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日記。
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2023年9月の記事一覧

初心者

覆いをとった顔をよく見たい、夜じゃなくて明るいところで。兄弟のような者のこと、運よく生まれつき与えられた愛の形は簡単に思い浮かべることができるのに、ずっと遠くから憧れてきただけの子の形はなにひとつ知らなかったんだな、三日月の内側で指を切っても痛くない、まだ不慣れな夜道の手をひいてみたい。

アスファルトに張り付いた若葉マーク。
最近よく見かける。
駐車場のはしっこで見つけて、今度こそどこに張り付い

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言葉遊び「母音調和ごっこ」

今日は言葉で遊んでみようと思います。言葉遊びというとダジャレや回文などがありますね。今回遊んでいくのは「母音調和ごっこ」です。

このゲームをしているうちに母音調和とはなにかだんだんとわかるようになりますので、母音調和がなんなのかわからなくても大丈夫です。

(日本語の祖となる言語に母音調和があったかどうか、日本語が母音調和のあった他言語と言語的接触があったかどうかは、まあ普通に考えてあったんでし

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器用ね

30キロほど自転車をこいだあと、15キロほどまえにさようならをした友人から言葉が届いた。

それに対して、自転車を漕ぎすぎて今、臀部が痛くなってきました、休憩をしていますよと返信した。東京と隣の県をつなぐ橋を越え、見知った町にたどりついたころだった。

「左右のケツを使い分けている」とふざけて言った。しかし友人は、私もそれを駆使しながらあなたと並走していましたがね、とあたりまえに言った。

左右の

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りんごを切ったよ

たべたいものもなく、ただのどだけがかわいていた。スーパーに寄って、青いりんごを買った。帰ってすぐに切った、じぶんのために切った、そして食べた、じぶんのために食べた。

集合住宅の共用の通路で若い男とすれ違った、まだ子供のようにも見える。もう私は、成人しているだろうがまだ尚子供であるというような年齢の人を見かけるような歳になった。そういう人を見ると、ちゃんと食べていますか、部屋の掃除は得意ですか、汗

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信念と反対に雨は強くなる。駅までたどり着くときには、涙を袖で拭いながら歩いた日が何度かあったはずなのに、どのとき、どこで、なにについて泣いて歩いていたときだったか思いだせない人生の希薄さだけが服を着て歩いていることに気づく。一貫性のない煙、頭髪から顔面に伝ってくる雨水を拭っては御茶ノ水のビル街、拭っては御茶ノ水の人々、濡れて重くなった服が情けない今までのかたちをして歩いている。

傘は、絶対に止む

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