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東京オリンピックの競歩・マラソン種目の札幌移転は正しかったのか

みなさんはどう思うだろう。実際に現場にいたものとして、感じたところを話したい。

1 気温について

​今回、札幌移転となった理由は気温。東京では暑すぎるということで札幌移転となったわけだが、今年の札幌は暑かった。競歩・マラソン日程の週は連日30℃越え。東京とほぼ変わらない気温だった。

となると、世間は『なぜ札幌にしたのだ。東京で良かったではないか。』となる。

しかし、それは結果論である。今の札幌の最低気温は15℃、最高気温は25℃前後である。1週間ずれていれば、最高の気候だった。そうなっていれば、世間は『札幌に移転して良かったね。』となるだろうし、もし仮に東京で開催し、札幌の気温が涼しかったということになれば、『なぜ、札幌にしなかった!』となるだろう。

気候のことはわからない。その時点でのベストな判断をするしかない。そういったところでは、開催地移転の判断はやはり正しかったと思う。

2 女子マラソンスタートの1時間繰り上げについて

これには、本当に驚いた。現場の人間でさえ、知らされたのは前日の19時。競技者に関してはさらにその後ということだから、競技開始10時間を切っていたのではないだろうか。これについても賛否両論ある。

ただ、これもやはり正しかったと思う。

この日開催された男子50km競歩。競技開始は朝5時半。にも関わらずリタイアが続出した。結果だけを見ればリタイアとしか分からないが、その様子はとても酷かった。フラフラになり、支えられたり車いすに乗せられた状態で次々と医務室やリカバリールームに運び込まれていく。歩き切った選手たちもフラフラでやってきて立ち上がれない。あまりにも悲惨な状況だった。

おそらく、その状況を見て判断したのだろう。それなら前もって変えるべきだというのは最もだと思うが、できる限りスケジュール通りに進めたかったのだろうし、実際に現状を見ないと判断するのは難しかったと思う。

そして、やはり結果的には、1時間の繰り上げは正しかったと思う。

1時間繰り上げたにも関わらず、女子マラソンでもリタイアが続出。救急搬送も出ていたし、リタイア者は次々と医務室に運ばれていった。これを時間通りに実施していたら、もっとリタイアが出ていただろう。そして、世間からもやはり非難されただろう。


3 札幌移転は正しい判断だった

様々な意見があるが、今回の札幌移転は正しい判断だったと思う。東京でやっていないから比較はできないが、最善のことはできたと思う。それが現場で感じたことだ。


4 最後に 

オリンピックに関する報道について、思うことを書きたい。

オリンピックについて、様々な批判が出ている。目にする記事はほとんどが批判記事だ。だが、現場は必死だ。無事にこのオリンピックを終えるために最善を考えて行動し、全員が協力して成し遂げようとしている。

朝の1時半に起床し、2時過ぎには会場に入り、作業を進める。組織委員会の人たちは2日間ほぼ寝ずに働いていた。しかし、そんなことは全く報道されない。なぜなら、それが当たり前だから。成功して当たり前。成功のためにどんな努力がなされているかは興味がない。どれだけの人が支えているかは興味がない。たとえ99%成功していても、1%の失敗があれば、メディアはその1%を100%かのようにして報道する。まさに恐怖本能を利用された例だ。

報道されていることは、ごくごく一部のことで、多くは恐怖本能やネガティブ本能、過大視本能を狙ったものだということを是非知っておいて欲しい。

24日からパラリンピックが始まる。是非、現場の人間の努力に目を向けて見て欲しいと思う。


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