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ぼくが初期費用・広告費ゼロでブランドを立ち上げた方法。2年→2ヶ月

こんにちは、チルスナ兄さんこと、平松寛基です。

CBDのお菓子に特化したブランド『Conscious』を立ち上げ、クラウドファンディングサイト「Makuake」にて、270個以上の商品を売り上げることに成功しました。資金調達とテストマーケティングが目的でした。

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よく驚かれたのですが、このブランドをリリースするまでにかかった時間はわずか2か月ほどです。初期費用・広告費はゼロ円。(厳密にはクリエイティブを手伝ってくれた方に少しお支払いしています)そして、このプロジェクトは、たった1人で始めたプロジェクトでした。

『これがおれの仕事や。と言えるまでに2年かかった』でもお伝えしたとおり、ぼくは、大学休学中の2019年10月1日に2回目の就職活動で頂いた内定を辞退しました。そして、その1年後の2020年9月29日(卒業の2日前)、『Conscious』というブランドを立ち上げたのでした。

内定辞退をしてからの1年間は、事業を起こそうとしても上手くいかず、学費も払えず、笑っちゃうくらい最悪な日々を過ごしました。(大人なのにめっちゃ泣いた)

なので、ここで何が言いたいのかというと、

ぼくは、何者でもないあなたの悶々とした日々のことを理解できます。あなたが自分で事業を起こすために、このnoteを参考にしてくれると嬉しい。

ということです。

今回のnoteでは、ぼくがクラウドファンディングを使って事業を始めるまでに学んだことを盛り込みます。勉強してきた内容が今回の事業に活きていると思っているので、その内容を詰め込みました!(3万文字)

多くの人が、事業を始めることを難しく考えていると思います。しかし、「こういう理由でこの事業は成功するだろう」という仮説をもって臨めば、飲み会の幹事をやるくらいには簡単でした。(借金がある人はそれを支払い終わってからこれを読んでください)

チルスナ兄さんは、このクラウドファンディングは目標金額を達成できるという確信がありました。その根拠についても、長々とお話します。

・市場選択
・営業方法
・クラウドファンディングで重要な施策
・SNSの運用方法
・共感して頂くためのストーリーテリング基本
・コピーライティング見出しの型
など、細かいこともお伝えできれば、と思います。

過去の自分にむけて、説明します。フツーであることを崇拝している没個性な大人たちが、きっと、あなたのことをたくさん笑います。でも、あなたが結果を出したとたんに、みんなは手の平を返すはずです。

「結果がすべてであり、結果に表れるのは過程だ!」

ぼくは、あなたを応援します。レッツゴー。

目次
①前提知識
1-1 売れるとは何か
1-2 クラウドファンディングとは
1-3 ブランドとは何か(静岡和牛の話)
1-4 あなたがやる理由と目的(最重要)

②商品の作り方
2-1 OEMとは何か
2-2 流行りに乗るのではなく、流行を抽象化してマクロの流れをつかむ
2-3 STP「セグメント・ターゲット・ポジション」
2-4 3C・未充足ニーズ「買って頂ける理由(KBF)は何か」
2-5 ニッチトップを目指すのが定石
③ブランディング
3-1 知覚価値に合わせたクリエイティブで一貫させる
3-2 デザインの基本「○○○で○○○○○○なデザイン」
3-3 チルスナ兄さんがプレゼント企画をやらない理由
3-4 ストーリーテリングの基本構文「5つの順番を守るだけ」
④マーケティング
4-1 プライシングは戦略次第
4-2 コピーライティングこの17個を押さえておけばOK
4-3 SNS運用方法「UGCを生み出す企画」
4-4 フォロワーを増やす/ファンを増やすツイート
4-5 ブログメディアに記事を寄稿する(親和性の高いメディアを選ぶ)
4-6 言葉を作るという戦略「お笑い第7世代」「NoCode」
4-7 商品の特徴はベネフィットの裏付けにしか使わない
⑤クラウドファンディング
5-1 プラットフォーム選び「コンセプトとターゲットで選ぶ」
5-2 成功者に聞いたクラウドファンディングで最も効果が上がる施策3選
5-3 スタートする前の準備が勝負を決めている
⑥最後に
6-1 あなたの人生の目的は何か。

①前提知識
1-1 売れるとは何か

もしあなたが自分の商品・サービスを作ろうと思うなら、まずはここから考えるべきです。あなたは、お金が支払われるという現象について整理しておく必要があります。

なぜなら、これを理解していないがゆえに、ニーズのない商品を作ってしまう人があまりにも多いからです。もしくは、利益を積むことに後ろめたさを感じてか、「利益は重視していません」などとワケの分からないことを言ってしまうひともいるでしょう。

ぼくは、「お金儲けは汚い」という空気感に媚びる「利益を重視していません」というセリフに毎度うんざりしてしまいます。なぜなら、本来、利益を出すということは尊いことだからです。

利益を出すことに後ろめたさを感じる人や、お金の話はきたないと感じてしまう人は必ず読み進めて欲しいです。ここで説明することが理解できれば、お金を稼ぐことはいいことだと分かるはずです。

相反する概念ではないものを比較するのは時間の無駄です。例えば、「お金を稼ぐこと」よりも「社会貢献」のほうが大切かな~なんて言っている人がいます。チルスナ兄さんに言わせれば、お金を稼ぐこと=社会貢献です。

これから会社員すら自分の事業をもつ時代に突入します。おせっかいかもしれませんが、お金や商売に対する感覚はアップデートした方がよいかもしれません。

「売れるとは何か」
馬鹿にしないで真剣に読んでみてください。

お客さんはなぜ商品・サービスにお金を支払うのでしょうか。

おにぎりを買う。銭湯に行く。
塾に通う。デザイナーさんを雇う。

お金が支払われる場面はいろいろありますが、ここで起こっている出来事は単なる「お金と商品の交換」ではありません。もう少し考えてみてください。お客さんは商品を購入することで、何を得ているでしょうか。。


答え合わせをします。(商売をやっている人にとっては、当たり前すぎることかもしれませんが、ご容赦ください、。)


お客さんが商品・サービスにお金を支払うのは、支払った金額以上の価値を得るためです。ここでいう価値とは大きく分けて4種類あります。金銭的価値・感情的価値・身体的価値・精神的価値です。

例えば、チルスナ兄さんがデザイナーさんにデザインを作ってもらい、お金を支払ったとします。この時チルスナ兄さんは彼のデザインとお金を交換したのではありません。彼のデザインが、支払った以上のお金を稼ぎだしてくれるからお金を支払うのです。つまり、得られるであろう金銭的価値にお金を支払いました。

銭湯にお金を支払うのは、得られるであろう精神的価値を得るためです。ストレスがすっきりと晴れて、明日からもっと頑張れるかもしれません。

日向坂46の映画を観に行くのは、得られるであろう感情的価値を得るためです。感動がしたいからお金を支払いました。プロテインにお金を支払うのは、得られるであろう身体的価値を得るためと言えるでしょう。空腹を満たすためにおにぎりを買うのも身体的価値との交換と言えるかもしれません。

この分類はどうでもいいのですが、ここで伝えたいことは、お客さんは商品のコストにお金を支払っているのではないということです。得られるであろう価値に投資しているわけです。

つまり、商品が売れるという現象は、
「商品が与える価値(金銭的価値・感情的価値・身体的価値・精神的価値)がお金と交換されること」だと説明できます。(「ブランドとは何か」を理解する上でとても大切な概念なので1-3まで覚えておいてください)

あなたが商品・サービスを持ちたいのなら、その商品・サービスがお客さんに与える価値は何なのかを先に言語化するべきです。商品・サービス自体は価値提供の手段にすぎません。(お客さんに言わせれば投資機会のひとつにすぎません)

そして、あなたが商品・サービスのオーナーになるのであれば、「値下げキャンペーン」ばかりするのではなく、定価でも継続的に買っていただく努力を怠ってはいけません。つまり、商品がお客さんに与える金銭的価値・感情的価値・身体的価値・精神的価値を向上させることに注力する方が、長期的にみて合理的です。

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重要なのは、商品がお客さんに与える価値です。
それがなければ商品は絶対に売れません!

そのため、事業を起こす際には「何を作るか」よりも先に、「誰に」「どんな価値を与えるか」を考えましょう。ニーズのない商品が誕生してしまう原因は、上位の概念がすっぽり抜け落ちているからです。もしくは、見当違いだからです。

あなたの商品は、誰にどんな価値を与えるのですか?考えてみてください。
そこからビジネスは始まります。

※)ちなみに、「商品・サービス使用前後でお客さんの生活がどう変化するのか」をベネフィットと呼びます。このnoteで頻出するので覚えておいてください。
※)市場で「誰が」「どんな価値を必要としているか」を理解する必要もあります。(2-2~2-5にて、その方法について詳しく説明します)

まとめ
・お買い物はすべて投資と捉えられる
・売れるとは「商品が与える価値(金銭的価値・感情的価値・身体的価値・精神的価値)がお金と交換されること」
・つまり利益は価値提供の証だ
・商品・サービスを持つということはお客さんに投資の機会を提供するということ
・「何を作るか」より先に「誰に」「どんな価値を与えるか」考える

1-2 クラウドファンディングとは

クラウドファンディングについても説明しておきます。クラウドファンディングには寄付型、購入型、投資型とタイプはいくつかあるのですが、最も一般的なのは購入型クラウドファンディングです。今回は購入型クラウドファンディングについてご説明します。

チルスナ兄さんが初期費用ゼロ円で事業を始められたのは、クラウドファンディングのおかげです。なぜなら、クラウドファンディングを使えば、仕入れる前に販売をすることができるからです。

多くの人がクラウドファンディングとは寄付のようなものだと勘違いしており、「ソーシャルグッドな要素がないといけない」「壮絶なストーリーがなければ購入いただけない」などと心配してなかなか始めません。しかし、購入型クラウドファンディングとはただの先行販売です

Amazonのように商品を購入できるお買い物プラットフォームがあり、そこに販売ページを掲載するにすぎません。掲載費は無料で、クラウドファンディングが終了した後は、集まった金額からプラットフォームに手数料を支払うビジネスモデルです。

なので、商品さえ作れたらリスクゼロで誰でも開始できます。製造にお金がかかる商品の場合は、その見積もりを取り、「クラウドファンディングで見積もり金額以上の売り上げが立てば発注する」という約束を交わせば準備完了です。

これでゼロ円起業ができます。

但し、何度も言いますが、ニーズのない商品をリリースして「これがしたいです!お金を恵んでください!」では必ず失敗します。なぜなら、購入型クラウドファンディングは寄付じゃないからです

「お金を恵んでください!」で成功するのは、信用のある企業や著名人、もしくは子どもがやる場合に限ります(その場合においては、お金を支払うことで自尊心が満たされるなどの精神的価値・その人の願いが実現するというドラマに感情的価値を得られるからです)

しかし、何者でもない僕たちがクラウドファンディングに挑戦するなら、「買ってください」なんて絶対に言うべきではありません。いくらクラウドファンディングとは言え、商売です。友達に買ってくれなどと懇願するのは、失礼なので、やめましょう。(チルスナ兄さんは昔これで失敗した)

また、売れていると思ってもらうために自分で自分の商品を購入するという方法があるみたいですが、ダサいことはやめてください。もっと他にやることがあるはずです。

本質を見誤ってはいけません。お客さんにとって価値ある商品を作り、お客さんにとって価値があることを正しく訴求出来たら、その商品は売れる運命にあります。

また、資金が十分にある方であっても、新しく商品やサービスを始めるならばクラウドファンディングをおすすめします。なぜなら、クラウドファンディングには、資金調達以外のメリットがいくつかあるからです。

1.認知拡大
一つは、認知の拡大です。クラウドファンディング(例えばマクアケ)の会員数は100万人を遥かに超えています。自分のSNSだけでは認知をとれなかった人に存在を知ってもらうことができるはずです。ニッチな商材は特に親和性が高いでしょう。

2.テストマーケティング
「誰が」「どのような価値」を求めているという仮説が、自分の商品によって満たされているかどうかを確認できます。購入者がどのような人か、何をきっかけに買ってくれたのかが明確になってきます。自分の仮説は正しかったかをチェックし、商品開発や訴求方法の改善に繋げましょう。

3.実績がブランドの権威になる
「クラウドファンディング達成」が看板のような役割を果たします。個人ブランドは探せばたくさんありますが、実績を示しにくいという欠点があります。クラウドファンディングに成功した場合、オフィシャルな実績という印象を少なからず与えてくれることでしょう。

クラウドファンディングが超便利だと理解していただけたでしょうか?初期費用ゼロ・広告費ゼロで始めるならクラウドファンディングを使いましょう。

商品を作る以外にも、例えば「スペースを借りてイベントを開く」などでも初期費用ゼロ円で始められます。なぜなら、売上を使ってスペース料金を支払えばいいからです。

まとめ
・クラウドファンディングがあれば売上を使って仕入れることができるので、リスクゼロ。
・クラウドファンディングは寄付じゃない。ただの先行販売。だから、商品に価値がなければ売れない。(商品の価値を訴求できなければ売れない)
・認知拡大、テストマーケティング、実績作りにもつかえるので便利

1-3 ブランドとは何か

ここまでの話はブランドを説明するのに重要な前提知識でした。ここからは、そもそもブランドとは何かを説明していきます。

突然ですが、日本で一番おいしいとされている牛肉は何でしょうか?
よく聞く牛肉は、近江牛とか、飛騨牛とか、松坂牛とかだと思いますが…。


正解は、静岡和牛です。


一番おいしいとされているにもかかわらず、「静岡和牛」なんて聞いたことがなかったのではないでしょうか。なんのイメージも思い浮かばないですよね。

一方で、「松坂牛」「飛騨牛」「近江牛」などと聞くとピンク色のつやつやと輝く霜降り肉の映像が頭に浮かぶはずです。その映像は、どんな言葉と関連していますか?「高級」「贅沢」「高揚感」などでしょうか。

この違いこそがブランドの違いです。

そして、ブランドの違いが値段にも影響を与えています。ご想像の通り、ブランド牛は高いです。つまり、ブランドは、高くても売れる要因になっているわけです。なぜブランドがあれば高くても売れるのか。1-1の「売れるとは何か」を読んだあなたならもう理解できるはずです。

それは、そのブランド牛を購入することで得られるであろう精神的価値・感情的価値について、あなたは既に知っているからです。(先ほど思い浮かんだ言葉「高級」「贅沢」「高揚感」などがそれです。)

チルスナ兄さんは、ブランディングを次のように定義します。「商品・サービスに特定のイメージを関連させて、商品がお客さんに与える精神的価値・感情的価値を表現すること」

ブランドとは、商品自体のコストに関係のない要素で表現された、商品・サービスが与える精神的価値・感情的価値そのものです。

ここで話している内容は、「支払われるお金は商品のコストによって決まる」と考えている人には理解できないと思います。「ぼったくりだ」などと言うことになるかもしれません。

例えば、コストで価格を定義している人に「マクドナルドのコーヒーは100円なのに、スターバックスのコーヒーが300円なのはなぜですか?」と尋ねると、「スタバの方がおいしいから」「スタバの方が高品質だから」などと答えるでしょう。しかし、そうとは限りません。

あなたがスタバに300円を支払うのは、あなたが既に「スタバ」のコーヒーによって得られる精神的価値・感情的価値について知っているからです。店のコンセプトや店内の雰囲気など、あらゆる要素があなたの想起する「スタバ」のイメージに影響を与えており、商品の価値が向上しているのです。

ここまでが、「ブランドとは何か」に関する基本的なお話でした。「お客さんは商品のコストにお金を支払っているのではない。」という言葉の意味が分かってきたでしょうか。(わからなければ、1-1をもう一度読んでください。)

商品が売れるためには、その商品がもたらす精神的価値・感情的価値を最大限お客さんに伝えなくてはなりません。それを担うのがブランドです。

ブランドは、最もキャッシュフローが大きい無形資産のひとつです。ブランドの築き方が分かれば、商品を継続的に購入して頂くための打ち手が増えるのではないでしょうか。(詳しいやり方については3章でお話します)

※)キャッシュフローとは、モノが生み出すお金のことです。流動性の低い資産ほどキャッシュフローが大きいといわれています。最もキャッシュフローが小さい資産は、最も流動性が高い資産である「現金」です。
※)流動性とは、現金への変わりやすさのことです。流動性の高い資産を、流動性の低い資産に回すほうが長期的に見て合理的だとチルスナ兄さんは考えています。自分の持っている目に見えない資産について、考えてみるのもいいかもしれません。

まとめ
・ブランディングとは、「商品・サービスに特定のイメージを関連させて、商品がお客さんに与える精神的価値・感情的価値を表現すること」
・商品が売れるためには、その商品がもたらす精神的価値・感情的価値を最大限お客さんに伝えなくてはならない。それを担うのがブランド。
・ブランドは最もキャッシュフローの大きい無形資産のひとつ(あなどるべからず!)

1-4 あなたがそれをやる理由と目的(最重要)

1-1 では、「何を作るか」の前に、「誰に」「どんな価値を与えるか」を言語化した方が良いと説明しました。

もうひとつ前に大切なのは、事業の目的「なんのためにやるのか」だとチルスナ兄さんは考えています。それに加えて、あなたがやる理由「他ではなく何故あなたなのか」を一緒に伝えることが大切です。例えば、以下のようなものです。

〇事業の目的(コンセプト)=『窮屈な社会からの逃げ場つくる』
〇あなたがやる理由=内定辞退した後、人と比べて自分のことが情けなくなり、数か月間塞ぎこんだことがある。同じように生きづらさを感じている人に「あなたはあなたで大丈夫」と伝える仕事がしたいと思ったから。
(詳しくは『これがおれの仕事や。』を読んでみてください)

このように「事業の目的」と「あなたがやる理由」は、きちんと言葉にすることが大切です。その理由は二つあります。

1.差別化要素を作ることができるから
同じ分野の商品であれば、どの商品もだいたい同じレベルの品質に落ち着きます。なぜなら、情報がこれほど早く回る時代において、情報の非対称性で参入障壁を築くことはほぼ不可能だからです。同品質の商品で安売り競争をしないためにも、商品自体の品質を向上させる以外の差別化要素を作っておく必要があります。あなたの一貫した事業目的が商品のコンセプトになり、お客さんが商品を選ぶ理由を作ることができます。(これはスタバのコーヒーが100円にならなくても選ばれるのと同じです)

2.事業の目的(コンセプト)こそ商品のベネフィットを伝えるものだから
ブランディングとは「商品・サービスに特定のイメージを関連させて、商品がお客さんに与える精神的価値・感情的価値を表現すること」という説明をしました。
実は、事業目的(コンセプト)こそが、商品を使用することでどんな精神的・感情的価値が得られるのかを表現しています。例えば、『窮屈な社会からの逃げ場をつくる』という事業目的(コンセプト)は、「安心」「焦りからの解放」「心の回復」といった精神的・感情的価値を表現しています。ベネフィット(商品使用前後でお客さんが得られるであろう変化)をメッセージに乗せて既にお知らせしているわけです。つまり、事業目的(コンセプト)をはっきりさせること自体がブランディングなのです。

上記のように、事業の目的(コンセプト)は、商品の価値向上に大きな役割を果たしています。「安心」「焦りからの解放」「心の回復」などの言葉は、意識にはのぼらないかもしれませんが、必ずお客さんに伝わっています。(まるで、ブランド牛に関連する言葉が「高揚感」「贅沢」「高級」等だと僕たちが既に知っていたのと同じように…。)

実は、商品のデザインや映像制作、キャッチコピーにも同様の仕掛けが徹底的に施されています。与える精神的価値をベースにクリエイティブを作るのが基本です。チルスナ兄さんは、これが得意です。(詳しいクリエイティブの作り方については3章で詳しくお話します)

そして、「あなたがやる理由」は、「事業の目的」がただの言葉ではなく、リアルで切実な望みであることを伝えるのに重要な役割を果たしています。(こちらも詳しくはストーリーテリングの場でお話いたします。)

まとめ
・ブランドを作るにあたっては、「なんのために」「なぜあなたがやるのか」を明確にする。市場が成熟したとき商品の品質以外の価値も向上させておくことで、差別化要素を作ることができる。
・事業の目的(コンセプト)(なんのためにやるのか)を明確にすることが、商品の価値を向上させている。なぜなら、実は、コンセプトこそ、商品がもたらす精神的・感情的価値を伝えているから。
・「あなたがやる理由」は事業の目的に現実感を与えるために大きな役割を果たしている。

大切な前提知識はここまでです!ここまでのお話は、クライアントワークをしている方やサラリーマンの方が、より上流のお仕事に携わる際にも、参考にして頂けるのではないかと思っております。(商品企画や新規事業など)

最も伝えたいのは、「あなたが苦労したかどうかはお客さんには全く関係のないことだ。」ということです。これを機にコストで価値を計ろうとするのはやめましょう☆

ここから先は、事業を起こそうと考えている方・起こしている方に向けて書きました。具体的な商品の作り方~クラウドファンディングを達成し商品化するまでのことを詳細にお伝えします。リスクゼロで自分の事業を持ちたいと思っている人が、ロードマップのような形で参考にして下さると嬉しいです。

2年間人生を放浪した自分だからこそ、伝えられることがきっとあります。
これを読んだら2か月で事業を起こしてください。

ここからの目次
②商品の作り方
2-1 OEMとは何か
2-2 流行りに乗るのではなく、流行を抽象化してマクロの流れをつかむ
2-3 STP「セグメント・ターゲット・ポジション」
2-4 3C・未充足ニーズ「買って頂ける理由(KBF)は何か」
2-5 ニッチトップを目指すのが定石
③ブランディング
3-1 知覚価値に合わせたクリエイティブで一貫させる
3-2 デザインの基本「○○○で○○○○○○なデザイン」
3-3 チルスナ兄さんがプレゼント企画をやらない理由
3-4 ストーリーテリングの基本構文「5つの順番を守るだけ」
④マーケティング
4-1 プライシングは戦略次第
4-2 コピーライティングこの17個を押さえておけばOK
4-3 SNS運用方法「UGCを生み出す企画」
4-4 フォロワーを増やす/ファンを増やすツイート
4-5 ブログメディアに記事を寄稿する(親和性の高いメディアを選ぶ)
4-6 言葉を作るという戦略「お笑い第7世代」「NoCode」
4-7 商品の特徴はベネフィットの裏付けにしか使わない
⑤クラウドファンディング
5-1 プラットフォーム選び「コンセプトとターゲットで選ぶ」
5-2 成功者に聞いたクラウドファンディングで最も効果が上がる施策3選
5-3 スタートする前の準備が勝負を決めている
⑥最後に
6-1 あなたの人生の目的は何か。

それでは行きましょう!

②商品の作り方
2-1 OEMとは何か

まずは、OEMとは何かを確認します。OEMとは、生産能力を持った企業が他社ブランド製品を製造する契約のことです。業務委託契約のひとつで、最近は企業と個人間で結ばれることが増えてきました。

この契約は双方にとってメリットがあります。製造を委託するぼくたち個人は、企業に製造をお任せすることで工場設備等を持たずに商品開発ができ、ブランドが成長したら大量生産も可能になります。受託する企業側は生産量が増え、委託側の発注が続けば継続的に利益を得ることができます。

OEMで双方が懸念するべき点は次のような場合についてです。

・委託側のブランド(ぼくたちのブランド)が、受託側のもつブランド(企業のブランド)の競合になる可能性。
・委託側のブランディング・販売に継続性がなく、いっぺん限りの関係で終わる可能性。(企業は、ノウハウが流出するリスクや契約にかかる手間をかけてまで契約しているにもかかわらず、大した利益がもたらされなかったらきっと残念だと思います。)

なので、OEMの営業をする際に気を付けることは以下二つです。

1.自分たちのブランドが成長しても企業側のブランドと競合になり得ない理由を説明する。
例えば、他のブランドにはない独自の世界観やコンセプトを構想しておくのが大切です。そのために、提案の段階から、「市場を絞る。ターゲットを絞る。販路を絞る。」ことは決めておきましょう。チルスナ兄さんがCBDの中でもお菓子の市場に特化したのは、独自のブランドを築くためです。特定の市場に絞ることは機会損失ではありません。むしろ、「強いブランドを築く」・「大手と競合しない」ために最適な方法です(詳しくは2-6でもお話します)
参考にするデザインイメージや仮のターゲット像なども伝えると理解してもらいやすいでしょう。
2.継続的にお付き合いしたいと思っている誠意を伝える。
ここでも事業目的やなぜこれがしたいのかについて、簡単に説明することができるとよいでしょう。その人に大した実績がなくても、クラウドファンディングを成功させて継続的に発注してくれるのではないかと思ってもらうことが大切です。

OEMができる企業はインターネットで探せば無限に出てきます。生産能力のある企業はホームページに大抵「OEMのご相談はこちら」といったお問い合わせフォームがあります。

デメリットが生じないように気を付けさえすれば、OEMはお互いにとってメリットのある契約です。あまり身構えずに気軽に問い合わせてみましょう。とりあえず、勇気を出して問い合わせてみることです。

まとめ
・OEMのやり方は「企業のホームページから申し込んで提案する」だけ
・継続的に発注する意思があることと、ブランドが成長しても競合にならない理由を伝えよう。
・お互いにデメリットはないので気軽にトライしてみよう。(誠実に)

2-2 流行りに乗るのではなく、流行を抽象化してマクロの流れをつかむ

ここからは、どの業界の、どの市場でビジネスをするのかを考えるのに参考にしてほしい話です。長期的にその業界でビジネスをしようと思うのであれば、マクロな流れに乗るイメージで事業を行うとよいでしょう。なぜなら、大きく緩やかな流れの方が確度が高いからです。

商品が誰にどのような価値を与えられるかは、売れるまでの間、仮説でしかありません。しかし、大衆が全体としてどのような価値を求めているかは、社会の変化を見れば、事前になんとなく分かるはずです。

例えば、サウナが流行っていますが、流行った理由はきっとストレス社会だからです。ここ数年で流行った「筋トレ、瞑想、ヨガ、マインドフルネス、ミニマリスト」などは、「ストレス社会に対抗して個人が精神的な豊かさを求めている」という世の中のマクロな流れを象徴していると思いませんか?チルスナ兄さんはそう思いました。

(ちなみに、コロナの影響で国内のお菓子市場が伸びていることも、CBD商品の中でリキッドやオイルの次に成長規模が見込めるのはエディブル(食品)であることも海外市場を見ればわかります。)

社会風潮的にも、市場規模的にも、「心の健康を守るCBDのお菓子」という商品の訴求をすれば、伸びる可能性が十分あると、始める前から既に分かっていたわけです。(更に言えば、法律的にも数年以内に追い風が来るのではないかとみています)

このように、社会全体の流れを読み、本質的な価値を商品に乗せて訴求するのがおすすめです。

社会風潮をつかむには、様々な具体的流行を抽象化(法則化)することが大切です。①を見て「なぜ?」と考え、②を自分の中で理解しておくということです。そうすると、③のように、求められている価値を商品に乗せやすくなります。

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他にも、例えば、近年「情けない男」な感じの歌が流行りました。(『香水』『Pretender』など)一方で「女性が男性を手のひらの上で転がすようなイメージ」も流行っています。(『あざとくて何が悪いの?』など)

これらは、男女差別社会の反動として流行った現象だとチルスナ兄さんは考えています(抽象化)。なので、商品に転用するべきポイントは、「男女差別を忘れさせてくれる爽快さ」「男女の対等な友情関係」「女性の男性的要素、男性の女性的要素(これらはとても短絡的な表現です)」「強い女性像・弱い男性像(これらも短絡的な表現です)」「中性性」などではないかと考えられます。

フワちゃんが売れた理由も、メンズメイクが流行る理由もこの法則に当てはまっています。

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正しいか正しくないかはさておき、様々な流行の共通点を抽象的な言葉に置き換えて、大衆の潜在的欲求をつかむことが大切です。確度の高いマクロの流れに乗りましょう。

そうすれば、手段は変われど本質的な価値提供ができるはずです。「この流行はどんな社会現象なのか」と考えて、必要な要素を商品に盛り込むことが大切です。

例えば、皆さんは『鬼滅の刃』が流行ったのは、どんな社会を象徴していると思いますか?見た人がいれば、教えてください!

まとめ
・社会風潮、市場規模、法律などマクロの変化を見ておく(テクノロジーも)
・社会的な風潮を読む方法は、具体的な流行を抽象化する
・社会が求めている要素だと考えられるものを商品に織り込む

2-3 STP「セグメント・ターゲット・ポジション」

お客さんは誰なのかによって、商品や訴求方法が変わってくるはずです。

1.
セグメンテーションとは、顧客を同質なニーズを持ったグループに分けることです。性別、年齢、などもそうですが、趣味や趣向で分けるとより商品に反映しやすい特徴をつかむことができます。また、利用する状況によってもセグメントを切ることができるでしょう。

・ヨガや瞑想を日常的にやっている方。マインドフルネスな方。
・かつてスポーツをやっていて睡眠の質や身体の健康状態をチェックする習慣がついている方。
・サウナが好きな経営者。
・無印良品などが好きで丁寧な暮らしに関心があるオーガニックな女性。
・サブカルっぽいのが好きで少しオタク気質な女性。
・ヒップホップが好きな方。もともとCBDを知っていて興味を持ってた人たち。
・精神的な不安や、睡眠に不満を抱えている自覚がある人たち(躁うつ気質、不眠症気質など)

同じ分野の商品でもいろんなタイプのお客さんが買ってくれる可能性を秘めてるなあと分かってくるはずです。
2.
ターゲティングとは、いくつかあるセグメントの中から規模競合状況成長性リーチできるかどうかを見て、どの市場を狙うかを決めることです。商品を買ってくれたお客さんの層をチェックして修正すればいいので、狙えそうなセグメントをいくつかざっくり押さえておきましょう。

例えば、ヒップホップが好きな人たちやレゲエが好きな人たち(アンダーグラウンド)をターゲットにするには、競合が多く、ぼく自身がリーチできる層じゃないのもあって、やめました。(マリファナを知っている人たちと同じターゲットを狙うのは無理がありました。)

その代わり、スポーツしていたことや、躁鬱・不眠に詳しいこともあったので、リーチしやすく、成長規模が見込めるウェルネス・マインドフルネスの文脈に沿ったお客さんをターゲットにすると決めました。(新しく出てくるブランドはどれもウェルネス文脈の訴求だった。)

狙わない層、狙う層をはっきりさせておくことが大切です。そうすることで、商品開発や訴求方法の方針がぶれずに済みます。
3.
ポジショニングとは、顧客の頭の中で自社商品がどのように位置づけられるか、を決めることです。商品がCBDのお菓子のときは、

緊張するときにかむガムのような存在?
タバコの代わりような存在?
GABAチョコレートのような存在?

特別な日に食べるものか日常的に食べるものか…
プラスをもっとプラスにするものかマイナスをプラスにするものか…
朝に食べるものか夜に食べるものか…
平日か休日か…
など明確に位置付けるのが良いです。

チルスナ兄さんは、「サウナのお供に」「がっつり休むと決めた休日に」「平日の夜、ご飯を食べた後の何もせずにたたずむあの時間に」など、日常のプラスをもっとプラスに。という感じの位置づけになるよう訴求することにしました。

他のブランドは、マイナスをプラスにする位置づけの訴求が多いか、生活を想像させる訴求を全くしていないか、そのどちらかしかなかったからです。

ただ、STPは、販売状況を見るまでそれがベストかどうかわかりません。さらに市場がどうなっているのかを知らなければ、どれが自分にとってベストな選択なのかもわからないはずです。

ざっくりと構想しておき、その業界の先輩経営者たちの話を聞きに行きましょう。クラウドファンディングでやるのであれば、STPはざっくりでもいいと思います。

まとめ
・セグメントを切って、狙えそうなターゲットを知っておく。
・その人たちの頭の中でどのようにいちづけられるのかを想定しておく。


2-4 3C・未充足ニーズ「買って頂ける理由(KBF)は何か」

3Cとは、お客さん(Consumer)・他者(Competitor)・自社(Company)です。その3つであることは理解しているけれど、その他のことはなにも理解していない、という人が多い印象があります。3C分析をする目的は、お客さんが求めている価値と他社が提供している価値との間に、未充足ニーズを発見することにあります。

ターゲット層が広がっている業界においては、たいてい新しい層のお客さんのニーズを満たせていません。例えば、CBDのターゲット層でいうとヒップホップ界隈で人気だったものがウェルネスの文脈で語られつつある過渡期にありました。

そんな中、新しいターゲット層は電子タバコのような煙に抵抗がある人が多いということや、海外ブランドが多くデザインがあまり好ましくないということが分かってきました(売れていない要素、これを直せばより売れるんじゃないかという要素を整理する

また、創業者が個人のSNSアカウントでブランディングをしているブランドが人気だったり、成分含有量が多い商品にはコアなファンが多いことなども分かってきました。(売れる要素、これがあるから売れているんだろうという要素を整理する

このように、他社が満たせていないであろうお客さんのニーズを、自社の商品で満たす目的で3C分析をしましょう。「これがあるから買う」という要素(Key Buying Factor)が未充足ではないかを調べるのに3C分析はとても重要になります。

手順は以下です。
1.他社製品やお客さんを徹底的に調べ、事実を押さえる(こういう商品が売れている・こういうお客さんが増えてきた、などです)
2.そこから得られる示唆を整理する(お客さんと他社との間に、もっと売れるための要素・現状売れていない理由などがないか考える)
3.自社の商品や訴求方法を決める(他社よりもお客さんのニーズを満たせる要素はこれだ!などです)

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まとめ
・3C分析をする目的は、お客さんが求めている価値と他社が提供している価値との間に、未充足ニーズを発見すること
・「これがあるから買う」を他社ブランドの良いところや悪いところを参考に仮説立てる。
・他社よりもお客さんのニーズを満たす、自社のやり方を決める

2-5 ニッチトップを目指すのが定石

個人でブランドを立ち上げるならニッチな領域で事業を始め、トップになることを考えるのが大切です。その理由は2つあります。

1.資本ある企業と競合したくないから
同じような商品のラインナップで、スケール競争になったら資本のある方が早く市場をとってしまいます。なので、商品数やターゲットや市場を絞ることで選ばれる理由を作ることが大切です。(「ケーキ屋さん」で戦うのはまだ早い!「モンブラン」とかに絞ったらどうかな。という話です。)
例えば、モンブランが好きな人は、
・大手ケーキ屋さんのモンブラン
・モンブランに特化した個人ブランドのモンブラン
があった場合、後者を選ぶ人が多いのではないでしょうか。デザインが洗練されていれば、専門性が高そうに感じるし、何より自尊心が満たされます。ショートケーキが食べたいお客さんには選ばれませんが、モンブランに特化するだけでモンブランの市場はとりやすくなるはずです。大手ケーキ屋さんは競合になり得ません。
2.領域を狭めることで第一想起を起こしやすくなるから
「(領域)と言えば?」でいち早く思い浮かぶもののことを第一想起と呼びます。(例えば「マッチングアプリと言えば?」で思いついたのはなんですか?ティンダーとかですか?それが第一想起です)ブランドがお客さんの第一想起に入るのはとても難しいといわれていますが、市場を絞ることでそれが少しは簡単になるはずです。
例えば、「ケーキのブランドと言えば?」では思いつかなくても、「チーズケーキのブランドと言えば?」と聞かれたら、『Mr.CHEESECAKE』というD2Cブランドの名前を思い浮かべる人がいるかもしれません。
このように、ニッチな領域に絞ることで第一想起のブランドに育ちやすくなります。ある程度の市場規模があり、きょうごうがいない領域でブランドを立ち上げてみましょう。

ここで留意するべきことは、ニッチな領域に絞ったのであれば、その領域のラインナップをいち早く揃え、誰よりもその領域について詳しくならなければ選ばれないということです。世界観を伝え続け、唯一無二の価値提供をし続けることが大切です。他社製品と比べられないようなブランドを目指しましょう。

最近、漬物のD2Cブランド見つけました。ニッチですね。

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まとめ
・ニッチトップを目指す。なぜなら、資本ある企業と競合したくないから。
・ニッチトップを目指す。なぜなら、第一想起に入る強いブランドになる必要があるから。
・領域でトップの商品開発を目指しつつ、ブランドが目指す世界を伝え続ける。

③ブランディング

3-1 知覚価値に合わせたクリエイティブで一貫させる

ブランドのクリエイティブに関するお話です。デザインをかっこよくするだけでは、ブランディングとは言いません。前提知識でお伝えした通り、ブランディングとは「商品・サービスに特定のイメージを関連させて、商品がお客さんに与える精神的価値・感情的価値を表現すること」です。

商品によって得られる知覚価値(精神的価値・感情的価値)を、ロゴ、音楽、映像、画像、パッケージデザインなど、五感で識別できる全てを通して表現します。

手順をお伝えします。

1.まず、商品によって得られる知覚価値(精神的価値・感情的価値)を言葉にします。商品によってお客さんはどんな変化を得られるでしょうか。(例えば、チルスナ兄さんの商品の場合、「リラックス」「心の回復」「焦りからの解放」などです(内緒だよ))
2.それらの知覚価値を表現するクリエイティブ(コピー、映像、音楽、デザイン)を作りこみます。五感で識別するすべてが商品のブランドに影響しています。商品を置く店舗の雰囲気やECサイトのデザイン、商品をお勧めする人の雰囲気までも、お客さんが商品によって得られる精神的価値に影響を与えます。

・コピー
商品がお客さんにどんな感情の変化を与えるのか、を表現します。お客さんが自分事としてとらえてくれるよう、ターゲットがよく使う言葉を取り入れるようにしたり、社会風潮をとらえた表現を使ったりすると有効です。自分事と捉えてもらうことは、商品によってお客さんが得られる精神的価値・感情的価値を最大限に伝えるためにとても大切です。

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・映像
ブランディングムービーでは、精神的・感情的価値が似ている体験を撮るとよいです。例えば、商品による知覚価値を「リラックス」と決めたのであれば、昼寝、目覚めの背伸び、コーヒー、音楽(ギター)、読書、サウナなどのシーンを撮ります。モデルさんには、ターゲットのペルソナにできるだけ近い人を起用し、商品によって得られる知覚価値を表情やしぐさで表現してもらいます。お客さんが映像をみた時、「自分がこの商品を使うとこんな気持ちになるのだな」と感じることが出来たらブランディング成功です。

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・音楽
音楽も知覚価値に合わせて作ります。かっこよければいいってものではありません。知覚価値に沿ったBGMを使うようにします。チルスナ兄さんは、DJさん(トラックメイカー)に「【リラックス・心の回復】というテーマで音楽を作って下さい」とお願いしました。

・お店
イメージが付くとは思いますが、洗練されたデザインの商品を作ったとしても、「ドン・キホーテ」などの店舗に置かれているだけでブランドの価値を毀損します。販路を広げる努力は必要ですが、ぐちゃぐちゃなお店には置かないようにしましょう。(これは「ドン・キホーテ」の悪口を言っているのではありません)

・人
ブランドの世界観に微塵も共感もしていない、フォロワーが多いだけのインフルエンサーには、自社商品を紹介させないことです。お客さんがそのインフルエンサーに抱いている感情が、商品に対して抱く印象にも影響を与えます。つまり、フォロワーが1万人いるアカウントであってもエンゲージメントが低いのであれば、商品を紹介してもらったところでブランディング的には全く価値がないということです。

このように、商品以外の要素もブランドに大きな影響を与えるので覚えておきましょう。

まとめ
・ブランディングのやり方は、「商品に関して五感で識別できるあらゆる要素を、商品によって得られる知覚価値(精神的価値・感情的価値)に合わせる」。
・商品のクリエイティブだけでなく、ブランドオーナーやインフルエンサー、アフィリエイター、店舗内装なども、お客さんが商品に抱く価値に影響を与える。気を付けて販路を広げること。

3-2 デザインの基本「○○○で○○○○○○なデザイン」

デザインはブランドの成功事例を参考にするとどのようなデザインにするのが良いかわかってくるはずです。例えば、

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商品デザインは「モダンでユニセックスなデザイン」を作っておけば大きな間違いはないかと思われます。要素を出来るだけ削って、洗練させましょう。

ブランドをリリースする前に想定しているターゲットは、仮説でしかありません。想定していなかったお客さんが興味を持ってくれる可能性もあります。なので、デザインがブランディングの邪魔をしてしまわないよう、特定の人に深く刺すデザインより、多くの人に刺さるデザインを心がけるのが良いです。

特定のお客さんに向けて作られたデザイン(例えばレゲエ調や濃いピンク色などを基調にしたものなど)が、機会損失になる可能性があります。

使う色も重要です。どうやら色の中には、安物っぽい印象の色と洗練された印象の色があります。色使いには十分に気を付けるべきでしょう。(色の種類は印象で決めればよいですが、濃ゆすぎたり明るすぎたりすると、安っぽいです(下図))

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「明確な理由がない場合は色を使わない」くらいの気持ちで臨んだ方が洗練されたデザインになるかもしれません。

また、デザインに使う要素は出来る限り削った方が良いです。基本は白と黒だけを使い、フォントとほんの少しのカラーだけで表現するようなデザインが好ましいです。英語フォントは「Futura」「Helvetica」「Avenir」など、日本語フォントは「ヒラギノ角ゴ」などが、洗練された印象・無難にモダンな印象を与えてくれるそうです。(チルスナ兄さんはヒラギノ角ゴシックがお気に入り)

ターゲットがまだ明確でない段階においては、うまくいっているD2Cブランドのデザインを真似てみるべきです。「モダンでユニセックスなデザイン」を心がけてみてください!

まとめ
・特定のターゲットを意識したデザインよりも、「モダンにユニセックスに」始めてみる。
・要素は削る。洗練された印象を与えるのがよい(商材が与える知覚価値によってどのような印象を与えるべきかは変わります)

3-3 チルスナ兄さんがプレゼント企画をやらない理由

ここで話すことは、チルスナ兄さんが個人的に思っていることです。なので、僕が間違っている可能性もあります。そんなこと考えている人もいるのか~、くらいの軽い気持ちで読んでいただけると嬉しく思います。

チルスナ兄さんは、プレゼント企画をやりません。なぜなら、プレゼント企画を繰り返すとブランドの価値を損なうと考えているからです。

確かに、プレゼント企画で拡散されれば、認知は広まるかもしれません。しかし、無料だから拡散されたにすぎず、その認知自体は本質的に商品の価値を向上させていません。ただ拡散されるだけでは、商品の価値を何も伝えられていないということです。

もし、プレゼント企画によって、商品の価値向上が見込めるのであれば、教えて頂けると嬉しく思います。

例えば、誰かがお金配りキャンペーンをリツイートしているのを見ると、チルスナ兄さんは「くだらねえ~~」って思ってしまいます。(人それぞれだと思いますので、ぼくがズレている可能性もあります。)

商品が無料プレゼント欲しさに拡散されたとき、それを見た人が「くだらねえ~~」と思ったら、その人が商品に感じる価値が同様に下がります。

それならば、「誰かの拡散を見て拡散をしなかった人の数」と「その人たちが商品に抱く印象の変化」に注目するべきだと思いませんか。その人たちが商品に抱く印象はどのように変化しているでしょうか。

ぼくのような「くだらねえ~~」と思っちゃうタイプの人たちが一定数いるとするならば、無料プレゼントキャンペーンは、ブランドを毀損する打ち手だと思うのです。

プレゼントキャンペーンをするにも、拡散する人・拡散を見た人が商品のベネフィットを感じてしまうような企画でなければ、ブランド的には無価値だとわきまえるべきでしょう。(4章でUGCの話をします)

まとめ
・プレゼント企画はやらない
・拡散する人も拡散を見た人もワクワクしてしまうような企画のほうが効果あるはず

3-4 ストーリーテリングの基本構文「5つの順番を守るだけ」

ブランディングとは、「商品・サービスに特定のイメージを関連させて、商品がお客さんに与える精神的価値・感情的価値を表現すること」と定義しました。

ブランドの目指す世界が創業者の人生とどのように繋がっているのかを伝えることで、お客さんは商品によって得られる価値を確信できるようになるはずです。

創業者の想いに共感して頂くことは、商品自体の質と同じくらい大切です。(よくある議論ですが、どちらが大切か?の答えは「どちらも大切」です。なぜなら、どちらも商品の価値を向上させるものだからです)

ストーリーテリングは、以下の基本構文を守ると伝わりやすくなります。

共感してもらうためのストーリーテリングやり方5ステップ
1.名前と変えたいこと、パッション
2.ストーリーのスタート地点
3.原体験の中身
4.その結果の自分の感情、行動、意思(決意)
5.今のパッションと理想の世界

例えば、こんな感じです。
1.私の名前は○○です。~を変えたいです。~に情熱があります。
2.ある日、~こんなことがありました。(きっかけとなるエピソード)
3.こうでした。そして、こんなことがありました。そして、……。(体験について説明する)
4.それらを通して、こんな気持ちになりました。それから、~をしました。それから、~を決意しました。
5.何がしたいです。こんな世界に変えてやりたい。

この順番を守るだけでブランドの目指す世界がお客さんに伝わるはずです。いわば創業者とお客さんとの強い約束としてブランドの価値が伝わるはずです。(『これがおれの仕事や。と言えるまでに2年かかった』)

*但し、悲壮感が出すぎないように気をつけてください。あんまり悲しい話はひいちゃいます。

まとめ
1.名前と変えたいこと、パッション
2.ストーリーのスタート地点
3.原体験の中身
4.その結果の自分の感情、行動、意思(決意)
5.今のパッションと理想の世界

の順番を意識して想いを伝える

④マーケティング
4-1 プライシングは戦略次第

ここでは、価格を決定する方法についてお話していきます。

価格の決め方は、大きく分けると3種類あります。

1.原価志向(コスト)
原価や仕入れ値に一定数の利益を乗せて設定する方法です。
2.競争志向(マーケット)
競合と比べて安く販売したり平均価格に合わせる方法です。
3.需要志向(カスタマーバリュー)
売れる価格帯を発見し、設定する方法です。(知覚価値価格設定)

1.
価格は原価率をもとに決めるべきものではない、とあなたは既に理解しているはずです。なぜなら、何度も言いますが、お客さんは商品のコストにお金を支払っているのではないからです。

2.
では、マーケットに合わせた平均価格を設定するべきでしょうか?チルスナ兄さんは、結果的にマーケット価格になることは構わないですが、マーケットに合わせるのはイマイチだと思っています。なぜなら、お客さんが得られる精神的価値・感情的価値を伝えられているかどうか(ブランディング出来ているかどうか)は、商品によって異なるからです。どうして、ポールスミスとしまむらの洋服が同じ価格にならなければならないのでしょうか。という話です。(サントリーとDHCのサプリメントもそうです。)

3.
カスタマーバリューをもとに価格を設定しましょう。お客さんが商品よって得られる価値をもとに価格を決めるということです。あなたがブランドオーナーなのであれば、商品によって得られる価値(金銭的価値・身体的価値・感情的価値・精神的価値)について最大限お客さんに伝え、それをもって売れる価格に設定するのが望ましいです。(知覚価値価格設定といいます)

上記を覚えておいてください。

更に、新しい商品の価格設定をするときは、商品の市場への浸透具合によっても使い分けるべきです。

新しいものが市場にどのように浸透していくのかを表わしたイノベーター理論というものがあります。新しいものは以下のように広がります。

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簡単に説明すると、「新しい」に価値を感じて買ってくれる人たちが初期市場(イノベーター、アーリーアダプターを合わせた15%)、「安心」に価値を感じて買ってくれる人たちをメインストリーム(アーリーマジョリティ以降)といい、その2つの間にある溝を超えることが重要だという話です。(キャズム理論といいます。)

これを見て、自分の商品の市場は現状どのような状況にあるのかをもとに、価格戦略を決定しましょう。

・スキミングプライシング(上層吸収)
まだ商品がそれほど浸透していないけれど一定数のイノベーターが存在しているような市場、かつ、マーケットシェアが競争優位にそれほど大きな影響を与えない市場において、早期回収を目的とした高価格戦略です。市場の浸透に合わせて価格を下げていくスタンスをとります。
・ペネトレーションプライシング(市場浸透)
商品の品質に差がなくなってきた市場において、商品の早期普及・市場拡大・シェア獲得を目的とした低価格戦略です。中長期的に収益化する戦略で、初期は投資過多になりやすく、大手が採用しやすい戦略です。

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資金が潤沢にない方は、「赤字を掘ってでも低価格でスケールさせて真っ先に市場をとってやろう」という戦略をなかなかとれないと思います。また、市場がまだ成熟していない状態で低価格戦略をするのも失敗します。

なので、ニッチな、マーケットシェアの拡大を急がない市場において、スキミングプライシングを採用するのが個人ブランドのやり方・弱者のやり方ではないかとチルスナ兄さんは考えています。

その代わりに価値提供を怠ってはいけません。
・商品販売前は、商品の差別化要素ベネフィットを伝える。
・商品販売後は、情報特典をつけたりアフターサービスを充実させる。
など、商品の価値は商品以外の要素でいくらでも向上させることができます。

まとめ
・コストでもなく、マーケットでもなく、カスタマーバリューで価格を決める。(知覚価値価格設定)
・市場の浸透具合を見て、どのプライシング戦略が良いか考える

4-2 コピーライティングこの17個を押さえておけばOK

コピーライティングは、文章が注目されるために重要なスキルです。チルスナ兄さんは、それほどライティングに詳しくないですが、見出しに使う言葉にはこだわりました。なぜなら、読む人の反応が大きいとされる言葉はある程度分かっているからです。

使う言葉は、以下を押さえて考えるのがよいでしょう。

・見出しを「ご紹介」で始める
・見出しを「発表」で始める
・見出しを「新」で始める
・見出しを「ついに、さあ、いま」で始める
・見出しを「○○する方法」とする
・見出しを「どうやって、このように、どうして」とする
・見出しに「理由、なぜ」を入れる
・見出しに「どれ、どの」を入れる
・見出しに「これ、この」を入れる
・見出しに理由の「~だから」を入れる
・見出しに仮定の「もし~なら」を入れる
・見出しに「ご紹介」で始める
・見出しを証言スタイルにする
・見出しを質問形式にする
・ベネフィットを事実と数字で伝える
・特定の個人やグループに呼びかける
・広告主から直接語りかける
(ジョンケープルズの有名な本から抜粋しています)

このnoteのタイトルは当初「初期費用・広告費ゼロでブランドを立ち上げる方法」でしたが、証言スタイルっぽく「ぼくが初期費用・広告費ゼロでブランドを立ち上げ方法」と変えてみました。直接語りかけるような文章にするため、このnoteでは意識的に読者のあなたのことを「あなた」と呼んでいたりもします。

クラウドファンディングの販売ページも「新提案」で始めたり、親和性の高い特定のお客さんに呼びかけるような文章を心がけました(ヨガ、サウナ、瞑想好きな方・夜更かししがちな方など)。ライティングは素人ですが、それなりの効果があったようです。とくに反応が大きかったのは、ベネフィットを伝える事実(利用者の感想)です。

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見出しに使う言葉や文章の書き方ひとつで読者の離脱を防いだり、コンバージョンを上げたりすることができます。また、WEB広告の運用をされている方からアドバイスを頂いたのですが、ランディングページには基本的な構成順があるみたいです。

1.ファーストビュー
2.販売、メディア掲載実績(権威付け)
3.ユーザーの課題
4.解決策
5.今買う理由
6.商品のこだわり
7.第三者の声
8.クロージング

是非参考にしてみてください。LPのコンバージョンを上げる施策を本格的に勉強してみる価値はあるかと思います。チルスナ兄さんも勉強中です。

まとめ
・見出しに使う言葉を17個の型を参考にする(本当はもっとあります)
・コピーライティングの本を読んでみるのもおすすめ

4-3 SNS運用方法「UGCを生み出す企画」

チルスナ兄さんは、SNSが得意です。学生時代は、チルスナ兄さんのSNS運用で、新歓イベントの参加者数を前年の2.4倍に増やしました。今回のクラウドファンディングも広告を打たずに208名の方からご購入いただくことができました。

重視していたのは、エンゲージメント率(平均いいね数+リツイート数/フォロワー数)が高いアカウントによるUGCです。これは、SNSにおいて大変重要な概念です。

UGC(ユーザー・ジェネレイテド・コンテンツ)とは、ユーザーにつくり出されたコンテンツ、つまり、ツイッターでいえば引用リツイート、インスタグラムでいうと投稿のシェア・@メンションのついたストーリーズなどのことです。

近年、インスタグラムにショップ機能が付いたり、ライブコマースが伸びていたりすることからも分かるように、僕たちはこれからますますSNS上でモノを買うようになっていきます。

Twitterから流入してそのまま購入する人の割合が年々増加しているというニュースも最近どこかで見ました。

実際にチルスナ兄さんのプロジェクトも、クラウドファンディングプラットフォームからの流入が29%なのに対し、Twitterからの流入は21%でした(案外多い)

『僕らはSNSでモノを買う』という本の中で、新しい購買パターンのモデルとして、ULSSASというのが提唱されています。

GC
IKE(いいね)
earch1(SNS検索)
earch2(WEB検索)
ction(購入)
pread(拡散)

今後はWEB検索をしてから買う人が減っていくのではないかと思われるくらいに、SNSとECがますます一体化している印象があります。SNSを有効活用しUGCを生み出せるような工夫が必要かもしれません。全てはUGCから始まるからです。

例えば、チルスナ兄さんはクラファンリリースの10日前にこんなことをしました。

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1.ツイートをしてくれた人にDMし、秘密の部屋(グループ)に招待します。
2.そこで、「チルスナック」なんて言葉はこの世に存在しない、言葉ごと流行らせるつもりだ。という面白作戦+クラファン開始の30分前にこの部屋でプレリリースするので安く買えるよ!ということを伝えます。
3.面白いと思ったら引用リツイートでこの秘密の部屋の存在を匂わせてくださいと伝えます。(ほかの人も#チルスナック とツイートすれば招待される)

これで、#チルスナック というツイートが100ツイート近く拡散されました。少し雑な作戦だったかもしれませんが、効果は少なからずありました。

後で説明しますが、クラウドファンディングはリリース当日に最低でも30%以上を目指すのが良いとされています。当日買ってくれる可能性のある人をグループに招待できたので、それなりに良い企画だったのではないかと思っています。


ここで注意するのは、引用リツイートをしてくれるアカウントのフォロワー数は多ければいいってもんではないということです。

よく勘違いしている人がいますが、フォロワー数が1万を超えるネタアカウントによるUGCよりも、フォロワー数が数百人程度のプライベートアカウントによるUGCのほうが魅力的です。

なぜなら、後者のフォロワーはそのアカウントとの心の距離が近く、UGCによって商品に感じる価値が向上するからです。(それに、フォロワー数の少ないアカウントによる拡散のほうがコンバージョンしやすいです)

なので、フォロワー数4万人のアカウント1人ではなく、フォロワー数400人程度のアカウント100人に拡散されることを目標にしましょう。

クラウドファンディングが終わってからは、商品を使っていることを思わずシェアしたくなるデザインに作りこむなど、商品の感想を伝えるツイートをいかに自然発生的に生み出せるか、ということがとても重要になってきます。チルスナ兄さんにとっては、今後の課題です。

「自然発生的で、商品のベネフィットを伝えてくれるようなUGC」を目指して商品の価値を上げましょう。

まとめ
・UGCを生み出す企画を考える。
・フォロワー数は少なくて良い。エンゲージメントやフォロワーとの心の距離を重視しよう。
・「自然発生的で、商品のベネフィットを伝えてくれるようなUGC」を目標にして、商品の品質やデザインを洗練させる

4-4 フォロワーを増やす/ファンを増やすツイート

クラウドファンディングを開始する前のチルスナ兄さんは、フォロワー数が400名ほどでした。クラウドファンディングを終えた現在1400名ほどにまで増やすことができています。

クラウドファンディング期間中、チルスナ兄さんは毎日ツイートをしていましたが、フォロワーを増やすツイートファンを増やすツイートは意識的に分けていました。期間の前半は、フォロワーを増やすツイートの割合を多めに、後半はファンを増やすツイートの割合を多めにしています。

1.
フォロワーを増やすツイートのコツは、「自分のことを話さない」です。
徹底的に自分の商品領域にまつわるお役立ち情報をツイートしましょう。「聞いたことはあるけど詳しくは知らない」という人に向けてツイートするのが好ましいです。(業界によります)
・こんな商品がある!
・こんなブランドも出てきた!
・こんなお店が誕生したらしい!
・お客さんはこういう人が多い!
・業界動向!
・おすすめの本!
・おすすめの使い方!
などです。箇条書きにする・画像を見やすいサイズに加工して4枚並べる、なども反応が良いツイートの傾向です。
2.
ファンを増やすツイートのコツは、「コンセプトと人間味」です。
1-4 でお話ししましたが、事業の目的(ブランドコンセプト)ははっきりと伝えることが大切です。なぜなら、コンセプトをはっきりさせることで、ブランドが目指している世界や、商品によって得られるベネフィットが伝わるからです。「知っていて興味がある」という状態の人に向けて発信します。
・ブランドはこんな想いから生まれた!
・こういう社会を少しでも変えたい!
・これをやることが自分の仕事だ!

など本心から語り続けることが大切です。こういうことを聞いたらすぐに否定してきたり、馬鹿にしてくる人が必ずいます。そういう人たちのことは絶対に無視しましょう。勇気を出して発信し続けることが大切です。実現したい世界を本心から語ることで、同じ想いを持ったひとや業界の先輩たちが必ず味方になってくれます。
また、公式アカウントよりも個人アカウントのほうが親しみを感じてもらいやすいはずです。雰囲気の良い写真を撮ってもらい、可能ならアイコンに顔写真を使うのが良いでしょう。

ちょっとしたテクニックとして140文字でツイートするというのがあります。ツイートの占有する面積が大きくなるからか、比較的反応が良くなります。

お役立ち情報(自分のことを話さない)
→自然とフォロワーが増えます
心の芯にある言葉を本気で話す
→自然と応援者が増えます

まとめ
・フォロワーを増やすツイートのコツは、「自分のことを話さない」
・ファンを増やすツイートのコツは、「コンセプトと人間味」
・箇条書き、加工した画像を4枚使用、140文字などはテクニックとして覚えておく。
・邪魔してくる人は絶対に無視する。


4-5 ブログメディアに記事を寄稿する(親和性の高いメディアを選ぶ)

本来はプレスリリースを打って、記者さんに記事を書いてもらうのが良いですが、プレスリリース以外にも認知を増やす方法はあります。

それは、親和性の高いブログメディアに記事を寄稿させてもらうことです。ブログのコンセプトに合っていると感じていただけた場合はきっと記事を書かせてくれるはずです。

例えば、CBDの商品の場合、CBDのブログメディアにお願いするだけではなく、サウナーやミニマリスト向けのブログメディアにお願いするのもよいでしょう(2-2で抽象化した「ストレス社会に対して個人が精神的な豊かさを求めている」という仮説に沿って「サウナ」「ミニマリスト」と決め、ブログメディアを選びます。)

親和性が高いブログメディアだったおかげで、そのブログメディアからの流入はかなりあったように思います。

これらの施策は、出来るだけ早い段階で仕込んでおくのが良いかと思われます。クラウドファンディング開始前にいくつものメディアで寄稿しておいて、クラウドファンディングリリースと同時にブログメディアでも記事を公開するのがおすすめです。

まとめ
・親和性の高いブログメディアに記事を寄稿する
・早いうちから仕込んでおくのがおすすめ


4-6 言葉を作るという戦略「お笑い第7世代」「NoCode」

「CBDのお菓子をチルスナックと呼びます。」とあらゆるところに書いていますが、これはチルスナ兄さんが作った言葉です。海外では大麻の入った食品を「エディブル」と呼ぶのですが、きっとこの言葉は日本で流行りません。

なぜなら、
・言葉の意味が分からないから
・THC(日本で禁止されている成分)が入っている食品のこともさす言葉だから
です。

「チル」という言葉は、「ゆったりした」という意味なのですが、それさえ知っていれば「チルスナック」とは「ゆったりするお菓子」だとすぐに分かってくれるはずです。なので、言葉を作りました。

少し前に、「NoCode」が流行りましたが、流行った理由のひとつとして、誰かが「NoCode」という名前を作ったからだとチルスナ兄さんは思っています。「お笑い第7世代」もそうです。「意味の分かる言葉で名前を作って、まとめる」ことで、そのまとまりに対するイメージが思い浮かびやすくなっていると思います。

全く新しいものや日本にない商品を扱う場合、意味の分かる言葉で名前を作ってしまうのも一つの戦略として有効です。(明太子を英語圏の国で販売するとき、「メンタイコ」では売れなかったけれど、「スパイシーキャビア」という名前を付けたら鬼のように売れたという話を聞いたことがあります。)

参考にしてみてはいかがでしょうか。

まとめ
・意味の分かる言葉で名前を作ってまとめる(あなどるべからず!)

4-7 商品の特徴はベネフィットの裏付けにしか使わない

ぼくたちは、説明されるのがきらいです。商品にまったく興味がないのに、商品の細かい特徴について説明されるといたたまれない気持ちになるのではないかと思います。あなたにも経験はないでしょうか?

SNSの話でも伝えましたが、商品の特徴はベネフィットの裏付けにのみ使うようにしましょう。

1.あなたの生活はこう変わる。(ベネフィット)
2.なぜなら、(商品の特徴)だからだ。(根拠)

ベネフィットを伝えてから、その根拠を説明することで納得してもらいやすくなります。

ベネフィットを納得してもらうために示す根拠を、RTB(Reason to Believe)と呼びます。そして、RTBには、商品の特徴以外にも様々にありますので、覚えておくと便利かもしれません。

1.エビデンス
商品に関する客観的な事実です。商品属性、商品の機能的な革新、仕組み、材料、輸送方法、製造工程、開発秘話など。
2.エンドースメント
外部から与えられる承認、推薦、支持などです。専門家、権威的存在、評価機関、民間企業のアワード、国の許認可など。
3.リサーチデータ
エンドユーザーやプロの評価をデータとして収集したものです。「満足度○○%」「○○人の専門家が認めた」など。
4.ブランドイメージ
感情的な価値で示すものです。ブランドの歴史や実績、創業者の想いなど。

このように、ベネフィットを伝えたら、それを信じてもらうための根拠(RTB)を必ず伝えるようにしましょう。

まとめ
・ベネフィットの根拠、RTB(Reason to Believe)を必ず伝える。
・RTBに使えるのは、商品の特徴だけじゃない。商品の情報をまとめておこう。

⑤クラウドファンディング
5-1 プラットフォーム選び「コンセプトとターゲットを意識しよう」

クラウドファンディングのプラットフォームは調べてみれば結構たくさんあります。利用者数や手数料、ターゲット層やコンセプトはプラットフォームによって異なります。

採算をとるために手数料が少ないプラットフォームを選ぶのもひとつです。しかし、プラットフォームのコンセプトとターゲットが、プロジェクトの内容に最も近いものを選ぶのが望ましいかと思われます。

例えば、
キャンプファイヤーは、ソーシャルグッドなプロジェクトが多く、キャンプファイヤー内でもバラエティがあり面白いです。
マクアケは、アタラシイものや体験を応援購入するといったコンセプトで、実は利用者数が最も多いクラウドファンディングサイトです。
GREENFUNDINGは、ガジェット系が多く、男性の利用者が多いと言うのが特徴です。
Motion Galleryは、アート、音楽、写真、ゲーム、映画、書籍などの創作系が多く、手数料は比較的安めです。

など特徴が見えてくるはずです。利用者数で言うと、キャンプファイヤーとマクアケの2強といったところです。

コンセプトやターゲットをもとにクラウドファンディングのプラットフォームを決定しましょう。チルスナ兄さんは、手数料は比較的高いけどマクアケにして結構よかったなと思っています。

このnoteの最後に、まとめサイトのようなもののリンクを貼っておくので、よかったら見てみてください。

まとめ
・手数料、利用者数などはプラットフォームによって様々。
・コンセプトとターゲットが最も近いと思われるプラットフォームを選ぶのが望ましい。

5-2 成功者に聞いた、クラウドファンディングで最も効果が上がる施策3選

これまでに何度もクラウドファンディングを成功させてきた人に、クラウドファンディングを成功させるうえで大切な施策を3つ教えて頂きました。チルスナ兄さんはこれを聞いていなかったら達成させることができなかったと思っています。

クラウドファンディング成功のためにやること
1.DM
2.購入者限定のグループを作る
3.実際に会いに行く

1.
一つ目はDMです。チルスナ兄さんは毎日ツイートをするだけだったので、ページの閲覧数が伸びずに苦しんでいました。そこで、クラウドファンディングの先輩に教えてもらいに行ったところ、これまでDMをしてこなかったことに驚かれたのでした。
DMをする際に気をつけることは、前にも書きましたが「買ってくれ」なんて絶対に言わないことです(それを判断するのは相手方だからです)。自己紹介をして、こういう想いでこういうプロジェクトを立ち上げました。もしよかったら読んでくれると嬉しいです。そしてもしよかったら引用リツイートでプロジェクト達成に協力して頂けると嬉しいです。と正直に伝えましょう。

2.
二つ目はラインのオープンチャットなどで購入者だけの匿名グループを作ることです。購入者と一緒に目標達成を目指す気持ちがすごく大切ですし、ぼくは何度も励まされました。悪口ツイートをされたりすると、必要以上に凹んだり永遠にイライラしてしまうタイプなのですが、心が乱れているときにたくさん励まされました。さらに上手くいったときは盛り上がります。購入者の匿名グループははじめのうちから作っておけばよかったなと思っています。長いこと応援して下さった皆さま、本当にありがとうございました。

3.
同業者の人たちやお店の人やブロガーの人たちなど、SNSで知っている方々と実際に会ってみるのがとても大切でした。会って話してみると人間味があって面白いと思ってもらえたり、購入してくれた人が友達を紹介してくれたり、引用リツイートで協力してくれたりします。
また、クラウドファンディングが達成してからの約束もたくさん持ちかけて頂けました。たくさんお話を頂いたので全てをこなしきれてはいないですが、とてもありがたいことです。

この3つはクラウドファンディングで大変重要な施策です。ぜひやってみてください。

まとめ
クラウドファンディングでは、以下をやると効果が出ます。
1.DM
2.購入者限定のグループを作る
3.実際に会いに行く

5-3 スタートする前の準備が勝負を決めている

スタートする前にやる準備がとても大切です。なぜなら、クラウドファンディングをスタートしてから24時間以内に30%を超えるかどうかが、成功するかどうかを大きく分けるという統計的なデータがあるからです。

(初日に30%を超えたプロジェクトの成功確率は88%と言われており、超えなかった場合は成功確率が29%にまで落ちるといわれています。)

事前に「買います~」といったくれた人には、「初日に購入して頂けると嬉しい」と伝えておきましょう。また、事前に買うといってくれた人にはクラウドファンディングがリリースすると公に伝えている時間の、1時間前あたりにプレリリースして買ってもらっておくのが大切です。初日に買うと安くなるという数量限定の【超早割プラン】などを用意する人が多いのはそのためです。

また、クラウドファンディングをリリースした後、外部のメディアで記事を公開するという計画を事前に立てておくのが良いです。様々なメディアに連絡差し上げて、公開時間をリリース1時間後などに設定しておくとよいでしょう。

すでに商品が手元にある場合は、youtuberなどのインフルエンサーに試してもらうのも一つの方法だと思います。こちらもメディアと同様、クラウドファンディング公開の1時間後などに動画を公開してもらうのも良いでしょう。初日の認知を広げる作戦を出来るだけ素早く、たくさん用意しておくのがクラウドファンディング成功のカギだといえます。

待っているだけでは何も起こりません。始めの24時間のためにできることは全てやってみましょう。

まとめ
・公開後24時間で3~40%を目指す。(必ず!)
・ブログメディアやインフルエンサーに依頼、友達にSNS拡散依頼など、初日のためにできることは全てやる。
・初日に買ってくれそうな人には少し早めに販売ページを見てもらえる体勢を整えておく


⑥最後に
6-1 あなたの人生の目的は何か。

このnoteは、事業を起こしたいと考えている人やブランドを立ち上げたいと考えている人にむけて書きました。

長い文章でしたが、お付き合い頂きありがとうございました。
最後に、大学休学→内定辞退→フリーランス→卒業→ブランド立ち上げを経験した人生の放浪者が、「それでも夢を語ってください」という話をします。

1年半前、渋谷で野宿をしていた頃に会社員の同期と酒を飲んだことがあります。
ぼくはその1日のことを想い出すと、未だに胸が苦しくなります。

夢を語ると「やりたいことがない」と主張する人たちを、傷つけたり、焦らせたりしてしまうのかもしれません。

ぼくは、トラウマになるほど馬鹿にされてきました。夢は、笑われます。
それでもやっぱり自分の心に従うべきです。実現するまで語り続けてほしい。

心に従えば、何を仕事にしているかなんて関係なく幸せになれます。
フリーランスか、会社員か、起業家か、投資家か、すら関係ないです。

ぼくは生きづらくなった人を生きやすくするために働くことにしました。
ひとに尊厳を与える仕事がしたい。それがすべてです。

他人に説明する義務もないし、理解してもらう必要もありません。
理解してもらいたいなら、結果を出すまでやるだけです。

人目を気にしてやりたいことを語れないのは辛いです。
勇気を出して語ってほしい。あとで気持ちが変わって辞めたってかまいません!

没個性な画一教育に、並ばされて、比べられて、評価されて。
僕らは、とりあえず人に媚びるようになり、夢がないことを正当化し、見えないものを見ないように育っています。その方が生きやすい社会だとも思います。

でも、ここまで読んでくださったあなたは何かを変えたいと思っているはずです。他人に凹まされてあなたがやりたいことを語れないのは、おかしい!!

あなたに好きなものや憧れ、使命や生きがいがある限り、
あなたは代替可能な存在じゃない。

心の中にある言葉こそ、あなたがあなたである理由です。
内発的な動機に動かされて生きてほしい。そうすれば、その瞬間から幸せになれるはずです。

社会が窮屈に感じたら、素直に逃げてください。
なぜなら、『あなたはあなたで大丈夫』だからだ、!

2年もかけずに、2か月で事業を起こしてみてください。
きっとできると思います。

始めたあとのことはベテラン経営者に聞いてください。ぼくに語れるのは、事業を始めるまでのことですので、。!

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

まとめ
・語ってください。あなたはあなたで大丈夫。
・すぐに事業を起こしてみてください。ゼロ円で始められます。

参考にした本、動画、サイト。細字はシンプルに読んでほしい本。

・あれか、これか 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門/野口真人
一生、お客に困らない!日本人の知らなかったフリーエージェント起業術/マイケル・ポート
1万円起業/クリス・ギレボー 本田直之
メモの魔力/前田裕二
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門/森岡毅
小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書/岩崎邦彦
・必ず成果につながる「商品ブランディング」実践講座/村尾隆介

僕らはSNSでモノを買う/飯髙悠太
【Hero Makers講座】超簡単!肩書きじゃない自己紹介/白川寧々
購入型クラウドファンディングは予約販売/西野亮廣
【自社ブランド】クラウドファンディングで成功するための7つの準備/ECサイト運営チャンネル
キャズム理論とは?キャズムを超える方法とその事例
価格戦略
ブランドが目指すべきカスタマージャーニーの設計と認識変化
明日から使えるブランド戦略バイブル
・ユダヤの商法/藤田田
・起業の科学/田所雅之
・GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代/アダム・グラント 楠木健
・ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代/アダム・グラント 楠木健
・イシューからはじめよ 知的生産のシンプルな本質/安宅和人
・嫌われる勇気/岸見一郎 古賀史健
・幸せになる勇気/岸見一郎 古賀史健
・AIvs教科書の読めない子どもたち/新井紀子
・AIに負けない子どもを育てる/新井紀子
・おカネの教科書/高井浩章
・LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略/リンダ・グラットン アンドリュー・スコット 池村千秋
・7つの習慣/スティーブン・R・コヴィー
・人を動かす/カーネギー
・アルケミスト/パウロ・コエーリョ
・金持ち父さん貧乏父さん/ロバート・キヨサキ
・ビジネスモデル2.0図解/近藤哲郎
・影響力の武器/ロバート・B・チャルディーニ
・FREE 無料からお金を生み出す新戦略/クリス・アンダーソン

サポートいただけると大変嬉しいです。今後ともよろしくお願いいたします。