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書き手の口調って台本に反映されるんだなと実感した作品

 TOHOシネマズ渋谷にて『怪物』を観てきました。


 今までと違って是枝監督が脚本を書いてないのでどんな作品になるのだろうかと観る前から気になってましたが、気になったのはストーリーよりも(勿論今までと構成が大きく違うが)撮り方やキャスト陣の演技でした。ドローンや滑らかに移動するステディカムなどこれまでの作品よりもアクティブな印象があった。

 ストーリーは教師から息子がモラハラを受けているコトを知った母親が学校に行くとその対応に不信感を抱く。それがきっかけとなって教師や息子、その友達との関係が徐々に明らかになっていく構成になっている。そこかしこに伏線があり、最初に本筋のストーリーを描いた後にプレイバックしながら貼られていた伏線が明らかになっていくプロットはこれまでの一直線に物語が進む是枝作品にはない印象があった。
 大筋をしっかり作ってプレイバックというスタイルはタランティーノ作品でも何度かやられていたスタイルだけど『怪物』もそれが良く際立っていた。

 一方、主演の子役2人と『万引き家族』に出演してた安藤サクラ以外はどことなくTVドラマの演技の様な感じもした。それが悪いというワケではないが、個人的に是枝作品の魅力だと思ってた役者達の自然な演技が薄かった。
 多分、脚本を自分が担当してないので書き手特有の口調が消えたのも一因だと思う。

 ショートフィルムに撮影で参加する時に他人の脚本を見る機会があるけど登場人物の性格に寄せているとはいえ、書き手の口調が反映されている事が多々ある。自分が書いてなくて現場でもセリフを変更してないとなると尚更それが強調されるのではないだろうか。

 そんな気がした

 タイトルの『怪物』の意味する所は正直分からなかったが、それに囚われるコトなく見ればストーリーの面白さで十分みれる作品です。
 まだ劇場で公開している地域もあるかと思います。ご興味ありましたら是非チェックしてみてください。

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