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026 論理② MECE

今回は「少し考えただけで『分かる』ようになる考え方」、つまり「分解のやり方」がテーマです。

うまく分けるコツ

前回「私たちが何かに対して『分からない』と言うときは、上手く『分けられなかった』だけ」とご説明しました。では、うまく分けるには何が必要でしょう。中には「才能」や「センス」が必要と考えるかもしれませんが、それは難易度の高い対象に限定される話で、多くは才能やセンスなしに対応が可能です。たとえば「AランチとBランチ、どっちが得だろう?」という疑問を解消するのに、そのふたつは必要ないのです。

では、そのふたつの代わりに何が必要かと言えば、多くの人が手に入れられる「ちょっとしたコツ」です。そのコツは誰もが(訓練すれば)習得できるものであり、実際、世界中の多くの人がこれを習得し、仕事に役立てています。そしてそのコツには「MECE」という英語の名前が付けられています。

MECEとは?

MECEと書いて「ミーシーと読みます。これは「Mutually Exclusive, (and) Collectively Exhaustive」の頭文字を取ったもので、直訳すると「相互に排他的で、完全な全体集合」という意味になります。ただ、これでは何のことだかサッパリ分からないので、日本では「モレなくダブリなく(モレなしダブリなし)という意訳が知られています。
※ 以前は「ミッシー」と呼ぶ人も多かったのですが、最近では「ミーシー」と伸ばして呼ぶ人が殆どだと観測されます

さてここで、次の図をご覧ください。

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社員の出身地を分類するときに、たとえば左端のように「日本出身+海外出身」に分けるとします。出身地には、そもそも日本出身と海外出身以外はあり得ませんので、全社員を正しく分けることができます(社員が「どこ出身なのかが分かった」と言うことができます)。しかし、もし左から二番目のように「日本出身と海外出身と男性」の三つのグループに分けたとしたら、どうでしょう。日本人男性を日本出身グループに入れればいいのか、男性グループに入れればいいのか、その両方に入れればいいのか…が分からなくなってしまいます。

では、左から三番目の「日本出身+欧米出身」ならどうでしょう。アフリカ大陸出身の人など、その他の地域の人はどのグループにも入れられなくなってしまいます。さらに最後(右端)の「日本出身+関東出身」のように分けてしまうと、海外出身の人をどこにも入れられないだけでなく、関東出身の日本人もどちらに入れてよいのか分かりません。

つまり、左端以外は分け方がMECEではないため、うまく分けられず、その結果「分からない」状態となっているのです。そしてこれは、今後もし「分からない」対象に遭遇したなら「うまく分けられていない」だけで、おそらくMECEに分けることに失敗しただけ。言い換えれば、MECEに分けることさえできれば、答えが「分かる」筈… ということを意味しています。

MECEっぽさ

しかしながら、必ずしも「完璧にMECEに分けなければ分からない」という訳ではありません。私たちが生きているのは、0か1かのデジタルの世界ではなく、0 から 1 までの間に 0.1 も 0.2 もあるアナログの世界、グラデーションの世界です。つまり、MECEっぽく分ければ分けるほど「より分かる」ようになるだけ…なのです。

もちろん完璧にMECEに分けるに越したことはありませんが、(そうでなければ)なんとなくMECEっぽい…というレベルに近付ける努力をするだけで充分です。少なくとも手も足も出せずに「分からない」と諦めてしまうより、MECEっぽさの実現努力をした分だけ、より多く「分かる」方がマシだからです。

では「どうすればMECEに分けられるのか?」が気になるところですが、それはまた次回に譲ることとして、今回はクイズで終わりたいと思います。

クイズです。
ページのトップ画像 左端にいるスーツ姿の2人は、1〜6 のどのエリアに入るのが良いでしょう?

[参考]これまで&これからの記事

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