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石井妙子著『魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣』

石井妙子著『魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣』読了。

水俣病については学校で習ったけど、患者たちが受けた苦悩についてはほぼ無知でした。

貧しいけれども海があり、豊富な海の幸で飢えることはなかった暮らし。

その魚介類が汚染され、良かれと思って魚を食べていた・食べさせていたことにより奇病に侵される自分や家族…。

原因不明の時も悲惨だけれど、奇病の原因が分かってからも患者たちの命や健康が軽視され侮辱され、加害企業チッソからの誠意ある対応も望めず足元を見られ、加えて地域社会からの蔑みや誹謗中傷があった。

一部の患者が闘い抜き、補償がされるようになれば妬みや嫉妬も…。

人間の嫌な部分もてんこもりの本で、読み進めるのに辛い部分もありますが、やはり日本人なら知っておかなければいけない事実だと思います。

写真家ユージン・スミスに関しては、本当に写真家としては素晴らしい業績もあるが、人としては何とも困った人だったんだな…という感想。

今ならネットで炎上してそうだし、#metoo で訴えられてそう。

こちらは映画『MIANAMATA』を観ていたので、予習済みでした。

そして合間に出てくる日本社会の男尊女卑なエピソードも、やれやれという感じではあります。

綺麗事抜きのリアル。

対象年齢は「高校生以上」かな。

ぜひ読んでみてください。

「客観なんてない。主観に責任を持て」というユージンの教えが良い。

“客観報道”を曲解し、両論併記でお茶を濁す今のマスコミ界隈に聞かせたい。

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