お母さんは基地で、お父さんは武器と盾だよ

 学校で、いじわるを言われたりと、悲しいことがあった日。
 「今日、宿題できる?できそうなら、ささっと終わらせて、あとは好きなことをたくさんやりなよ!今日は、心が疲れてるから、自分が楽しい時間をたくさんつくりなよ。」
 そんな感じで、いつもよりたくさんゲームをやったり、好きなテレビを観たりして、寝る時間になり、ベッドへ。

こんな日は、早く寝なさい!とせきたてるのではなくて、まるでのんきなのんびりお母さんみたいに、ゆったりした動作で子どもの隣に潜り込む。「あのさ、お母さんはオイラの基地で、お父さんは武器と盾なんだよ」
「そうかあ。お父さんは武器と盾なんだ。お母さんは、〇〇の安全基地だからね、しっかり充電だ」
まだまだ、家ではだっこしたいお年頃。ぎゅーっとだっこする腕に、祈りを込める。
『〇〇の心を守れますように』

そうしてやって、安心して眠りにつけたことにホッとする。
もっと大きくなったら、お母さんのだっこじゃない解決方法を自分で見つけていくだろう。その日まで、私はしっかり安全基地であろう。

夜、帰ってきた夫に「お父さんは武器と盾だってさ」と話をした。
「お父さんとお母さんは安全基地だ、みたいな話はしたことあったけどさ。お父さん、武器と盾だってイメージはどこからきたんだろうね。ゲームかな?とにかく、〇〇の中ではそうなんだって」

わが家のお父さんは、いわゆる、見た目で強そうな、筋肉がっちりとか、背が高くてとか、足が速そうとか、そういう生き物としての強さは正直持ち合わせていない感じのお父さんである。
「へえ。そっかあ。ちゃんと武器とか盾にならなきゃなあ」
ふふっとなんだかあたたかい笑いがこぼれてしまう。
こんな感じで、私たちは子どもに、お父さんとお母さんにしてもらっているのである。
私たちは、〇〇の安全基地と、武器と盾である。



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