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吉本ばなな 【キッチン】


今まで小説を読んだことがなかったんだけど、それは本当にもったいないことをしていたと
この小説を読んで実感した。

『どうして小説を読むのだろう、
自分の身になることはあんまりないじゃないか。』

違うんだよねー。
人間理解というか、登場人物の細かな感情の動きが
過去の自分を呼び起こさせることがあるんだよねー。

(つい最近まで何にも良さをわかっていなかった男)
(いくつもの小説を読んできたかのように語ります)

光が散るような淋しくて、明るい笑顔だった。夜中が、深まってゆく。
窓の外に美しい夜景が、ちらちらとまたたくのを、振り向いて見つめた。高くから見下ろす街は光の粒にふちどられ、車の列は光の河になって夜を流れていく。

吉本ばなな キッチン

”高くから見下ろす街は光の粒にふちどられ、車の列は光の河になって夜を流れていく。”

これはもう、びっくりした。
こんな素敵な表現をするのかと。

見た瞬間、飛行機で着陸寸前の、窓から街を眺めている自分を思い浮かべた。
(頻尿なので基本通路側ですが)

それがまだ自分の行ったことのない街・国だったりすると
わくわくが止まらない。

「ここでずっと暮らしている人がいるんだよなー。」
(当たり前)

ここの人たちは一体どんな生活をしているんだろうか。

色んな妄想をして、日本とはまた違う別世界に来たことを実感する。
その窓からの光景は、車の列は、光の河は美しい。

小説の世界と、現実の世界がリンクしたような感覚に陥った。
もっとこの興奮を味わうために、本もたくさん読むし、旅もしていきたい、と。


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