りんごを切ったよ

たべたいものもなく、ただのどだけがかわいていた。スーパーに寄って、青いりんごを買った。帰ってすぐに切った、じぶんのために切った、そして食べた、じぶんのために食べた。

集合住宅の共用の通路で若い男とすれ違った、まだ子供のようにも見える。もう私は、成人しているだろうがまだ尚子供であるというような年齢の人を見かけるような歳になった。そういう人を見ると、ちゃんと食べていますか、部屋の掃除は得意ですか、汗で汚れた布やシーツを晒す方法を知っていますか、そういう気持ちになる。

これで今年は梨も、ぶどうも、りんごもたべたことになる。ぼくの手のなかにはいつのまにかうさぎになったりんごがあった。この切りかたというのはひとに食わすためのものだから、じぶんのためにこんなことをしているのはおかしい、無意識にぼくは、だれかのためだと思ってじぶんを生かしている。誰かのためだと思いたいわけです。

青いりんごは爽やかな味でよかった。
久しぶりに会えた人の風しもに立って水を感じて赤面できたからこの人生はまあまあいい。

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻