切迫早産で入院した話
つい先日、妊娠34週の私は切迫早産で入院することになった。幸い、その後1週間で退院することができたため、臨月となった今は自宅でfuluで配信中の「コウノトリ」を見ながら涙する日々を送っている。出産とは本当に奇跡だ。
切迫早産や切迫流産は妊娠中いつ誰に訪れるか分からないリスクであり、驚くほど入院が長期化することも多い。私の場合は幸運にも1週間で退院の運びとなったが、入院期間が長引けば長引くほどお金もかかる。働いている人であれば、その間はもちろん収入が断たれてしまう。今後入院する人に少しでも参考になればと、今回気付いたこと、感想を少しメモしておきたい。
突然の腹痛と入院
深夜に急な腹痛を感じ、なぜか盲腸だと確信していた私は夫に救急車を呼ぶように伝えた。妊娠後期の妊婦が腹痛を訴えているということで、もちろん出産予定の産院に運ばれ、診断は切迫早産だった。
なぜ妊婦にはレアケースな盲腸だと確信したのか。早期胎盤剥離とか、そういうのを疑うじゃない、普通。私はそのまま安静を言い渡され、ウテメリン(おなかの張りを抑えるお薬)を点滴され入院する運びとなった。なんというか、まあそうだよね。付き添ってくれた娘も何だか浮足立った様子。後日先生から聞いたのだが、どうやら翌日保育園でクラスのみんなに「きゅうきゅうしゃにのったからしゃー」と自慢していたようだ。良い思い出になったのなら良し。
病室に移動し、説明を受けるが先の見通しはまるでつかない。もしかしたら出産までこのまま入院するのかもしれない、退院時期は全く分からない入院。朝になり、夫が用意してくれた入院セットの中には、なぜかショーツが1枚しか入っていなかった。妻は下着を取り替える必要がないほど清潔な生き物だと思っているのかもしれない。
図らずも衛生観念が非常に低いことが発覚した夫に娘と家の中のことを任せることには一抹の不安も感じたが、しばらく入院するとなれば家事育児から解放され、のんびり過ごすことができる。久しぶりの休息タイムだと少し嬉しくもあった。快適な個室だったのもありがたい。
入院初日、当たり前のことだがベッド上で安静にしたまま右腕に点滴をされている状態では着替えもシャワーもできないことに気付く。そして、このウテメリンという薬の副作用で手の震え、動悸、眩暈が止まらない。朝食のスープを口に入れるのがめちゃくちゃ難しいではないか...なんじゃこりゃ。無理無理。全然すぐ帰りたいんですけど。
入院は意外とお金がかかる
少し慣れてきた二日目、イラストでも描こうかとタブレットPCを取り出してみたものの、手の震えで絵なんて描けたもんじゃない。暇。圧倒的、暇。同じフロアには出産直後のお母さんが10名程入院しているため、昼夜問わず新生児の泣き声が響き渡っている。可愛いなあ、というホコホコ感と、これからもう一度新生児の世話をするということのリアル...暇ゆえの不安。危ない。暇は人をナーバスにするのだ。大急ぎで10冊程の本をKindleにDLした。
暇は人をナーバスにし、ただぼんやりとした不安だけでなく、現実的なお金の話にも思い至らせてくる。妊娠当初から私は無痛分娩を希望していた。この産院での麻酔費用は通常分娩にプラスで15万円程。切迫早産に伴う今回の入院で家計の収支計画が崩れてしまったため、無痛分娩をキャンセルすることも考えた。頭の中でざっくりと計算すると、無痛キャンセルによって大体のキャッシュフローはうまくいく。しかし、本当にそれで良いのか。陣痛中に絶対後悔するよなあ...
私はウテメリンの効用と家計の大炎上に震えながらExcelを立ち上げ向こう半年の収支詳細を打ち込んだ。精密に計算すると、どうやらこのまま無痛を選択したところで問題はなさそうだ。暇は人をナーバスにも前向きにもするらしい。しかし、入院でもしなければ、これだけ細かく収支予定を計算することはなかっただろう。ずぼら過ぎる私にお腹の子供が警告を出していたのかもしれない。
今回、1週間の入院で、検査費用や食事、部屋代などのトータル費用は約9万円だった。調べてみると病院や検査内容によっては20万円以上かかることもあるらしい。とにかく、これくらいに収まったのは不幸中の幸いだ。しかし、もしこの入院が出産まで長引いていたら、育休を早めに切り上げて産休後すぐに職場復帰を余儀なくされたかもしれない。
結構あるぞ、救済制度
入院してみるとホントにお金もかかるし、暇だしマジでヤバい、という感はあったが、調べてみると何とかしてくれる制度は意外と色々ある。
■高額療養費
聞いたことがある人も多いとは思うが、とにかく絶対抑えておくべきである。自身が加入している健保に申請すれば、その月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額を超えた分があとで払い戻されるという神制度。しかし、この「あとで払い戻される」という点に気を付けていただきたい。申請後、払い戻しに3か月以上かかることが多いため、それでは間に合わないということもあるかもしれない。入院が数か月にわたる場合など、その分費用も高額になり、1月の入院費が100万円を超えることも多いのだ。こんな時に助かるのが「限度額適用認定証」、「高額医療費貸付制度」である。
■高額医療費貸付制度
無利子で「高額療養費支給見込額の8割相当額」の貸付を行うという制度。当面の資金として2~3週間で貸付金が口座に振り込まれるため、相当期間が短縮される。このくらいの時間感なら何とかなりそうだという人も多いのでは。この貸付金は「高額療養費」が支給される際に自動的に返済されることになっているので、返済の手間もなくありがたい。
■限度額適用認定証
事前に医療費が高額になりそうだということが分かっていて、貸付も待てないという方におススメ。事前に加入している協会けんぽ支部に「健康保険限度額適用認定申請書」を郵送すると、おおよそ1週間で「限度額適用認定証」が発送される。この認定証を病院で提示すると、自己負担金限度額までの支払いとなる。入院が決まったらすぐに申請しておくのが良いかもしれない。
■民間保険
入院保障や傷病についての保険に入っているが、出産時には関係のないものだと思って忘れている人も多いかもしれない。実際に私はすっかり忘れていたのだが、問い合わせてみたところ今回の入院にかかった費用はほとんど戻ってきた。切迫流産・切迫早産などの入院でも給付金が貰える場合も多いため、一度問い合わせてみた方が良いだろう。
私の場合は民間の保険会社への請求以外実際に使った制度はないが、上手く制度を使えば当座のお金としては5万円くらいで何とかなりそうだ。もちろんバタバタしている中で申請のタイミングがピッタリとはまれば、ではあるが。
用意したい暇つぶしアイテム
暇すぎてお金のことばかり調べていたが、ある程度調べたらやはりまた暇になってしまった。スマホの通信料が上限に達してしまったということも大きい。人によるとは思うが、また入院する機会があればこんなものを用意しておきたい。
■ポケットWifi
スマホやPCを快適に使うなら必須アイテム。月額3000円くらいからレンタルできるようなので、次があるなら絶対に入院初日に契約しようと思う。
■KindleUnlimited
今回大変お世話になったKindle。月額980円のKindleUnlimitedに加入しておけば電子書籍が読み放題になる。これは本当に良い暇つぶしになったし、何より安い。書籍を実際に買ってきてもらうと退院の際に荷物になるという問題もクリアになる。
■Netflixで動画をDLしておく
もし事前に入院することが分かっているのであれば、PCやタブレットにNetflixなどの動画配信サービスで何本か映画をDLしておくのが良いだろう。これならwifi環境が無くても映画を楽しむことができる。
■マグカップ&シュガースプーン
私が入院していたフロアには自販機がなかったため、飲み物を購入するのも少し面倒だった。部屋の近くに冷温ウォーターサーバーが備え付けられていたため、ティーバックなどを用意しておけば快適度が増しただろうな、と少し後悔。入院する病院によっては必要ないかもしれないが。
まとめ
長女の出産以来の入院生活。正直こんなに突然入院することになるとは思ってもみなかった。しかし、事前にちょっとだけ想定しておけば不安も軽減され、入院生活が大幅に快適になりそうだ。もしこれから入院するあなた、今まさに入院中のあなたが読んで少しでも参考になったのならこんなにうれしいことはない。