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林真理子「奇跡」:この本が伝えたかったことは...

前回に続いて Audible の聴き放題で出会って、印象に残った本紹介します。

林真理子さんの「奇跡」。
この本は不倫を題材にちょっとセンセーショナルに書き出されます。

梨園の妻と世界的に有名な写真家との関係、なんと実話。当事者の女性とママ友であった林さんが執筆を依頼されたそうで、迷った末に引き受けることにされたと。小説の最初の方は、惹かれ合い愛し合う二人の描写が中心で、読みながらドキドキしたり、どうしてここまで自信に満ちて公表できるのだろうかと驚いたりするばかりでした。
でも中盤から後半読み進めていくうちに、この本はそれだけではないのだなと思い始めました。不倫という題材で世間の興味を引きつつ、本当に世間に向けて伝えたかったことがあるのではないかと。

その中心は梨園の不条理さ。男の人の不倫は芸の肥やしとして黙認されている一方、女の人の不倫は絶対に許されない、そしてひたすら夫や家を支え縁の下の力持ちに徹して当然という世界。
そのことへの疑問を当事者として、どうしても世間に伝えたかった。そんな気迫が感じられました。

この思いがあったからこそ、林真理子さんも執筆を引き受けたのではないかと想像します。ただの不倫の告白なら、二人の世界どうぞご自由に、ご自分でお書きになってください、となったのではないかと。

以上、いつものこのブログのテーマからそれましたが、
テーマに沿う学びもありました。主人公の女性は自分の決めたことに対してものすごく自分に厳しく、計画的に、努力してやり遂げる面を持っています。「自分の人生を生きる」ためにはそういう姿勢も必要だと、改めて思いました。audibleで出会った本、またまた世界を広げてくれました。



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