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複数戦のススメ♪

 今回は「戦闘で勝利する事を前提としたTRPG作品の戦闘」を題材にしている。

 戦闘ってこんな理由で大事です…。戦闘は複数回、こんな構成で行うといいと思うなど…。TRPGにとっての戦闘と、PL/PC達がその戦闘に満足して貰う為の方法についての記事にしている。

冒険目的

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■戦闘の位置づけ
挑戦(意欲)・フロー(没入)・達成(快感)
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 TRPGにとって戦闘は大切な傾向がある。

対戦格闘

 TRPGの多くの「ゲームクリア」はルールに規定されていない。
 「ゲームクリア」はシナリオ側に規定される傾向がある。

 一方「ゲームオーバー」はルールに規定されている。
 更に追加されてシナリオにも規定される場合もある。
 その中で特に顕著なルールの規定はPCの死だ。

ストレートパンチ

 TRPGの多くはゲームオーバーのみ規定してゲームクリアは規定しない。つまり「最後まで死なない事」というのがゲームクリアにとって大切になっている。

 そのゲームオーバーさせる存在の大きなモノの一つに戦闘がある。
 戦闘は、PC達をゲームオーバーさせようとする。
 PL/PC達はゲームオーバーをすり抜けるヒリヒリしたスリルを与える。

 そして戦闘は「ゲームクリア」は存在せず、「どちらかをゲームオーバーさせる」事を目的に戦う事が多い。
 故にPL/PC達もまた敵をゲームオーバーさせようと奮闘する。

アクション

 戦闘では、その“スリリングさ”と、PL/PCに挑戦(意欲)と達成(快感)を味わえる。
 PL/PC達がパーティで協力するゲームの場合なら、ここが一番プラスサム的な箇所にもなってる。
 そして挑戦(意欲)と達成(快楽)の間に「没入・集中・フロー状態・邁進」もあると思う。

 ゲームのルールの観点で記載したが、戦闘はTRPG以外の作品でも多く採用されている。
 人によっては「血沸き肉踊る」と形容し、感情が高ぶり、勇気があふれ、全身に活力がみなぎる・興奮するシーンとも言われる。
 人間の衝動や快楽にも深く関わるのかもしれない。

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 TRPGは、ある種ライフシミュレーター(他人の人生の疑似体験)と言える。
 故に、PC(キャラクター)は大切な存在と言えるのかもしれない。
 そのキャラクターの存続に関わる戦闘は、TRPGにとって大切なギミックなのかもしれない。

 その「没入・集中・フロー状態・邁進」を導く方法が「反復」である。
 反復は次の項目に記載する。

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■不慣れによる没入の阻害と対処
反復で醸成していく没入感
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 PL/PC達の没入・集中・フロー状態・邁進とは「PC/PLがそれぞれ全力で挑める状態」を指す。
 「PC/PLがそれぞれ全力で挑める状態」とは4種の状態を指す。

走_勇往邁進

・“わからない”“馴染んでいない”等不慣れさで起因する不安がない
・他キャラクター(PC/敵キャラ含め)の動向も予測できるようになる
・いち早く戦況・勝手を掴み、自分が何をしたらいいのか選択肢が見える
・趣味を満喫したいと自発的に動けるようになる事

 その4種の状態を満たすには、妨げるモノを排除する必要がある。
 妨げる要素は5種ある。

不満

・TRPG自身が初心者・不慣れ。
・そのゲーム作品(システム)が初心者・不慣れ。
・この卓の面子(GM,PL達)が初対面。面子に対して初心者・不慣れ。
・このオンセ環境(ツール等)が初心者・不慣れ。
・作りたてで自キャラを操る事が初心者・不慣れ。

 しかし5種は1個の事で解決できる。
 どういう形であれ「戦闘を短く反復する事」
 戦闘を短く終わらせ、且つ、反復する事で、PL達の気持ちは整理される。仕切り直し過去は過去と判断する。先の戦闘はどうだったのか自身やパーティの行動を評価する為には戦闘を終わらせるのがいい。
 そして反復を繰り返す中で、全体を見通し、何をした良いのか自発的に行動しやすくなる。

サイクル01

・1回目が終わる事で、戦闘の始まりと終わりが分かる。
・2回目になると1回目の悪かった事がわかる。
・3回目でより良い手を考えたい・試したい・実践する。
・4回目で更に最適な手段を講じようとする。

 反復する際に、敵の種類は同じか似通っている事が望まれるが必須ではない。
 繰り返す事で、ボス戦までの間に、パーティ内で没入が醸成されていく。
 戦闘は4回を推奨したが、必須ではなく、2回でも3回でも効果は得られる。

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■複数回戦闘の構成
TRPGの戦闘を重視するゲームでは下記の戦闘タイプがある気がする。
型を活用して、初動期・倦怠期の混成卓でも楽しんで貰う方法
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 【A】戦闘で始まり、【D】戦闘で終わる事が望ましい。
 1日のセッションで行う戦闘数によって構成の配置は変わる。

積み木

1日戦闘1回。【A】のみ。
1日戦闘2回。【A】→【D】。
1日戦闘3回以上。【A】→【B】or【C】→【D】

 という構成にすると戦闘に対する満足度は高く成り易い。

※複数回戦闘は「1シナリオに複数回しなければならない」という話ではない。オフセなど1日遊ぶ場合なら、ミニキャンペーンとして複数話を行う形で1シナリオ1回ずつ、2~3話するので結果的に複数回戦闘するという形式でも良い。レベルアップを楽しんでもらえるという意味ではミニキャンペーン形式はオススメ。

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【A】慣熟戦闘
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 マップも敵も勝利条件も捻りのないシンプルな戦闘で、慣れる事を目的とした戦闘。チュートリアル戦闘とも言える。ミドルフェイズの初期に行い易い。TRPG初心者やシステム初心者が慣れる為に大切だが、TRPGはメンツ初心者の場合も多く他PLの挙動を知る上で【A】は大切な戦闘になる。

家庭教師

(A-1)システム初心者がルールに慣れる
(A-2)この面子(PL達&GM)に慣れる
(A-3)このパーティ(PC同士)に慣れる
(A-4)今日最初の戦闘なのでバイクの暖機運転みたいな意味合い

 様々な要因に対して慣熟を目指す戦闘を指す。

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【B】新奇戦闘
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 ミドルフェイズに行う戦闘。GMによってはクライマックス戦闘にも扱われる場合がある。慣れた人でも新鮮に感じる戦闘で、様々な初心者な場合は非推奨な戦闘とも言える。GMが色々ギミックに凝った時、またPL達へのマンネリ対策を考えた時の戦闘は、【B】の戦闘になりやすい。自分としては【B】はミドル戦闘でこそ映える戦闘に思う。

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(B-1)新鮮味や意外性がありイレギュラーで奇を衒う戦闘
(B-2)GMが凝ったギミックを設けた戦闘
(B-3)従来の感覚とは異なる戦術を要求される戦闘
(B-4)このTRPG作品の戦闘のバリエーションを試すような戦闘

 マンネリ化を防ぐ意味では重要だが、PCの特技が一部死んだりするし慣れた頃に戦闘が終了したりとストレスが溜まりやすい。

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【C】温存戦闘
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 慣れた人用。PLがリソース管理を楽しむ戦闘。ただゲームシステム側が慣れてない人も強要しやすい。シナリオn回等のスキルの使用回数制限、HP、MP、アイテムの消耗等のリソースをミドルフェイズでは使い過ぎる事を躊躇われるモノを使用しないまま戦闘をする事。
※しかしこれ自身が楽しいかと言われると自分にはわからない。楽しめるようにする為には、ゲームに慣れてる人同士で且つ(C-1)を含めた場合ではないかと思ってる。

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(C-1)戦闘の回数、敵の質・量、各戦闘の性質をPLが知った上で、リソース配分を考えて戦闘している。

(C-2)戦闘の回数、敵の量、各戦闘の性質、いつクライマックスもわからない秘匿のまま節約戦闘を強いる。

(C-3)両方を混在させて中途半端に秘匿・開示した戦闘。

 オススメは(C-1)で、2回戦闘するなら各戦闘の戦場や敵人数とか敵の種類などを知れると、何を温存しようか、どう温存しようかPL/PC同士で相談する事が出来る。相談して計画を立てて、実行して、それが計画通りかどうかもゲーム的な楽しみになるのでオススメしたい。ただ一方で、慣れてない初心者の集まりの場合、ルールを覚えるだけで手いっぱいになるので難しい。

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【D】親近戦闘
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 主に最後の戦闘。クライマックスの戦闘を指す。【A】と同じマップも敵も勝利条件も捻りのないシンプルな戦闘。ただ【A】より敵が強く難度がある。しかし、PLが想定したPCが全力で戦える為、比較的PL達がスッキリした気持ちで臨める戦闘を指す。

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(D-1)PLが想定していたビルドの戦い方を行えて満足度が高い。
(D-2)PCの能力を全て出し切った後に、敵が全滅したりして達成感が高い。
(D-3)主にクライマックス戦闘をイメージしていて、PLが気分よくPCの全力を出し尽くせる戦闘

ある種マンネリになりうるが、PLがPCの予想通りの形で運用できる気持ちよい戦闘。

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■まとめ・所感
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 この記事は「戦闘自身の話」「戦闘を複数回数行う事の意義」みたいな話をしている。
 しかし戦闘はこれだけの話に留まらず、当初、この記事も結構とっちらかってしまった(今はまとまった)。
 他の記事にも関連しているモノがあるので紹介する。

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 1回の戦闘自身を楽しんでもらう為の敵とPC達の戦力バランスについての詳細は「拮抗する戦闘……」を参照してほしい。

 【A】慣熟戦闘で記載したTRPG初心者・システム初心者・メンツ初心者などの話についての詳細は「お初の人と楽しく遊ぶ為に…」を参照してほしい。

 【B】新奇戦闘、【C】温存戦闘に関わるマンネリなどの話についての詳細は「変化する嗜好」を参照してほしい。

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 この手法では「1日に遊ぶセッションで【D】のような戦闘を1回のみ行う事はオススメしない」事になる。事故回避の観点で考えるとどうしてもオススメ出来ない。

 一方、クトゥルフ神話TRPGのような負ける事も望まれているゲーム作品の場合は、この記事に従う必要はないかもしれないが、やはり個人的にはオススメは出来ない。


おわり。

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