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心の浄化週間〜Excurcion〜



今日は息子の誕生日だ。
「誕生日プレゼント、何がいい?」と聞くと
「旅行!」と言ったので、今日から夫と3人で福井へ1泊の小旅行に行く。
朝一番のかがやき号に乗って今年開業したばかりの真新しい駅舎に降り立つ。
恐竜がたくさん出迎えてくれた。

レンタカーで恐竜博物館に向かう。
化石発掘体験の予約をしてある。
レクチャーをうけた後、金槌とたがね、ゴーグルを借り、一心不乱に石を割る。
化石を探すには割れた石の断面の黒や茶色を良く観察する事だそうだ。
素人にはそれが化石かどうか判断が難しいので、先生に見せにゆく。
息子は植物の化石だという黒い断面の石をいくつか持って帰ることができた。
いい経験だった。
夏休みの自由研究はこれにしようよ、と息子に言ったら
「やったー。ひとつ宿題終わったー。」
と言うので
これを模造紙にまとめるまでが宿題だよ、と諭す。

次は博物館見学だ。
熱中症アラートが発令される中、汗だくになりながら石を割ったので、博物館の中は涼しくて生き返った。
ここ福井県立恐竜博物館は北陸新幹線の敦賀延伸にあわせ、一昨年リニューアルされた。
たくさんの恐竜の骨格が展示してあり、ディスプレイ、演出、展示、照明、全て見事であった。
レプリカだがこんな大きな生物が地球を闊歩していたなんて信じられない。

平泉寺白山神社

息子のターンを終了し、今度は親の興味に走る。
近くに永平寺があるが私も夫も何回か訪れた事があるので、平泉寺白山神社に行く事にした。
苔むした参道がとても趣きがあり、清浄な空気が心地良く、深呼吸をした。
参道横の蕎麦屋で名物の越前おろしそばを食す。
大根おろしでピリリと舌が締まる。美味だ。
食後は、次にどこに行こうか家族会議だ。
越前大野城に行く?時間的に無理かな?などと話していると、息子が早くホテルでゲームしたい、と言い出した。暑さで疲れているらしい。
レンタカーを返却する時間もあるし、息子の体力も考え、観光マップにある越前大仏を見に行くことにした。ここから車で10分だ。

越前大仏

越前大仏とは聞き慣れないな、と思い由緒を調べたらバブルの頃に財をなした実業家が自分の故郷に父母先祖を弔うために建立した一大(一代ともいえる)施設だ。大師山清水寺というらしい。
なんとなく胡散臭くも、興味があり訪れたのだが、度肝を抜かれてしまった。

大仏殿に座している毘盧舎那仏は17メートルあり奈良の大仏を凌ぐ大きさなのだ。
両側には脇仏として、巨大な伽葉尊者、阿難尊者と普賢菩薩、文殊菩薩が祀られており、壁面には1000体を超える石仏が取り囲み、圧倒されるスケールだ。
しばし息を呑み、その壮大な空間を彷徨った。
バブルの巨大な遺物でもあるが、荘厳なこの施設は自治体が観光の目玉として、運営を引き継いだのが頷ける。
他にも五重塔や日本庭園などもあり、どれも近代の技術を用いつつ、日本の仏教文化をリスペクトし建立されたものである。宗教テーマパークといっても良い。
息子は大仏を見るのが初めてなのだが、この後の人生で鎌倉や奈良に訪れることがあっても、おそらくこの越前大仏を思いだし、なぁんだ小さいな、と思うことだろう。



後から知ったのだが、この寺の門前横丁風のお土産物屋さんの街並みは、千と千尋の神隠しでお父さんとお母さんが豚にされてしまう街のモデルになったとか。(諸説あり)
後から写真を見返して面影をみつけた。
若い子の間では、異空間としてインスタ映えのスポットになっているらしい。
ほとんどの店はシャッターが降りており、もの寂しさを感じるが、あと100年もすれば観光地になっているかもしれない。
永平寺に程近いため、逆に立地的に不利なのかも知れないが、たくさんの人に見てもらいたい。

柴田神社

レンタカーを返却し、ホテルにチェックインして小一時間休憩したあと、夕食を食べに福井の街に繰り出した。19時だというのにまだまだ明るい。
柴田神社という柴田勝家ゆかりの神社があるというので立ち寄る事にした。
ここもあまり前情報なく行ったのだが、柴田勝家とお市の方が秀吉に追い込まれ自害した城跡に建てられた神社ということで、城のお堀や石垣が残っていた。城フェチの夫はここを偶然発見したことに興奮していた。
家族円満の神として勝家とお市の方が祀られているとの事なので、家族3人横並びでお詣りした。

息子の誕生日プレゼントではあったが、しばし仕事の事を忘れることができた小旅行であった。


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#創作大賞2024 #お仕事小説部門


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