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四国のひとに聞いてみる! Vol.5〈高橋克司 氏〉 -芸術に今、これから出来ること-

今回は愛媛県東温市にて地域おこし協力隊として音響をメインに幅広い活動をされている高橋さんにお話を伺いました!

高橋克司(たかはしかつじ)氏
〈プロフィール〉
北海道生まれ。香川県・高知県で育つ。
東京の音響技術専門学校を卒業後、舞台音響の会社「オフィス新音」に入社。1998年から2017年まで音響オペレーター、プランナーとして多くの作品に携わり、2017年12月に退社。
2018年3月、愛媛県東温市に家族で移住し、東温市のアートヴィレッジ構想推進を担当する地域おこし協力隊に就任し、今に至る。
現在就任3年目。妻と4歳の息子をもつ。

-高橋さんのこれまでと現在の活動、四国での活動についてお聞かせください- 

地域おこし協力隊に就任してからの2年間、四国というよりは、ほぼ、東温市、東温アートヴィレッジセンターで活動してきました。地域の方々と交流しながら、この構想が市民の皆様に受け入れられ、センターがたくさんの方に愛される施設になるよう、現場目線で考え活動してきました。

センター内では、受付、貸し館対応、技術スタッフ全般に関わり、TOON戯曲賞大賞作品、「草の家」の演劇公演では、音響プラン・オペレート、劇場受け入れ側スタッフとして携わりました。この公演は、東温アートヴィレッジフェスティバルの一環で、奇跡的にウィルスの影響を受けずに追加公演まで上演することができ、センター開館以来、最も成功した公演の一つとなりました。その千秋楽が2月24日。まさかその直後から、このような状況になるとは…

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※TOON戯曲賞2018大賞演劇公演「草の家」

-昨今の新型コロナウイルスによる影響をどう捉えられていますか?- 

とんでもないことが起きてしまったなと。
まず劇場やイベント関連の自粛から始まる災いが起きるとは、思ってもみませんでした。家庭ある身としては、正直このまま舞台の仕事を続けていくことは難しいのではと思い、別の働き口を真剣に考えました。

この状況がいつまで続くのか見当もつきません。そもそもこれは舞台だけではなく、世界的な問題です。日々刻々と状況は変化しており、一ヶ月後には全く違う世界になっている可能性もあり、予測出来ない状況です。少しでも早く事態が収束することを願いますが、仮に収束方向に向かったとしても、人が劇場に集まることで成り立つ舞台の仕事は、ソーシャルディスタンスとは真逆にあり、以前と同じ状態に戻るには、かなりの時間を要すると思われます。

ただ、四国や東温市は感染者数が少なく、もし舞台を再開できるとすれば地方からなのかなとも思っています。

-ご自身の活動で実際に影響を受けていることはありますか?- 

私が勤務している、東温アートヴィレッジセンターも3月5日より休館が続いていて、個人で受けていた音響のお仕事も5月まで全てキャンセルになりました。5月11日現在、施設の休館は24日まで続く予定です。今は自粛期間を無駄にせぬよう施設内の環境整備を進めています。東温アートヴィレッジセンターにはシアター、リハーサルホール、アトリエの三つの施設があり、それぞれ特色が異なります。休館後の対応もそれぞれに考えるべきであり、今はセンタースタッフと三密を避けながら、ミーティングを重ねています。
 

-この状況下に置かれた芸術(舞台芸術)がなせることは何だとお考えですか?- 

“生きる”ことが最優先されることは当然で、いたしかたないことだと思います。ですが感染症や世界大戦など多くの厄災に見舞われても、それに人類が打ち勝てば、必ず文化芸術が必要とされる時が来ることは歴史が証明しています。

今はこの状況を少しでも早く脱すること。そこに協力できることは何かを考えることが、重要だと思います。最前線で戦っていらっしゃる、医療従事者の方々には本当に頭が下がります。その方々の負担を増やすこと無きよう、今は少しだけ我慢することも必要かもしれません。

愛媛に移住してからの2年間、東温市のアートヴィレッジ構想に携わり、多くの人と出会い、創作し、感動を得ました。素晴らしいアーティスト、舞台人、それを支える観客の方々がたくさんいらっしゃいます。舞台芸術がその人にどのような影響を与えるか、それは人それぞれ違い、数値では表しにくく単純ではありません。

今、当たり前だった日常が消え去ったからこそ、あらためて実感できることがそれぞれにあると思います。そこで感じた思いを決して消さずにいること。それが唯一、今できることではないかと思います。その思いを支えるためにもインターネット上での活動は重要で、センター内でも随時、進めていくべきだと思っています。
ですが、もう一度、必ず、舞台で、客席で、そして“劇場”でお会いできることを願います。

-愛媛/四国での今後の活動についてお聞かせください- 

私が2年前、東京から移住した時、全く繋がりのない四国で舞台の仕事が続けられるとは思っておりませんでした。しかし、偶然出会った東温市のアートヴィレッジ構想に、たくさんの出会いをいただき、また舞台スタッフとしての活動が始まりました。就任3年目の今年は、地域おこし協力隊としての最終年となります。舞台芸術という分野がこの先どのように変化していくかわかりませんが、劇場という表現の場を知るものとして、今からまた新しい表現の場を作るつもりで、もう少し諦めず活動していきたいです。

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高橋さんありがとうございました!

インタビュアー:田中直樹(東温市 地域おこし協力隊)



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