 自然数や有理数はみんな直観的に理解できるけど、実数はなんかよくわからない感じがしませんか? 僕は高校生の頃、実数の大小関係の定義がなにか気になったけど、よくわからないままだった記憶があります。 今回は、有理数についての性質などは既知として、実数の集合とそこについている構造(順序とか四則演算)を構成していきたいと思

          実数体を構成してみた

          三次以降の置換群は巡回群でないことの証明

          2,3日前に群について勉強をしだして、昨日、ほぼ丸一日使って、三次以降のすべての置換群が巡回群でないことを示したんですよ。証明ができて、ほくほく気分でお風呂を上がったところで、そもそも巡回群ならそれは可換な群になるはずで、3次以降では置換群は可換でないから、ずっと考えてたことは明らかじゃないか…って気づいて、ものすごく悲しい気分になってました。(ここまで愚痴) このまま考えたことをなしにするのも悲しいので、対偶を使わない証明の仕方として置いときますね。 n$${\geqq

          三次以降の置換群は巡回群でないことの証明

          人類みんな髪の毛の本数が同じことの証明:答え

          人類みんな髪の毛の本数が同じことの証明はこちら 今回はこの証明の何が間違えているのかを書いていきます。 基本的に、帰納法を用いた証明で、間違えているとなると、n=kで成り立つならば、n=k+1でも成り立つ という部分の証明が間違えています。 今回もその1例となります。  結論から言うと、この証明の中で、k+1人のグループからいつでも3人の人間(A, Bとその他1人)を選んで来れると思っていたのが間違いとなります。 k+1人のグループが3人以上のグループになるとは限りませ

          人類みんな髪の毛の本数が同じことの証明:答え

          人間全て髪の毛の本数が同じことの証明

          こんにちは。今回は、この世の人類みんな、髪の毛の本数が等しいことを示します。 ·····もちろんそんなことないですよね? 髪の毛みんな同じ本数な訳ないですもんね。 でも、もしこれからする証明の間違いを発見できなかったら、あなたの中ではこの理論は正しいということになるので、 あなたはハゲの人と髪の本数が同じ⇒あなたはハゲ ということになりますね!ハゲにならないように間違いを見つけてください。 これから、どんな大きな数nに対しても、「n人のグループであればそのグループでの髪の毛

          人間全て髪の毛の本数が同じことの証明

          集合の濃度の足し算、掛算、累乗

          こんにちは。今回は集合の濃度に対しての演算について話そうと思います。 集合の濃度、というのは、「個数」の拡張版でしたね。 個数の拡張に対して足し算や掛算を定義するのですから、もちろん有限集合のときに自然に考えられるようなものになります。 足し算から考えてみましょう。 まず、有限の集合同士のときに考えてみます。ある有限集合A、Bがあって、Aの濃度(有限だから個数といってもいい)はa, Bの濃度をbとします。 さらに、AとBの中身はすべて違うものとしましょう。 ここで、a + 

          集合の濃度の足し算、掛算、累乗

          濃度のお話3

          こんにちは。今回は濃度の話をしようと思います。「濃度のお話1、2」では、集合Aと集合Bの濃度が等しいか等しくないか、の話しかしてませんでしたね。無限ホテルの時に話したように、濃度は個数のようなものですから、濃度にも大小関係を考えたいですよね。ということで、今回は濃度の大小関係について話します。 大小関係、または順序関係を定義する際に、満たすべき性質が三つあります。 1.cardA ≦ cardA 2.cardA ≦cardB かつcardB≦cardC なら、cardA≦

          写像について話す

          こんにちは。今日は、写像について話したいと思います。 とりあえずおさらい 集合Aから集合Bにたいする対応を考えた時に、それが (a)Aのすべての要素に対して、その対応先が必ず一つ定まる。 を満たすとき、この対応は写像といいます。 さらに、写像が (b)Aの違う要素の対応先は異なる。 を満たすときこの写像は単射である、といい、 (c)Bのどの要素も、それを対応先としているAの要素が存在する。 を満たすときこの写像は全射である。といいます。 写像が全射かつ単射、つまり、(a)

          写像について話す

          有理数体上の実数ベクトル空間の話、無限集合であることをわざわざ別で示す必要ない(後に作った写像から無限集合であることもわかる)ことに気づいたけど、全部書き直すのはめんどくさいので放置します笑 今のままでも間違えではないし·····

          有理数体上の実数ベクトル空間の話、無限集合であることをわざわざ別で示す必要ない(後に作った写像から無限集合であることもわかる)ことに気づいたけど、全部書き直すのはめんどくさいので放置します笑 今のままでも間違えではないし·····

          有理数体の上での実数ベクトル空間

          しばらく前からベクトル空間を勉強してるんですが、今のところはほとんど有限次元の例ばっかりやっています。(無限次元ベクトル空間としてみたのは有限多項式ぐらいですかね) そこで、有理数体Q上での実数ベクトル空間Rは基底が無限個あるんじゃない?と思ったわけですよ。なんなら、体が可算だから、基底も可算個だと足りなさそう?って思うじゃないですか。 ということで、R; Q-ベクトル空間の基底の集合の濃度がRの濃度と等しいことを示していきます。 (集合Aにたいして、Aの濃度をcardAとか

          有理数体の上での実数ベクトル空間

          数列の極限ってなに?

          こんにちは。今回は数学3を履修した人なら何回も聞いた事のあるであろう、数列の極限について話したいと思います。 数列の極限を扱う際に、大学以降の数学では、 ε-N論法と言うものを使います。このε-N論法というのが、よく大学数学の最初の難関と呼ばれるぐらいには、初見の時に感じる難易度が高いです。まあ、百聞は一見にしかずということで、 実数列a_nが、n→∞で ある実数b に収束する(高校数学では、これを「nが限りなく大きくなる時に、a_nの値は限りなくbに近づく」とか言いました

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