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それは脳機能の拡張のためのもの

GIGAは何をもたらすのだろうか? 
僕は現状で言うならデメリットの方が大きいとみている。
誤解ないようにいうと、僕のクラスはほぼ毎日使うし、子どもにはほぼ自由に使わせている。休み時間も係活動も使わせている。こうやって、構成的、効果的にICTを使わせる教師の何倍も使わせているけど、観ていていろいろ危なさを感じる。その危なさを認識でき、すぐさまフィードバックできるならいいのだろうけど、多くの場合、そのどこがだめなのかも分からないままICTの幅を広げてしまうことになってくだろう。

では何が危ないのか。ICTは「分かりやすい」ということの危険性だ。ある報道で子どもがタブレットを使うと「自分で考えなくてもいいから分かりやすい」と答えていたのを見て、腰が抜けそうになった。「分かりやすい勉強」なんてとても危険だ。自分であれこれ考えなくても、タブレットが図や絵、写真で分かりやすく説明してくれるということなのだろう。でも本当にそれは「分かった」のだろうか?
また、発達障害を抱えている子どもにとって、ICTはピッタリ脳に張り付く、確かに困難さを取り除く手段となり得るのだけど、依存もまた大きい。そうした子どもが家庭でも家でもタブレットを肌身離さずいる姿を想像してほしい。実際に僕のクラスでも依存から抜け出しにくい子どもがいる(だからあえて自由に使わせてコントロールさせることを学ばせているのだけど)そして最も大事なのは、そもそも一斉指導の技術しかもっていない教師がICTを使ってもICT本来の機能を活かすことができないということだ。ICTは子どもへの「分かりやすい授業」のアシストにしかならない。

本来の「一人一台」の役割は、脳機能の拡張だ。知識の伝達・融合・整理・再構成がその本当の役割だ。そのためには授業そのものが従来のものであっていいわけじゃない。残念な授業しかできない教師が、ICTを駆使しても残念な授業にしかならない、とういうか僕が見てきた限りもっと酷い授業になっていく。今は教師が授業で使えれば「OK」みたいな雰囲気があるけど、そのツケはいずれやってくるだろう。その話はまたの機会に。

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