見出し画像

年中休業うつらうつら日記(2023年2月18日~2月24日)

せいうちくん留任の激震がまだ続いています。来週に一緒にドクターに会いに行きます。ブックオフでヤケ買いをして、万札が飛びました。機器がグレードアップしたこともありスキャンを始めた頃の画質に満足できず、取り直してるのが主な原因です。綺麗に取れるとうっとりして何度も読み返す。読んでない山はいっこうに片づきません(涙)

23年2月18日

金曜夜の定例ZOOM飲み会。
前回迷惑をかけた人たちに平謝りに謝る。
Sくん曰く、
「録画しているのは知っていたけど、本人酔っ払って何も覚えていない時に言ったことをあらためて検証されるのはちょっと複雑」。
まあ、非常事態ということで。

やっぱり普段より強めの薬が効いていたのか、何を話したのかいつもほどは覚えていない。
ローン減税の話とふるさと納税の話で長老の活発な意見を傾聴していた気がする。
あまおういちご大福とか北海道プリンとかを申し込み、今まさにプリンを食べてるところだ。
「普段買わないようなものを食べられて嬉しい」と単純バカなことを言ったら、Sくんあたりから、
「普段買わないなら、もらわなくってもいいじゃないですか。お店で買うのに比べて得かどうかですよ」と言われ、
「お得感、というだけでやっている」と白状せざるを得なかった。
各方面からこてんぱんにされた気がする。


早めに落ちて、いつもどおりせいうちくんが寝てから戻ってみたらなんかにぎやかになっていたような。
いかん、やっぱり記憶が少しアヤシイ。

土曜は昼まで寝て、そのあとはゆっくり過ごした。
2人でのんびり過ごす時間が本当に必要。

録画したドラマを2本ほど観て、ベッドに行ってお互いマンガを読んでたらずいぶん気が楽になった。
せいうちくんはアフロ田中シリーズを読み終えたあとは私のおススメで青池保子の「アル・カサル-王城-」全13巻を読んでいる。
前からスペインの歴史に興味のあった彼にとって、実によくできた歴史モノだそうだ。
「もう王妃は死んだ?」「もうロペス出てきた?」と始終聞かれ、「アラゴン国王の娘は」と言いかけると「ブスだよね。王は必死に隠しているけど」と答えられたりしているもんだから、
「いったいキミはこれを何度読んだの。全部覚えてるじゃないの!」と驚かれた。
読み返した回数はたぶん10回以内なんだが、キャラクターも話も強烈で、印象に残っているんだ。


少女マンガをあまり嗜まないせいうちくんにとっては「この絵を読める気がしない」だったそうだが、習うより慣れろ、すっかり青池保子のいかつい騎士たちを読めるようになったらしい。
この人、前に途中までだけど「エロイカより愛をこめて」読んでたもんな。
「青池保子はスゴイ!」とあらためて驚嘆していた。

23年2月19日

息子が新宿の小さな小屋でインプロコントライブをやるというので、土曜夜1回、日曜昼夜2回の公演のうち、日曜のを2回観ることにした。
インプロコントは脚本がなく、その場でお客さんからいただいた「お題」でいきなりコントを作るから、公演2回観ても内容は全然ちがったものになるのだ。
妻のMちゃんが夜の部を見に来るそうだから、我々が昼の部を観たあとでどこかで会って食事でもしてそれから一緒に行こう、という話になった。

20席ほどの小さなライブハウスは、たぶん下北で息子が関わっているパフォーマンスパブの関係者でいっぱいだったと思う。
顔見知りのジャズピアニストがせいうちくんに挨拶して隣に座ったし、他の人たちも見覚えがある。
夜はお店があるから、みんな昼の回を見に来てくれたんだろうな。
いつの日か、こういう「身内だけのお披露目会」みたいな様相を脱することができるのかな。

入り口で2千円払うとアンケートとA4紙を4つに切ったと思われる紙とボールペンを渡される。
あと、ガチャポンのケース。
その紙切れに何か「お題」になりそうな単語でも映画やマンガのセリフでも好きな言葉でも何でも書いて、ガチャポンケースに入れて、準備する。
開始5分ほど前に四角いプラケースを抱えた息子が舞台に出てきて、「投げるよ」というアクションをすると客席からゆるい弧を描いて飛んでくる球体を器用に受け止めていた。(1個落としたのはご愛敬)

そしてカラオケルームで1人カラオケしているメンバーNくんの小芝居から始まるステージ。
総勢7人が集合し、ガシャポンの中からお題を出し、短いコントをやる。
「この遊びに名前つけようぜ!」と1人一文字ずつ言っていくのが「イ・ン・プ・ロ・コ・ン・ト!」
ライブの始まりだ。

Nくんがガチャポンの入ったプラケースの上部に空いた穴からひとつずつ取る。
開けて、読み上げるとそれをYくんが筆で「お題」として書き上げ、舞台後ろの暗幕に貼る。
ストロボが明滅する舞台の上で7人が円陣を組む7、8秒ほど。
その間にざっくり方針を決めて「お題」に沿ったインプロコントが始まるのだ。

あいかわらずどれも即興と思えないほど面白かったが、私が書いた「天地無用」というお題の時は少し困っていたかもしれない。
コンビニの店員が宅配便の注文を受け、「天地無用で」と言われ、
「てんち…むよう…?てんちむ用?テンチムさん用に届けるってこと?」と店長に相談するがはっきりしない。
配達員が引き取りに来てさらに騒ぎは大きくなり、最後に暗幕の陰からコンビニ店長がスマホを掲げて出てきて、
「おーい、テンチム用じゃなかった。天地無用。上下さかさまにしちゃダメなんだって!」
「オレ、ずいぶん回しちゃったよ」
で暗転。終了だ。

これ、もしかして彼らは誰も「天地無用」の正しい意味に確信が持てなかったんじゃなかろうか。
そこを離れて話を作り、その間に裏でスマホで調べ、初めて正解を知って急遽オチに持っていたのではないかって疑いが離れない。
今度息子が遊びに来たら聞いてみよう。

1時間15分ほどの舞台で10個のコントが生まれた。
最後の4本ほどはお題を2枚ずつ引いてやっていたので、いっそう難度が増していた。
「ぬかづけ」と「ささみ」が一緒に出た時は会場がどよめく偶然の妙だったが、そこで「食卓モノだ!」と安堵せずに「ささみ」を敢えて「女性の名前」ととらえてきたグループのセンスには感動した。

終了後、廊下でお見送りしていた息子に「よかったよ。また夜も見せてもらうね」と声をかけ、Mちゃんとの待ち合わせ場所の星乃珈琲店に急ぐ。
けっこう新宿方面に戻っちゃうんだよね。
ただ、そのエリアまで戻らないと牛丼屋とかラーメン屋とかばっかりで、待ち合わせにふさわしい場所があまりないのでそれはそれでいい。
約束の時間20分前に到着した星乃珈琲店はものすごく混んでいた。
ボードの紙に名前と人数を書き、入店待ちスペースの椅子が空くところからまず待たねばならない。

10分後ぐらいに待ちスペースの椅子が2つ空いたので座り、Mちゃんには「すごく混んでるからゆっくり来てください」とLINEを打っておく。
16時ちょっと前にMちゃんが到着した時も、まだまだ空き席はできそうにない。
とりあえずせいうちくんの椅子をMちゃんに勧め、やがてその隣も空いたので3人とも座れて、本格的に待ちに入った。

困ったことに、お会計をして出ていく客がちらほらいるものの、2人連れが多い。
3人が座れる席はなかなか空かないようだ。
お店側でも、2人客を先にどんどん入れたいところだろうが、それやってると我々が2テーブルを寄せて座るチャンスが減ってしまうからおいそれとはできないのだろう。
たぶん広い店内に5席ぐらいは2人用席が空いただろうなー、列の進みを止めてしまってるなー、窓際でずっとおしゃべりしてるママ友らしき4人組が立ち上がってくれたら解決なんだけどなーとか思いながらひたすら待つ。

食事をしてゆっくり、とは思ったものの店を出なきゃいけない時間まであと1時間しかない、って時点でようやく4人席に案内された。
お店の側も行列が解消してほっとしたろう。
しかしその席はテーブルの脚と間のアクリル板が明らかに邪魔になる、別の席として設定された2人席2つだった。
テーブルを寄せるイメージしかなかったので、事の成り行きに途方に暮れる。
向かい合って座ったMちゃんと私はいいが、横の空間に脚を残し、アクリル板から首を伸ばして会話に参加している形のせいうちくんは気の毒だった。

幸い、それぞれのオーダー(Mちゃんはラザニア、せいうちくんは具だくさんの和風パスタ、私はオムライス。どれも600キロカロリー越えで、恐ろしい)を食べ始めてすぐに、横の2人席が空いた。
お店の人がMちゃんと私の横にテーブルをくっつけ、せいうちくんは大きく席を移動してやっと4人席のテイになった。

そこまでにも話していたのが結婚式の件。
沖縄で、家族とごく親しい数人の友人を呼んで、教会ではなく友達の紹介してくれたお店を借り切って行いたいようだ。
教会はなしか、とちょっとがっかりしたが、肝心なのはMちゃんがウェディングドレスを着るかどうかだ。
そこを確認したら「ぜひ、着たいです。レンタルを考えています」ということだったし、息子もどうやら白いタキシードを着てくれそうだ。
2人のその姿が見られれば、他のことはどう進んでもいい。

「お客様の旅費や滞在費などの部分、どうしても費用がかかるでしょうから、そこはお手伝いさせてください。もう1年今の仕事を続けることになったので、せめて稼げるお給料を使わないとなんのために働いているのか見失いそうです」とせいうちくんが懇願し、Mちゃんも「できるだけ自分たちで」とは思っていたもののやはりリゾート婚ゆえにかかる部分は心配だったらしく、「甘えていいんでしょうか。ありがとうございます」と受け止めてくれた。
これで、結婚式に関してはあとは2人に任せておいて大丈夫だろう。
元々そんなに口を出す立場でもないわけだし。

それより重大な問題なのは、Mちゃんが家事の分担などにちょっと不満を持ち始めているらしいことだ。
息子は実家にいる頃から全然身の回りのことをせず、食事は出てくるもの、洗濯物は洗い上がって引き出しに戻っているもの、使ったグラスはいつの間にか洗ってあるもの、と考えている節がある。
シェアハウスでのひとり暮らしを機に、生活まわりの家事がいかに大変か、それを我々が彼のためにし続けてくれたかがわかった、と感謝の言葉を聞いた記憶はあるが、今はMちゃんがわりと先回りしてやってくれてるので安心してしまっているらしい。

「それは良くないですよ。私が最後、彼を家から追い出したのも、寝る前に部屋に持って行った牛乳のグラスを飲み干したきりそのまま部屋に置いていたのが原因です。『せめてシンクに持ってきて水につけて。そうでないと底に白い輪っかがついちゃって、スポンジ突っ込んで洗うのが大変だから』と何度言っても聞いてもらえず、20回目ぐらいでプチンと切れました」と一気に語ると、Mちゃんは大きくうなずいた。

「寝る前に飲んでるグラスを、『洗っておいてね』って言うんですけど、『うん、寝る時に洗う』って答えが返ってきて、『ああ、洗う気がないんじゃないかな』って思うんです。実際、私が洗うことになっちゃいますし」
「まさにそれです!それは絶対やめさせなきゃいけません」

同棲期間が長かったからそのへんはクリアできてるんだと安心していたが、どうやらMちゃんは、同棲中は一緒に暮らしてるだけの他人だと思ってクールに考えていたようで、入籍して2カ月、本当に名実ともに暮らしている夫婦として、役割分担が自分にばかり片寄っていると思い始めているみたいだ。
特にMちゃんは今度、職について給料を得るようになり、忙しくなる。
それで家事のほぼ全部が自分にかかってくるのはちょっとキツイ、と。
「やっぱり、女性に仕事と家事が両方来ちゃうんですよね。これからは変わってくるんでしょうけれども…」
今の若い世代もそんな苦労をするのか。

こういう時に陥りがちなのが、「自分がやった方が早いから」「うるさく言いたくはないから」と自分の中に溜めこんでしまうことだ。
無理をしていると、いつかその無理は必ず爆発する。
その時にはもう、Mちゃんの心は息子から離れてしまっているかもしれない。
我慢が諦めと冷たい怒りに変わっていくケースはよくあると思う。
特にMちゃんは我慢強く、また他人に注文をつけて自分の思い通りにすることを良しとしない美質に恵まれているため、そうなる恐れが多分にあるのではないだろうか。

そこを少々強調して一生懸命話し、絶対ガマンしないでください、と懇願する。
幸い彼女もアフロ田中の愛読者で、イライラの溜まり切った妻がドラゴンボールばりに「大猿化」するシーンを何度も読んでいるので、理解は早かった。
「わかりました。家事の分担についてよく話し合ってみます。聞いてくれなかったら『大猿化』します!」と力強く言ってくれた。


「彼は、全然身の回りのことを気にしないんですよね。シェアハウスの最後の頃、部屋をご覧になりましたか?」と聞かれ、正直に初期しか見ていないと告げるとMちゃんはやれやれといった風情で頭を横に振った。
「ひどいものでしたよ…」
そうか、やっぱりそうだったか。
生活能力のないまま家を出してしまったのをこれほど後悔したことはない。

今日の公演が終われば明日はMちゃんも息子も休みなので、とことん話し合うそうだ。
うまく運ぶよう祈る。
「無理」と感じる前に息子に言うなり、聞いてもらえなかったら我々に言うなりしてくれるようにもよくよくお願いしておいたので、現時点で我々にできるのはこれぐらいだろう。

「聞いていただいてスッキリしました。私も間違っていました」と言うMちゃんを全面的に応援すると約束し、そろそろ開演時間なので3人で店を出てライブハウスに向かう。
驚いたのは、我々が待っている間「この人たちが店を出てくれれば」と思っていたママ友らしき4人連れがその時点でまだ同じ席でおしゃべりを続けていたことだろうか。
この星乃珈琲店では「90分ルール」とかは設けていないらしい。

我々にとっては今日2回目のインプロコントライブは、導入部こそまったく同じだったものの今回も面白かった。
前回「お題」が不足しそうだったためか、紙が2枚ずつ配られていた。
たくさんのガチャポンの中から最初はやはりひとつずつ、途中からは2個ずつ選んでいく。
中でMちゃんの書いたお題「銭湯」とせいうちくんが書いた「砂漠のはずれでひとりラジオ聴く」が同時に選ばれたのは面白い偶然。
2人の合作になるお題で、なかなか傑作なコントが出来上がっていた。

終演後、帰って息子を待つと言うMちゃんと新宿駅で別れ、我々も家路につく。
電車でも座れたし、自宅最寄駅から徒歩で帰れる幸せを満喫したよ。
いつかこのマンションをMちゃんと息子に譲る日が来るかもしれないなぁ。

帰ってから、息子に「お疲れさま」と「面白かったよ。よかったよ」とメッセージを送るついでに「家事を全部Mちゃんにやらせちゃ、ダメだよ。危険水域に達しているかもよ。あなたが思う以上にきちんと話し合ってね」と伝えておく。
今度、息子だけで泊まりに来た時に、もっとみっちりしっかり言い聞かせよう。

23年2月20日

せいうちくんがお休みを取ってくれたものの、1日事務書類作業で終わってしまった。
娘や義父の家族信託の関係で書類仕事がたまっており、ずっと書斎にこもっていたのだ。
夜になってさすがに寂しいので「もう遊ぼうよ」と言いに行ったら、いきなり涙があふれてきた。
せいうちくんは大あわてで、
「ごめん、作業に時間を取られすぎたね。1日中ほっといたもんね」とリビングに連れて行って慰めてくれたが、ここ数日、やはりいろいろ感情の負債が溜まっていたようで、なかなか収まらなかった。
睡眠負債も感情負債も、あまり溜めすぎると処理が厄介。
夜までにすっかり寂しくなった。
「失敗したよ」と痛恨のせいうちくん。

でも、せいうちくんが手渡してくれる薬をぶんっと放り投げ、部屋の隅に転がっていってカランカランと音を立てるのを拾い集めてもらう、という遊びにはずいぶん飽きてきた。
「もっと投げなよ。投げたあとで『きゅっ』と身体に戻る手の動きが面白いんだよ」と熱心に勧めてくれるが、私の中の子供はそれを楽しむ年齢よりは育って来たみたい。
せいうちくんに「育て直してもらう」のはありがたく、申し訳なく、しかし確実に2人のためになる気がする。

23年2月21日

ずっと横たわって奥浩哉の「GANTZ」全37巻読んでた。
「いぬやしき」全10巻があまりに面白かったので。
ここんとこ長編読み返しが激しい。
新しいものにもチャレンジしたいが、気力がわかない。

これではいかんような気がする。
せいうちくんと話し合い、明日の心療内科でこの窮状を訴え、どうしたらいいか、来週せいうちくんも同席の上で協議することにしてもらおうという結論になった。

先シーズンに録画しておいたドラマの中から「ユニコーンに乗って」を観始めた。面白い。
最近けっこうドラマを観ているってことは、2人の時間が取れているってことだろうなぁ。
NHKの大河ドラマ「どうする家康」と火曜ドラマ「大奥」を軸に、古いドラマをいくつも消化した。
この分だとやっぱり今期のドラマを観始めるのは次のクールが始まってからになりそう。
ほとんど全部録画しておいて、評判のよかったものだけを残して一気に観られるのが大きなメリット。(油断してるとメモリ残量ゼロで録画失敗しちゃうけど)
大河や大奥は毎回終わるたびに悶絶して次回を待ってるからなぁ。

せいうちくんは青池保子の「アル・カサル-王城-」全13巻+番外編を読み終え、これからおかざき真里の「阿・吽」を読むそうだ。
おススメ順とは言え、良いチョイス。
いろいろびっくりしたまえ。

23年2月22日

午前中から病院3連発。
朝、起きるのからめんどい。

まずはここ2週間ほど目が痛くて涙と目やにが出るので、眼科。
来月末に緑内障の検査が入っているのでそこまで待とうと思ったが、症状が悪化してきたので仕方なく行く。
何かの菌が入ったらしく、結膜炎になっているそう。
(これ、長いこと「血膜炎」だと思っていたなぁ)
抗生物質の目薬と傷んだ眼を治す目薬をもらい、2週間で使い切り。
治らなかったらまた来るようにとのこと。

続いて家から遠いけど大好きな女医さんのいる皮膚科。
先日、シミになった肌を液体窒素で治療してもらった跡がかさぶたも取れてキレイになったので、他のポイントも窒素治療。
ついでに胸の手術痕ケロイドを鎮める薬ももらう。
1か月分ずつ、3回もらえるらしい。
薬局に処方箋を預けるこのやり方は初めてだ。

目の下に冷や冷やする液体窒素を塗ってくれている推しの女医さんに、
「心臓のドクターが女医さんなんですが、シミの治療にとても興味を持っていました。腕も設備もいいって宣伝しておきました」と言うと、
「ふふっ。色の白い人はシミができやすいけど、液体窒素でけっこう取れるのよね。診断をちゃんと受けないとダメだけどね」
「色白な方なんです。今度、そう言っときます!」
「うふふっ」
ああっ、もしかしてこの女医さんはけっこう魔性なんじゃないだろうか?!

病院の合間に人気のパン屋で行列に並ぶ。
時間差で2回行って、やっとコロッケパンが3個買えた。
もっと売れてるソーセージパンは1時間後に焼けると聞いてそれぐらいに行ってみたら、出たけどあっという間に売り切れたと聞かされる。
「取り置きはできないんでしょうか」と聞くと、できるそうだ。
うーん、さっきその情報を聞いていれば…
また帰りに受け取るべく3本お願いしてお会計をし、心療内科へ。

せいうちくん留任の事情を聞いて、ドクターは「あちゃー!」と天を仰いで、渋い顔をしていた。
「だましだまし1年間、やれるでしょうか。私は全然自信がないんですが」と聞くと、もっと渋い顔になって、
「だましだまし、なんてできないですよ。こないだもダンナさんが来た時に言ったでしょう、夫が離れたら、奥さんは死ぬか、病院に入るかどっちかですよ」と。
「会社に行く、ってのも『離れる』ことになるんでしょうか」
「なります。もう閑職に回ると言うから、じゃあ何とかなるかなと思ったんです」
「彼は、自分は何としても受け止める、という決意を示したつもりらしいですが、会社を辞めるわけにもいかず、なんとか先生のお力を借りてやっていきたいそうです。来週、じかにお話ししたいと言っていましたが、予約は取れますか?」と聞くと、それは応じてくれるって。

「この問題だけでもストレスだろうから」と、当面、薬を増やして乗り切ることになった。
「長期は出せません。病院の方にペナルティが課せられる恐れがあります。薬局の方にはお金が出るけど、その分を国が出してくれないから病院がかぶることになる。僕と、ダンナさんがそれぞれのリスクを負い、頑張って乗り切らないといけない」
「そう言われると、私も何か頑張らないと、って思うんですが…」
「あなたは頑張っちゃいけないんだよ。そこを頑張らないでくださいよ」
ありがたい言葉だが、難しいなぁ。

「経済的にかなり楽になり、自分たちの老後ばかりか息子を助けることもできるかも、って思うんです。そこは誘惑です。あと、どうしても慰留を受けないでくれと言った場合、自分が夫に無理を言った、という罪悪感が発生します。そこらへんのプラスマイナスが難しすぎます」
「ダンナさんが本当にワークライフバランスを考えて、仕事を5割ぐらいに留めることができるか、そばにいられるよう毎日テレワークできるか、その辺を上の人に吞んでもらわないと無理だね。できないなら、医者として僕はゴーサインを出せません」
かなり厳しい条件だ。
とりあえず今度せいうちくんと一緒に来て話し合ってもらおう。

帰り道、ソーセージパンを取りに寄る。
並ばないで入店し、レジにも並ばずに声かけていいって言われてたからそうしたら、快く割り込ませてくれたご夫婦がソーセージパン見て「うわー、長い!」と驚いていたので、
「美味しいですよ!すぐ売り切れちゃうんで、予約しておいたんです」とお節介を言う。
ちょうどレジ前に半分に切ったやつがまだ数本残っていたんで、
「これが、その半分です!」と言って店を出たが、さて、あのご夫婦はソーセージパンの半分カットを買ったかなぁ。
食べたら美味しさにびっくりすると思うよ。絶対リピーターになる。

家の近所の薬局でアプリ送信しておいた薬をまとめて受け取る。
3件一発解決。スッキリ!
アプリ送信してなかった頃の自分がバカみたいだ。
薬局の中央でスマホを持ってアプリ宣伝を叫びたい。

23年2月23日

祝日でお休みだった。
前夜に早く寝たせいか、新しくもらった睡眠薬がよく効くいいものだったせいか、朝の6時に気持ちよーく目が覚めた。
一服していたらせいうちくんも起きてきた。

そこから休日の醍醐味「二度寝」を楽しみ、起きてもまだ8時過ぎ。
昨日買ってきておいたパン類を食べて朝ごはんとし、のんびり「大奥」録画を出た。
三浦義村、ここで脱がないのか!と番組違いの応援をしつつ満足して終わった。

「大奥」は三代将軍家光、五代将軍綱吉、八代将軍吉宗にフォーカスを当てながら1クールで幕末までを駆け抜けると聞いていたが、好評のためか、秋クールに第二部を放送するそうだ。
その中では「赤面疱瘡」と戦う医師・青沼や平賀源内他が活躍して、番組自体は幕末に導かれるらしい。
狂喜乱舞してはいるが、オランダ人との混血医師・青沼と男装の女性戯作者その他何でも屋の平賀源内については誰が演じても満足できる気がしない。
原作中、一番好きな部分なのだ。原作が神。(黒木も気になる~)

テレビ観賞のあとは買ってから延ばし延ばしにしていた「ウクライナ製木製地図」の制作に取り掛かる。
付属の大雑把な世界地図を見ながら大陸や国のパーツを壁に貼りつけていく。
この粘着テープがけっこう強力で、最初、位置を直そうとしていったん剝がしたら下の壁紙の表面も一緒に剥がれてきた。
もうこのマンションはリフォームなしには売れない。
二度と間違えないように慎重に作業を進める。



主な大陸や国を貼り終わって、2枚の薄板にまとめられた島々の不要な部分を割り除きながら切り出していく。
粘着シールを別貼りしてつける大陸と違って、板全体の裏に白いシールがついている。
島を割り取って、裏の台紙を剥がせば壁につく仕組みだ。
こちらは粘着力が弱いので位置を直しても壁紙は剥がれてこなかった。

日本なんか「JAPAN」と焼き印されたのぺーっとした細長いカタマリなだけで何もついてないという評判をレビューで読んでいたから、「やはりヨーロッパの人々にとって極東なんてどうでもいいところなんだろう」とぶつくさ言っていたら、実は北海道のピースもあったし四国と九州に至っては別に小さいビニール袋に入れてくれていた。しかも2セット。

どうやら最初は苦情が殺到したので、あとから四国と九州だけ別に入れてくれるようになったらしい。
なんとか日本国の体を成した。
もちろん佐渡島とか小豆島とか沖縄とかその辺はいっさいない。
北方領土ですら無視だ。
愛知県民としては伊勢湾がない本州は情趣に欠けると言わざるを得ない。

諸島はまとめてひとつのピースになっていたり、島によってはお手本の地図に載っていないものもある。
スマホでグーグルさんの助けを借りて位置決めをし、貼っていく。
フィリピンやセイシェルは我々にとって意外な場所にあり、イースター島も想像の外だった。
デカいパーツだったアイスランドの位置を知らなかった私はもちろん大いに恥じ入ったが、地理に詳しいつもりのせいうちくんも地中海の中の島の位置関係などはちょっと想定外だったようだ。

お互い、大陸移動説に納得しながら大陸の沿岸に島を配置し、「こことここは海を隔ててこんなに近いのか。戦争が起こるわけだ」と思い、ウクライナとトルコの位置関係を把握して「今、カッパドキアに行くのは無理」と納得した。
実に楽しく、学びのある時間だった。
正味1時間以上かかっただろうか。

しかし出来上がりはたいそう素敵で、壁が華やかになった。
大きな壁面はプロジェクタのスクリーンにする関係で使えなくて、ダイニング横の小さなスペースを使ったが、前面にでーんと押し出すより食卓に座って初めて気づくようなかえって奥ゆかしい作りになったのは幸い。
絵をかけていた頃よりも、部屋の品格が上がった気がするほどだ。
赤っぽい茶のグラディエーションの国々が、部屋の基本カラーも引き立ててくれている。


もうちょっと飾りのパーツをつけて完成だが、両面テープを買ってくるまで見送りだ。
「僕はこれ以上何もつけたくないぐらいだよ。すごくいい感じだ。いいものを見つけてくれてありがとう」
「あなたがお金を出してくれたからだよ。どうもありがとう」と2人でずっと見とれていた。

行った場所を示す飛行機型のピン(12個セット)を販売しているが、それより国旗・州旗のピンのセット(230数個入り)を買って、行ったことがある国にはこのピンをつけよう、と話がまとまった。
せいうちくんが小さい頃住んでいたし新婚旅行でも行ったシンガポール、その時バスで国境を越えたマレーシア、年越しクルーズで行ったグァム・サイパン、初のヨーロッパ体験のイタリア、私が英語の勉強をしに行ったカリフォルニア州とコネチカット州、それに息子がコントを学びに行ったニューヨーク州にもつけられるなぁ。
いや、まず日本につけよう。

もちろんこれから訪れる国があればピンをつける。
コロナで失っていた旅行への気力がいきなりわいてくるようだ。
多くの国を訪ねるのが楽しみだ。
地中海クルーズとか行くと、ずいぶんたくさんの場所にピンが立てられるぞ!
ああ、本当にいい買い物だった。
ウクライナ支援の気持ちも込めて、買ってみてよかった!

少し本を読んで、せいうちくんが今読んでいるおかざき真里の「阿・吽」の画質に不満があるようなので特に良くない数巻を入手しに散歩も兼ねてブックオフへ行く。
歩くとけっこう遠いのだ。
欲しい「阿・吽」は1冊を除いて見つかったので買おうとカゴに入れてから、自分のスマホメモに別の巻がメモしてあるのに気づいた。
家のマンガリストを詳細に見てみたら、なんと私は途中で一度買い直して精度の高いスキャンをしている。
せいうちくんの言う最初の方より、むしろ終了間近の巻を買い直して精密スキャンをかけたかったようだ。

店内で文庫本を物色しているせいうち句を探してそう言うと、
「そうか!僕のデータは古いんだ。読もうと思ったのがずいぶん前で、iPadに入れたままだった。だからキミが更新したデータは入ってなかったんだ。無駄な買い物をするところだった」と冷や汗をぬぐっていた。

外からでも家の本棚を見られるようにしたため、何を持っているかいないかの判別が簡単になり、さらにはデータ量も見られるのであまりに精度低くスキャンしてしまった過去のものは買い直すことも多い。
あと、渡辺航の「弱虫ペダル」のように途中まで全巻ドットコムで買ってそれ以降忘れており、最近読み始めたようなものを最新巻まで追いつかせないといけない。
欠落もあるので10冊ぐらいしか買えず、残りはAmazonの古書になった。
最新巻に近いところを20巻近く買うと全体で(Amazon送料も含めて)1万円近くなる。
こういう贅沢は今しかできまい。

そもそもいつ読むかわからないマンガをずっと最新巻で買い続けている場合がたくさんあり、顕著なのが「キングダム」なのだが、これは30巻を超えた頃から何度読んでも最新巻が出るたびに中身を忘れているのに気づく。
終わって一気に読むのでなければ無理だ。
こういうのは終了してから2年ぐらい待って全巻で買った方がずっとずっと安くあがるのではないか、と首をかしげながら、今回も最新巻を買ってしまった。
「キングダム」ほど長いのは珍しいにしろ、こういうケースは多い。
全巻出てから評判を知ってそろえた「鋼の錬金術師」や「進撃の巨人」がいかに安くついたか…

「ゴールデンカムイ」や「大奥」みたいに長年買い続けた気に入りの作がついに最終巻を迎えた時の「1冊1冊、最新巻を買い続けた」重みは何物にも代えがたい喜びではあり、金銭的なもったいなさは雲散霧消してしまうのでいいんだけどね。


せいうちくんの仕事のお友達から私の大好きなクラブハリエのバウムクーヘンの包みが届いた。
箱の大きさから、「ミニバウムの18個入りかな?27個入りってことはないよな?」とか推測してたんだが、まさかのホール、巨大なひとつの輪っか、丈が10センチ以上もあるような代物だった!
あらためて感謝を持って食べさせていただいたが、世の中にクラブハリエのバウムクーヘンぐらい美味しいものがあるだろうか。
少なくとも私の脳内の甘いもの世界観上は、堂々たる帝国を築いている。
(しょっぱい食べ物世界ではまた別の順位やヒエラルキーがあるだろうが)

23年2月24日

明日は年に1度の上から下からの内視鏡検査の日だ。
今日1日は病院で買わされた検査食を食べ、夜は下剤を飲み、そしてクライマックス、明日は完全絶食で早朝から2リットルの下剤を2時間かけて飲まなくてはならない。
特に苦しい思いをしたことはないが、友人たちの報告によると病院に着くまで便意が止まらず看護師さんを押しのけて待合室のトイレに飛び込んだ者(本人談:「死ぬかと思った」)、腹痛が激しくてトイレにこもったまま出られなくなり、ほうほうの体で病院に「検査行くの無理です」と連絡を入れた者(本人談:「死ぬかと思った」)、皆さんいろんな苦労をしているようなので、少しだけ緊張するなぁ。


ただ、私はわりと下剤の効きが早くて軽いので、2時間淡々と自分が「水を入れて、水を出す、ただのチューブ」になっていくのを観察しているだけで、特に痛かったとか苦しんだとかいう記憶はない。
ひたすら「人間は良い筒たれ」というせいうちくんお気に入りの名言を思い出している。

今日の食生活及び就寝時間などに注意を払うのが面倒くさいね。
息子には一応、「母さん、土曜日に内視鏡検査(心配のいらない、ただの定期検診)を受けるから、早起きするとか下剤のむとかの関係で金曜夜のお泊まりは引き受けかねます」と知らせておいて、彼からも「わかった!お大事に」と返事が来ているから息子の急襲を受けることはないだろう。
日常において、実はこれが実は一番怖い。



ふるさと納税の返礼品、「あまおういちご大福」が冷凍で届いた。8個入り。
先日、息子妻のMちゃんと「いちご大福、おいしいですよね!」って話をしたから、彼らにも食べさせたいなぁ。
息子はそのうち訪ねてくるかもしれないが、Mちゃんには難しい?
冷凍だから、いつか可能かな。
そもそも今日は食事制限があるので私だって食べられない。
冷凍庫にしまって、よだれを流すのみ。

息子が「検査は明日だっけ?」と言ってきたので「今日は検査食。明日は朝の5時間から2時間かけて2リットルの下剤を飲む(涙)」と返したら、「僕もついてるよ!」と謎のフォロー。
そばにいて、病院に連れてってくれるのはせいうちくんなんだが…まあ、気は心の親孝行、ってことで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?